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母が息子のために積み立ててくれた貯金通帳を見ていたら涙が止まらなくなった話

お正月、実家に帰省した。

特別なイベントがあったわけではなく、これまでの正月と同様、家族で世間話をしたり、テレビを見たり、おせちを食べたり、実家にはゆったりとした時間が流れていた。

一人暮らしの自宅に帰ろうとする直前までは。

3日の夕方になり、そろそろ一人暮らしの自宅に戻ろうと考えはじめていたところ、母が少し神妙な顔で話しかけてきた。

手には年季の入ったゆうちょ銀行の通帳と印鑑を持っている。

そして、母はゆっくりと話しはじめた。

実は、いざというときのために、あなたが生まれたときから積み立ててたお金があるのよ。でも、これまで大きな病気をしたり、お金に困ったりすることはなくて、無事に大きく育ってくれたから、使う機会がなかったの。だから、もうこの通帳と印鑑はあんたに渡しておくわね。結婚式とか新婚旅行とか、何か大切なときにお金の足しにして頂戴。

そう言って、母は200万円が入ったゆうちょ銀行の通帳と印鑑を手渡してきた。

お母さんごめんね。僕は結婚の予定もないし彼女もいないんだ。

なんだかとても照れくさくて、すこしふざけ気味にそう返事をして、そそくさと帰路についてしまったけど、母からの長年にわたる愛を直接受け取ったようで、僕は心の底から嬉しかった。

自宅への帰り道。

電車の中で、なんとなく通帳に記載された何十年分の貯金履歴を眺めていたら、家族との楽しかったこと、悲しかったこと、いろいろなことを思い出して涙が止まらくなってしまった。

このお金はしばらく使う予定がないけれど、なにかつらくなったとき、どうしても元気がでないとき、この通帳を見返そうと思う。

そうだ、今年の両親の誕生日はいつもより良いものをプレゼントしよう。



<記事の元となったツイート>


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