きみと出会う前と出会う後と

#あなたに出会えてよかった

まっすぐ歩いてきたね
ぼろぼろの体だったね
痩せっぽっちで、カビだらけで
シッポはまるでネズミみたいだったね

あの秋の寒い夜に
「猫だ」と発した私に応えるように
まっすぐ、こっちに歩いてきてくれたね

ずっと夢だったの
白くてふわふわでまんまるの猫と暮らすのが
ずっと思い描いてたのと
君はまるで全然違うやせっぽっちさん

「離さないで」って言ったでしょ
「お家に連れていって」って聞こえたんだよ
嘘みたいに軽い君を抱きしめたら
信じられないくらい暖かくてびっくりした

小さな段ボール箱の中　割いた新聞紙を入れて
どうか明日まで元気でいますようにと

眠ったような　まるで寝ていなかったような
君が動くと新聞紙がカサカサいって
その度に箱の中を覗いたのを覚えてる

名前を付けるのが怖くて猫ちゃんって呼んだ
病院で獣医さんに「いい子だね」って言われて
思わず「はい」って言った
私あの時から、君のお母さんになったの

出張から帰ってきた夫は
ただいまより先に「名前はふくだ」って言った
「幸福のふくだ　ふくふくに育ちますように」

いい名前をつけたでしょう
君はあの時から、我が家の大事な長男坊

県民運動公園生まれ市内育ちのシティボーイだね　なんて
昔を笑って言えるほど
今の君は白くてまんまるでふわふわ

君が来る前と後じゃ　世界はまるっきり違う
もし君がいなければ　きっと今の私もいない
あの君と出会った日から　私の毎日が幸せ

世界で一番素晴らしいふくちゃんへ

ふくちゃんのママより