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浦和レッズの強化戦略について考えてみる

2025年夏のクラブワールドカップを一つの目標とした場合、残るウィンドウは2024年夏と2025年冬の2回のみ。クラブがどんなことを考えているか、想像によるしかありませんが、考えてみます。


現状

現在の登録人数

現在の登録メンバーは背番号順に西川周作、酒井宏樹、伊藤敦樹⭐︎、石原広教、マリウス・ホイブラーテン、岩尾憲、安部裕葵、小泉佳穂、ブライアン・リンセン、中島翔哉、サミュエル・グスタフソン、チアゴ・サンタナ、渡邊凌磨、関根貴大⭐︎、牲川歩見、オラ・ソルバッケン、佐藤瑶大、大久保智明、井上黎生人、松尾佑介⭐︎、安居海渡、エカニット・パンヤ、アレクサンダー・ショルツ、堀内陽太⭐︎、興梠慎三、吉田舜、宇賀神友弥⭐︎、前田直輝、武田英寿、大畑歩夢の30名です(6/15現在)。

A契約枠

日本のプロサッカークラブには選手の登録人数に制限があります。契約の形態によって異なりますが、制限の対象となるのは報酬の上限などの制約がないA契約のみで、そういったA契約の選手の保有人数は通常25名以内となっています。ただし、今期(2024シーズン)はパリオリンピックが開催される関係で(オリンピックの対象となる選手がチームから離脱するため)特別ルールとして27名以内となっています。
なお、レッズの場合、堀内陽太がA契約要件(J1で450分以上出場)を満たしておらずA契約枠外となります。
他の選手については、契約の詳細については発表がないのでわかりませんが、レッズで要件を満たした選手、他のクラブで要件を満たした選手、日本以外の国でプロ契約を交わした選手については、この項ではすべからく、一律にA契約であると扱います。
また、13〜18歳にそのクラブに所属していた選手(言い換えると下部組織出身の選手)はA契約枠から除外する旨の規定があるので、上記リストの名前の後ろに⭐︎がついた者のうち、堀内陽太を除く4名がA契約の枠外となります(従って堀内はA契約の要件を満たしてもA契約枠外)ので、現在のレッズのA契約枠は25/27です

ホームグロウン

Jリーグでは地域育成選手を一定数確保するため、ホームグロウン選手(以下HG選手)を保有することを義務付けています。2024年以降のJ1のHG選手の条件は4名以上の保有(足りない分はペナルティとしてA契約枠が減らされる)で、HG選手の条件は13〜21歳で3年間以上そのクラブに所属すること(期限付き移籍中も移籍元クラブの所属とみなされる)なので、⭐︎付きの下部組織出身の5名と高卒加入3年を経過した武田を加えた6名がホームグロウン扱いなので、ホームグロウン枠は6/4名です。

期限付き移籍

先日OHルーヴェンへの完全移籍が発表された明本孝浩、シントトロイデンへの完全移籍が発表された鈴木彩艶を除き、

  • 荻原拓也(クロアチア1部ディナモ・ザクレブ〜1/20)

  • 木原励(J3長野〜1/31)

  • 工藤孝太(J3北九州〜1/31)

  • 柴戸海(J1町田〜1/31)

  • 髙橋利樹(J2横浜FC〜1/31)

  • 早川隼平(J2岡山〜1/31※育成型)

  • 藤原優大(J2大分〜1/31※育成型)

  • 宮本優太(J1京都〜1/31)

  • ダヴィド・モーベルグ(ギリシャ1部アリス・テッサロニキ〜6/30)

が期限付きで移籍しています。
一方、エカニット・パンヤ(タイ1部ムアントン・ユナイテッド〜12/31)、オラ・ソルバッケン(イタリア1部ASローマ〜6/30)が期限付きで移籍加入しています。

