【邦画】東京物語(1953)
監督:小津安二郎
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、香川京子、杉村春子、山村聡など
上映時間:2時間16分
日本映画が誇る不朽の名作「東京物語」鑑賞しました。ChatGPTにおすすめされたので鑑賞。世界の映画監督が選ぶ映画ベスト100で「2001:宇宙の旅」「市民ケーン」「ゴッドファーザー」に次ぐ第4位に選ばれています。スゴすぎ!恥ずかしながら初鑑賞です。
広島・尾道で暮らす老夫婦の周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)は、次女の京子に留守を頼み、東京に旅行に行く。東京では下町で小さな医院を開業している長男の幸一(山村聡)と同じく下町で美容院を営む長女の志げ(杉村春子)に面倒を見てもらう。
初めに幸一の家を訪れるが、幸一は仕事で忙しく観光にも連れて行けず、孫たちとの距離もうまく縮めることができない。その後志げのところに行くがやはりそちらも多忙で二人はどこにも出かけられない。唯一戦死した次男の妻の紀子(原節子)だけが仕事を休み二人を東京見物に連れて行ってくれた。
その後幸一と志げは両親を熱海の温泉宿に送り出す。しかしそこは若者が夜中まで騒ぐ安宿で、二人はゆっくりできず東京に引き返すことに。志げの家に帰ると、今日は同業者の集まりがあるとのことで、周吉は尾道からの友人の服部を訪ね、とみは紀子の家に泊まらせてもらう。
いやー、まさにタイトル通り「東京物語」ですね。都会の忙しい毎日の中で失われていく何かが描かれています。正直僕も幸一や志げのようになっていってる部分があることを否定できないなと思いながら観ていました。
都会で生きていると生産性や時間効率が最重要視され、そのために何かを犠牲にしてしまいます。たまに田舎に行くと周りの人々のゆっくりとした生活を目の当たりにして、自分が都会のスピードになっていて、いろんなことを見過ごしていたことに気が付きます。でも決して悪い側面ばかりではないのです。そうでもしないと東京では生き残ってはいけないですし、人生で学ぶことも自然と多くなります。
この辺りはやはりバランスですね。たまに田舎に行ったり、こういう映画を観たりして、自分が失っているものに気づくことが大切なのだと感じました。
そして親と子の関係性というのも大事なテーマの一つ。すごく悲しいことですが、この作品の親子関係は非常に健全なものだと思います。なぜなら彼らの両親に対する態度は、実の子供だからこそああいう対応になるのです。逆に紀子が彼らに親切にするのは、他人が故に彼らにどう思われるかを気にしているからです。決して幸一や志げにも両親への愛がないわけではありません。
しかし作中でも言われていた「孝行のしたい時分に親はなし」というのも本当のところ。両親に感謝や愛の気持ちを伝えるのはとても恥ずかしいことですが、直接的でなくてもいいので何かの形で伝えることができれば良いのかなと今の時分では思います。
シーンで言うと、両親に対してそっけない態度をとる息子たちに憤慨する京子に対して紀子が言葉をかけるところと、最後に周吉に紀子が自分の気持ちを打ち明けるところが素晴らしかったです。特に紀子の「わたし、ズルいんです」には心を鷲掴みにされました。紀子が完全に善人ではないというところに人間らしさが垣間見えて、とても好きでした。
あとおじいちゃん役の笠智衆は実は当時49歳だったとのこと。見えん!!完全におじいちゃんに扮装しています。特殊メイクを施していたそうですが、それにしてもビックリでした。
「東京物語」は田舎から見える東京を描き、そして親子関係の在り方についても考えさせられる作品です。間違いなく邦画の最重要作品の一つです。