足音
「自分」の心に耳を傾けている時に聞こえる音。
本当はいつも聞こえている音。
せかせかと勇み足で仕事先に向かっている時
誰かのお祝いパーティにわくわく向かっている道すがら
遅刻しそうで全力で走っているその時ですら
いつも聞こえているはずの、その音。
最近はいつ聞いただろう。
幼い日、お父さんみたいな足音が出したくて
ぶかぶかの革靴で、音を立てて歩いたっけ
お父さんと同じ年になって
ぴったりの革靴で、自分は今どんな音を奏でているのだろう。
あの時と同じ、夜のにおい。
あの時と同じ、月の顔。
イヤホンをとって、聞いてみて。
とても心地がよいから。
blackbird
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