外国籍選手

現在チームに所属している外国籍選手は、背番号順にマリウス・ホイブラーテン、ブライアン・リンセン、サミュエル・グスタフソン、チアゴ・サンタナ、オラ・ソルバッケン、アレクサンダー・ショルツの6名。エカニット・パンヤについてはタイがJリーグの提携国枠となるため、外国籍選手としては扱いません。チームに登録できる外国籍選手に制限はありませんが、試合に出場できる選手は5名までです。

チームからの離脱

現在離脱が考えられるのは4名です。
まずはダヴィド・モーベルグ。アリス・テッサロニキからの退団はまず間違い無いと思われているようで、実際に昨年末から試合に出場していません。

ダヴィド・モーベルグの出場記録

冬のウィンドウでもIFKヨーテボリへの移籍の可能性が報じられており、合意直前でテクニカルな問題で破談になったものの、この夏のウィンドウでもヨーテボリへの移籍が噂されています。

情報:ダヴィド・モベリ・カールソン(30)がIFKヨーテボリへの移籍に近づいている。このストライカーは日本の浦和レッドダイヤモンズとの契約を破棄し、夏にボスマンとして「ブローヴィット」に復帰する見込みだ。

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注:ブローヴィット:スウェーデン語で「青白」を意味し、IFKヨーテボリの愛称

ですが、どうもそれを否定する情報もあるようです。

ギリシャのデータを撃墜 - 青と白の移籍が成立せず
水曜日 12:23

ギリシャの報道によれば、ダヴィド・モベリ・カールソンはIFKヨーテボリへの移籍が近いという。
しかし、テクニカル・ディレクターのオラ・ラーションによれば、それは事実ではない。
- Fotbollskanalenによれば、そのような対話はないという。

ダヴィド・モベリ・カールソンがアリスに1シーズンのレンタル移籍をしたのは昨年の夏のことだった。

ギリシャのアスロス紙によれば、過去2年半日本の浦和レッドダイヤモンズに所属していたこの30歳は、今アリスのチームメイトに別れを告げ、次の移籍先はIFKヨーテボリになる見込みだという。

しかし、テクニカル・ディレクターのオラ・ラーションの言葉を信じるなら、"DMK "にとってブロヴィットへの復帰は近いものではない。

- ラーションは『Fotbollskanalen』誌に、この夏にストライカーを獲得したいかと尋ねた。

- 今のところ、そのような計画はありません。

モバーグ・カールソンは2011年から2013年までブロヴィットでプレーした。

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2024/6/30にアリス・テッサロニキへの期限付き移籍期間が終わると、書類上、モーベルグはレッズへの所属に戻ります。アリスへの所属時には、ディフェンス面での献身性の低さについての批判を読んだ記憶がありますが、現在のヘグモ監督の戦術では前監督のスコルジャ監督時代よりもウィングの守備面での負担は少ないようなので、適合はしやすいかもしれませんが、何せ年明けから試合に出てないので難しいかなという気はします。

次にオラ・ソルバッケン。2024/6/30にASローマからの期限付き移籍期間が終わるので、その後の進路が取り沙汰されています。

ニュース:マルメFFがローマからオラ・ソルバッケン(25歳)を獲得するために奔走している。このノルウェー代表は現在、浦和レッドダイヤモンズにレンタル移籍中である。ソルバッケンが安く放出されれば、期限付き移籍が実現する可能性もあるが、レンタル移籍の可能性が最も高い。

スポルト・ブラデット紙

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有力視されているのはスェーデン1部のマルメFFで、彼らは2023-24シーズンでリーグ優勝を遂げ、来期はUEFAチャンピオンズリーグの予選1回戦から参加するため戦力補強に積極的らしいです。

3人目が急遽飛び込んできた酒井宏樹

獲得交渉の時期とリーグ開幕のタイミング、(Aリーグ全体の話ですが)サラリーキャップによるチームの戦力的な低さとそれを回避する各クラブ1人だけのマーキープレイヤーにサイドバックを選ぶこと、などなどいくつか矛盾があるものの、獲得オファーが来ているという報道があります。

