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【#1いちごの街 新発田】越後姫を巡る一大プロジェクト始動のきっかけ

米作りに専念してきて、それはこれからもずっと変わらないと思っていたけど、2020年に少し違った運命が舞い込んできた。
それが、越後姫を主役にしたあるプロジェクト。計画始動の背景には、私たちのこんな思いがありました。

米農家が苺栽培に挑戦したワケ

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どの業界もそうだけど、とりわけ人手不足な農業業界。1970年には約1025万人いた農業従事者も、2020年には約135万人(農水省調べ)に減ってるんです。その理由は、高齢化、農業資材の高騰による経営圧迫、農産物価格の低下で単純に儲からないということ。昔ながらの個人経営(家族経営)の農家は特に離農する人たちが毎年後を絶たないのが現状です。
そんな暗い話題に事欠かない業界を少しでも元気付け、新発田の農業を盛り上げていきたいと思い「いちごの街・新発田」計画を立ち上げました。


なぜ苺だったのか

それならば、得意の米を活かばいいじゃないかと思うのが道理ですよね。
私たちが苺を主役にしたかった理由は大きく2つありました。

①みんなが大好きだから
②越後姫の美味しさを日本中に知って欲しい!


①は苺ってそのまま食べても、加工してスイーツやジャムにしてもおいしい。嫌いな人ってあまりいないように感じます。そして、食べるだけじゃなくて体験としても楽しめる。今は作るだけで精一杯なので、まだ先の話になるのですが、観光農園を始めたいとも思っています。やはり、農園で熟した苺っておいしいです。獲れたてを味わえるのも醍醐味ですよね。
これが米だと、稲刈りになります。「いちご狩り行こうよ!」の気軽さレベルで「稲刈り行こうよ!」となるのは、正直厳しいです。
そして、新発田市には全国的に有名な月岡温泉や日本百名城に認定されている新発田城があり、地域と連携してもっとこの街を楽しめる何かを私たち視点で作り出せないかという想いから、一般の方に身近な作物という点で越後姫にたどり着きました。

【エメラルドグリーン色の温泉が美人の湯として人気の月岡温泉】

C月岡温泉

【三匹の鯱が特徴的な新発田城】

C新発田城と桜


そして②の越後姫の魅力を全国に発信したいという想い。
越後姫という、新潟のブランド苺を皆さんはご存じですか?

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「可憐でみずみずしい新潟のお姫様のようだ」という所から『越後姫えちごひめ』と名付けられ、1996年にデビューしました。このコロンとした丸みのあるフォルムが可愛らしいですよね。真っ赤に熟した鮮やかな果肉は柔らかく、芳醇な甘みが自慢です。春になると県内各スーパーの果物売り場をほぼ占拠する人気ぶりで、もちろん「とちおとめ」などの有名な苺も並びますが、売り場面積はその比ではありません。
新潟では、苺=越後姫なのです。

しかーし、全国に出ればそんな越後姫の姿はどこへやら。
一歩間違えれば、井の中の蛙。大きな顔はできません。
農水省にこんな資料がありました。

いちごランキング

1位はやはり栃木県。
半世紀以上、国内の苺の出荷量のトップをひた走っております。
2019年の収穫量は約2万5000t
ちなみに、新潟県は約1400t

桁が違う。すごい。
圧倒的な差に笑うしかない!

県内消費で留まっている1番の理由は、果肉の柔らかさ。
越後姫の魅力がここで足枷になっているとは、皮肉な話です。
そんな越後姫を全国の皆さんにお届けして、

新潟は米だけじゃなかった―!!!!!

と言わしめたい。
(米農家がこんなこというのも、あれかと思いますが(笑))

というのと、単純に苺を作っている農家仲間との話の中で

「とにかく苺栽培は手間がかかる。目が離せない」

と、なんべんも聞いていて、本当に?話盛ってない?
と半信半疑なところから興味が湧いてきたという背景もありました。

計画が立ち上がってからは、めまぐるしく準備が進む急展開。
そして、晴れて2020年秋に栽培に着手した私たちですが、同時に苦難の日々の幕開けとなったのでした~。

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