サンタクロース

8才のときのクリスマスを最後に、僕はサンタクロースの存在を信じなくなりました。

その年のクリスマスもいつものように、リビングのテーブルにサンタさんに食べてもらう用のクッキーとミルクを置いて、欲しいものを拙い字で書いたメモと一緒に置いておきました。
たしか、スパイグッズのおもちゃをお願いした気がする。
サンタが入ってこれるように、ちゃんと窓の鍵も空けておいた。

次の日の朝、そこにはお目当てのおもちゃと「Merry christmas!」と青い文字で書かれた小さなメモが置いてあった。
クッキーとミルクもしっかり食べてくれてた。
サンタが来た!しかもメモまで置いていってくれた!と僕は大喜び。
学校にそのメモを持っていき友達に自慢しようとしたら、事件は起きた。
ある友達の家にはなんとサンタから長文で筆記体の立派な手紙が届いていたのだ。

あれ、ウチに来たサンタしょぼくね?って思った。

しかも、自分の持っている小さいメモをよーく見直してみると、画質が荒いコピー機を使って印刷したのか、字が細かいところで乱れている。明らかにおかしい。
一方、その友達のは明らかに万年筆で書いたであろう本格的な筆記体。

なんとなく、気づいてしまった。
ウチに来ていたサンタはニセモノだ。

今思うと、その友達のお父さんはお医者さんだったし、お母さんも英語がペラペラだったので、おそらくどちらかが書いたのだろう。

本物ってなんだろうね。今でも分かりません。