※ 2024/6/24海外移籍を前提としてのチームからの離脱が正式に発表されました。

そして4人目がアレクサンダー・ショルツ

チーム在籍もまもなく満3年を迎えるチームの主力で、昨年は僚友ホイブラーテンとともにベスト11にも選出されたJリーグを代表するディフェンダーの一人でもあります。Transfer Marketによるとこの夏のウィンドウの時点では3.5年契約の3年目で、来年1月末までの残り半年の契約ですから、クラブサイドは彼を引き止めるつもり(戦力的にもそうであったろうと思いますが)なら、春先からこの6月にかけて、契約交渉を続けていたと思います(なお、酒井宏樹とホイブラーテンも来年1月までの契約となっていますから、同時に交渉をしていたことでしょう)。

中東方面らしいということで、一昨年の岩波に続き、JリーグのDFにも食指が伸ばされてる感じですが、どうなるかは見てみないとわからないですね。


戦力分析

達成すべき目標

基本としてリーグ戦で優勝し、カップ戦のタイトルを獲得、ACLの出場権を確保することはあるとして、現段階での短期的な達成目標としては、CWC2025で戦えるチームを作ることかと思います。

CWCが新形式になって、ヨーロッパが32チーム中の12枠をとるようになり、これで1グループ4チーム、8グループの予選トーナメントが行われます。
大陸を跨いだクラブの順番については明確な指標がないのでよくわかりません。
下の表は、協会(国)の順位を基準に、同一国内では大陸内のクラブランキングによって並べてみたものです。
(なおまだ出場クラブが決まっていないコパ・リベルタドーレス2024の優勝チーム枠、及びその動向によって決まるCONMEBOLのクラブランキング2位枠については、ブラジル勢を除いて未選出クラブのトップであるボカを、コパの優勝チーム枠については、決勝トーナメント16チーム中、既に出場権を得ているパルメイラス、フラメンゴ、フルミネンセ、リーベルが優勝した場合に出場権を得るパラグアイのオリンピアをここでは選んでみています)
ヨーロッパのクラブがフランスとイングランド以外上位になっていない段階で、こういう順番になることはなさそうではあります。

FIFAクラブワールドカップ2025出場チーム(イメージ)

シードによってグループは振り分けられるので、どういう並び順になるにせよ、レッズが振り分けられるだろう典型的な予選グループはヨーロッパのクラブが1つ、南米かヨーロッパのクラブがもう1つ、アフリカか中南米のクラブが1つという感じになるはずです。
上位2位以内がノックアウト形式のトーナメントへ進出となるので、具体的には予選グループで1勝を上げられるか(プラスヨーロッパや南米のクラブに1分けができるか)、そういうチームを作れるかというのが目標になるかと思います。


現状の選手層

まずはポジションごとにメンバーを並べてみます。

各ポジションごとの選手位置付け

インサイドハーフとウィングには互いに行き来することも多いので(伊藤敦樹はウィングはやらないだろうし、オラ・ソルバッケンはインサイドハーフにいかないだろうとか、いうこともありますが)、枠を一つにまとめてあります。
赤字は2024冬のウィンドウで獲得(復帰)した選手です。

左サイドバックに空欄がありますが、結果渡邊凌磨が起用されることになるものの、戦力補強的な視点では、渡邊凌磨を最初から左サイドバックとしての適性を評価して獲得したとは思えないので、昨年左サイドでプレーした明本と荻原の両方ともにオファーが来たのが予定外だったのか、新しい左サイドバックの獲得に失敗したのか、質的な部分ではやや足りない感はあります。

  1. GK、アンカー:西川周作、サミュエル・グスタフソンとファーストチョイスが明確にあって、控えもチーム的には実績があります。今シーズンの前半戦を見て不安点が全くないというわけではないにせよ、優先順位は他のポジションに譲るでしょう。

  2. 右サイドバック:酒井宏樹の負傷もあって、石原広数が出場機会を得て万全な体制ができたかと思えば、酒井が移籍となれば石原が怪我を負った期間もあり、いかにも手薄な感じは強くなっています。

  3. 左サイドバック:逆に補強時点では手薄さが感じられた左サイドですが、シーズンに入ってみると、渡邊凌磨が戦術的に評価されていることもあり、更なる補強が必要かどうかは考え方次第、といった感は出てきました。

  4. センターバック:浦和レッズに加入して以来、一部のルヴァンカップ、天皇杯などを除き、ほぼアレクサンダー・ショルツがフル出場をしているポジションですが、今シーズンは珍しくショルツがケガ、及び出場停止でメンバーを外れる機会があり、幸いに佐藤瑶大が出場経験が積めた形ではあります。仮にショルツが移籍となった場合、佐藤にホイブラーテン、また井上黎生人の3名がおり、質的にはともかく、数的には十分ではあります。

  5. インサイドハーフ:伊藤敦樹は不安定な時期もありつつも持ち直してきた中、渡邊凌磨が左サイドバックへ行き、小泉佳穂が負傷と不振もあって外れつつあることで、やや手薄感はあります。

  6. ウィング:ヘグモ監督が最も重要視しているとされるポジションです。実際のプレーを見ても、ウィングのプレーを決定的な形で使おうとする姿勢は見えます。右は前田直輝とオラ・ソルバッケン、左は松尾佑介を中心に関根貴大という形でスタートしましたが、ソルバッケンと松尾、関根がケガ、昨期はトップ下が中心だった中島翔哉が左に定着して活躍し始めたのは予定外というよりは予想以上でしたが、その中島も怪我をすると、特に左は工事中の色が濃くなってきています。

  7. センターフォワード:チアゴ・サンタナがゴールを重ねて、かつ前線での守備、ボールキープなど多大な貢献を見せていますが、サンタナがいない条件では外国籍枠でメンバーに入れないことがあるブライアン・リンセンと興梠慎三しかいないのがいかにも手薄ではあります。

必要なポジション分析

こうして見ていった場合、おそらく一番優先順位が高い補強ポジションは右サイドバックでしょう。石原が十分な働きを見せていますが、彼には怪我もありましたし、いざという場合の不安は残ります。昨期右サイドバックを務めた時期もあった関根、ショルツ、左サイドバックに加えて右サイドバックもこなした渡邉などがいざという場合そのポジションに入ることはできるでしょうが、基本構想としてはそれを前提にすることはできません。
次に優先順位が高いのはウィング(左右)だと思います。ここはチームの質に関わってきます。Jリーグでもそうですが、ヨーロッパ等の強豪クラブと対戦する際でも、そこで個の質の高さを見せられれば、窮鼠にとっての牙みたいなもので、どれだけ強い相手でも一定の警戒をせざるを得なくなります。
その次はインサイドハーフでしょうか。やはりチームのセンターラインはチーム全体の攻守の質を担保してきます。
センターフォワードについても、他のポジションとの兼ね合いではありますが、手が加えられたらいいところではあります。
ただし、ショルツと酒井が退団した、という前提でA契約選手数は23/27、2025シーズンは再び25枠に戻りそう(CWCではシーズン中の予選GLがないので+2枠は得られなさそうな気がします)と考えると、この項では空きは23/25の2人分と考えることにします。

逆に優先順位が低めなのはGKアンカーに加え、とりあえずなんとかはなっている左サイドバック、人数はある程度揃っているセンターバックが該当すると思います。もちろんいい機会があれば別ではあるでしょう。

この中で外国籍枠を投入してもいいのはやはりウィングということになるでしょうか。


強化

オラ・ソルバッケン問題

6/30にローン期限を迎えるソルバッケンですが、その動向について考えてみます。

浦和レッズの立場:ヨーロッパ方面の報道では、ASローマはソルバッケンを放出する(そしてヨーロッパのどこかのクラブへ移籍する)というものが多いです。そこにはローン移籍時に買い取りオプションがあると報道された条件は考慮されていないか、浦和レッズは前所属のオリンピアコスがそうしたようにオプションを行使しないとみなされているか、あるいはソルバッケン本人が(買い取りに)同意しないか、が前提とされている感じがします。

もっと近くに!

オリンピアコスがノルウェー人ストライカー、オラ・ソルバッケンをローマに戻す。

ソルバッケンはイタリアのクラブから浦和レッズへのレンタル移籍に近づいており、契約には日本人の買い取りオプションが含まれている。

カルチョ・メルカート

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報道にある買い取りオプションが実際に契約に含まれている場合(オリンピアコスへのローン移籍の際にもそう報道されていたので可能性は高いと思います)、5億だとか6億だとかというような金額をASローマに支払うことで、本人も同意すれば浦和レッズへの完全移籍が成立する可能性があります。

ボデ/グリムトからASローマへ旅立ったソルバッケンの23/24シーズンは本人にも恐らく不満足な結果が続いています。

ソルバッケンの2023/24の出場成績(18節C大阪戦まで)

ASローマの立場:ASローマには詳しくないので、外見的にわかることのみです。ローマは2024/1/16に前監督のジョゼ・モウリーニョを解任、即日クラブOBでありレジェンドでもあるダニエレ・デ・ロッシを後任に任命しました(ソルバッケンのローン発表が2024/1/12ですから発表は入れ違いだったわけです)。
名将と誉れの高いベテラン監督を解任し、経験の乏しいOBを監督にすることに色々言われることはあったようですが、モウリーニョ解任時のリーグ戦で8勝5分7敗の9位から、18勝9分11敗の6位、ヨーロッパリーグでも準決勝でドイツのレバークーゼンに破れるものの、ベスト4と結果を残しています。
いわば「火中の栗」をレジェンドが拾って結果を残したわけですから、クラブとしてはご褒美で欲しい選手を獲りもするでしょう。ただ、ローマは経済的にはそれほど余裕がないそうです。例えばソルバッケンが出場機会を得るためにオリンピアコスへ移籍するきっかけになったのもファイナンシャルフェアプレー違反でヨーロッパリーグに登録できなかったことが理由の一つにあったそうです。

ソルバッケン自身はモウリーニョに気に入られて(その割には冷遇されたようですが)ローマに来たわけですから、新監督のデ・ロッシにしてみれば、よほど気に入らなければ残そうということにはならないでしょう。
であれば、補強資金のためにもローマはできるだけ高く売りたいだろう、ということは想像できます。
ところが、今期の不振でソルバッケンは価格が下がってしまっているところです。浦和への買取オプション(の金額)は少なくとも日本での不振でさらに値下がりした分は含まれていないので、相対的に高価になっていると考えられます。
また、資金にならないので、ローマからどこかのチームへ再び期限付き移籍をさせる、ということはあまりないのかな(ソルバッケンの価格が再び上がるまでローンで保有しておくということはあるかもしれませんが)という気がします。
なお、噂されているスウェーデンのマルメFFもあまりお金はないそうです。前述の報道でも安く放出されるなら移籍が成立する可能性もあるが、レンタル移籍の可能性が高い、とされている状態だと、(獲得は)難しいのではないか、という気はします。
他のクラブについても、結果と、今まさに日本で怪我がちなところが敬遠されがちなんではないでしょうか。

次にソルバッケン本人の立場:ボデ/クリムトから飛び出して、ローマではうまくいかなかったけれども、まだ25歳。ヨーロッパの強豪チームで成功したいと思っているでしょう。ただ、ローマで起用されなかった理由、オリンピアコスでうまくいかなかった理由、良くはわからないですが、同じギリシャで似たポジションのダヴィド・モーベルグがディフェンスについて批判を受けたように、いわゆる「4-2-3-1」でプレッシングといった守備面での貢献を求められることが多い環境に対応しづらかったのではないかというように仮定を立ててみました。
とすれば、ソルバッケンにとっても、自身が起用されるような攻撃的なポジションを必要とする監督であるのが復活を世界に見せるためにも望ましいのではないかと考えます。
その点へグモ監督は、言葉も通じればソルバッケンを起用することも明確ですから、レッズへの残留(完全移籍)の目は割とあるのではないかと考えます。まあ25歳というのは微妙な歳ですから、あまり(日本で遊んでいる)余裕はないのも事実ですが。

他のポジション

外国籍選手枠に仮にオラ・ソルバッケンが残るのならば、さらに仮定を重ねてアレクサンダー・ショルツが退団したとしても、外国籍選手枠は5人でいっぱいですから、他のポジションの強化は主に日本人(あと提携国枠としてのタイ人等)が対象になるでしょう。

何人か例として候補を挙げてみましょう。ここ最近は地元出身の選手の獲得が多いので、地元出身選手を中心に考えてみます。なお、ここで挙げた選手は何の加入の噂とか情報があるとかいうものではありません。

右サイドバック

  • 川上エドオジョン智慧:浦和レッズユース出身、1988年生れ、167cm/68kg、右足利き、ザスパクサツ群馬。本来中盤の選手で攻撃力が売りの選手ですが、去年あたりは大槻監督のもと右サイドバックで起用されていました。

  • 西久保駿介:三菱養和SCユース出身、2003年生れ、178cm/66kg、右足利き、ジュビロ磐田。安居海渡と同じ川口朝日リボルバーSS出身。サイドバックの割に空中戦にも強みを持ちますが、今期の冬のウィンドウで千葉から磐田に移籍したばかりですから、この夏での移籍は難しいでしょう。

  • 宮本優太:流通経済大(流通経済大柏高)出身、1999年生れ、171cm/70kg、右足利き、京都サンガ(浦和から期限付き移籍中)。本来、宮本が戻ってくるのが一番「丸い」のではあるのです。へグモ監督は、昨年のスコルジャ監督のように、サイドバックにオーバーラップして、GKのパントキックの受け手になれ、というような無茶な要求はしないので、適応はよりしやすいかとは思います。京都ではずっとセンターバックをやらされているので、その辺どうかとは思いますが。ただ、期限付き移籍中のため、移籍先と本人の了承がなければこの夏に戻ってくることはできません。

  • 広瀬陸斗:浦和レッズユース出身、1995年生れ、176cm/68kg、右足利き、ヴィッセル神戸。知る人は知ってる(個人的には鹿児島ユナイテッドの広瀬健太とは良くどちらがどっちだったかわからなくはなる)浦和レッズOBの広瀬治の息子に当たります。水戸でプロ入り後、徳島、横浜FM、鹿島、神戸と、レッズユース育ちでは原口に次ぐぐらいの出世ぶり。鹿島では左右のサイドバックとしてですが、神戸では主に左サイドハーフとして使われている模様。こちらも今期の冬のウィンドウで鹿島から神戸に移籍したばかりですし、移籍は難しいでしょう。

  • 稲垣篤志:浦和レッズユース出身、2005年生れ、177cm/76kg、右足利き、明治大学(2年)。堀内陽太と同期でU-20代表への招集もされた右サイドバック。明治大に進学後、昨年から関東大学リーグのメンバーにも入っているようです。大学生を公式戦に出場できるようにする「特別指定選手制度」は特にJFAが指定した選手以外はクラブへの将来の加入が内定していることが必要なので、大学を中退させるつもりがないのなら、少なくとも来年以降の話になってきます(大学3年なら、翌々年の加入を内定して特別指定にした例はあるようです)。

  • 薄井翼:浦和レッズジュニアユース出身、2008年生れ、175cm/61kg、(多分)右足利き、浦和レッズユース(2年)。U-16代表にも選出された駿優。高2なので早川の例を考えれば、今年中に二種登録されたり、トップの練習に参加することはあり得るでしょう。とはいえ、体重を見てもやはり身体はできてない感じではあるので、将来的な話ですね。

インサイドハーフ

  • 原口元気:浦和レッズユース出身、1991年生れ、179cm/79kg、右足利き、VfBシュツットガルト。元代表にして海外経験があり、フリー移籍の上、下部組織出身でA契約枠を取らず、まだ観客動員増加も期待できる、クラブにとっては宝石のような存在で、来日して練習にも参加しておりチームへの溶け込みも容易です。まだドイツでのプレーを望むでしょうが、タイミングによっては可能性はあるでしょうか?

  • 早川隼平:浦和レッズユース出身、2005年生れ、163cm/65kg、左足利き、ファジアーノ岡山(浦和から期限付き移籍中)。キレのいいドリブル、というよりはもっと小さな局面の接近戦でキレのいい動きをみせるMF。スコルジャ時代も主にトップ下だとか中寄りで使われた感はある。育成方期限付き移籍ということで、加入・離脱はウィンドウに縛られませんが、戻ってくるには通常の期限付移籍同様に移籍先と本人の同意が必要です。

  • 邦本宜裕:浦和レッズユース出身、1997年生れ、175cm/77kg、左足利き、遼寧鉄人足球倶楽部。レッズユース出身と言いつつも、高校からの下部組織所属で、不祥事を起こしたこともあり高2時に退団しているので、「下部組織出身」の3年間には微妙に足らなかったり。才能はありつつもピッチ外の問題で足を引っ張られてきた印象で、まあ浦和レッズさんが取りたさそうなタイプではないかも。

センターフォワード

  • 髙橋利樹:国士舘大(埼玉栄高)出身、1998年生れ、182cm/76kg、右足利き、横浜FC(浦和から期限付移籍中)。こちらも宮本と同様、利樹が戻ってくるのが一番「丸く」はあります。第18節C大阪戦の武田からリンセンへのアシストのような、あるいは昨年の第28節G大阪戦の伊藤から高橋へのアシストのようなクロスが入れば、利樹でもリンセンでも、あるいはサンタナでも一定のゴールは生み出せるはずなので、利樹というよりはそういうクロスを入れられるようになるかがカギになってくる。こちらも他の期限付移籍と同様、移籍先と本人の同意が必要です。

最後に

現所属の選手(期限付き移籍中を含む)と、ここまで例に出した選手、報道等で噂に登ったことのある選手を年齢感で並べてみました。

選手(年齢順)※年齢は2024/4/1現在

噂に登っている選手は、25歳以下ぐらいの比較的若い層に並んでいる感じです。

進行状況

昨日(6/24)、酒井の離脱が発表されました。同じように一昨年、交渉のためにチームから離脱した岩波拓也が結局決まらなかった例もありますから、まだ確定というわけではありませんが。

仮に酒井がこのまま退団し、アレクサンダー・ショルツも報道にある通り移籍し、二田理央と本間至恩が加入したとします。
本間至恩は左ウィング、もしくはインサイドハーフ、二田理央はセンタフォワード、もしくはインサイドハーフということになるでしょう。
いずれも補強ポイントではあります。
さらにオラ・ソルバッケンの完全移籍も決まったとしましょう。
するとここでA契約枠は25名/27名(ただし来年は25名)、外国人枠はリンセン含み5名/5名です。
右サイドバックに関しては、A契約枠を食わない新卒のC契約選手、あるいは下部組織出身の選手に限定されます(現在のメンバーから誰かA契約の選手の退団が決まっているのなら別ですが)。
あるいは、ルヴァンカップ敗退によって今シーズンは残り、あまり日程的には厳しくないリーグ戦だけですから、関根貴大と渡邊凌磨、宇賀神友弥に堀内陽太でカバーしていけばとりあえずはいい、という考えがあるかも知れません。それはそれでまあ、一つの考えではあります。