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ビジネスホテルで、母を想う。

先週末に関西に行ったのだけど、ホテルを予約する際、
大阪市内にしようか、それとも関空の近くにしようか、
と、じゃらんのWebサイトを見ながら悩んでいたら、
見覚えのあるホテルの名前が飛び込んできた。

私は大阪府内の大学に進学したので、
母と2人で新幹線に乗って入学手続きをやった。
午前中に入学書類もろもろを受取り、
午後にアパート探しをしたのだけど、
物件が少なく、一日で決めることができなかった。

当時はWebはおろか、携帯電話すらない時代。
母と私は、知らない土地で路頭に迷ってしまった。
駅前の交番でホテルへの行き方を尋ね、
おまわりさんはメモ紙にホテルの名前を2件ほど書いてくれた。

その時の1件が、じゃらんに掲載されているみたいなのだ。

残念なことに、母は私が大学在学中に病気になり、
母と泊まりがけで出かけたのは、それが最後になってしまった。
何十年も昔なので、記憶があやしいけれど、
1階にレストランがあって、和定食の鮭がとても美味しかったことだけは覚えている。

わたしは泣きながら、大阪市内でも関空の近くでもない
大学近くのホテルを予約した。

さて当日。
どきどきしながらチェックインしたけれど、
1階にレストランは無かった。

グーグルマップで市内のホテルを検索したけど、
わたしの記憶にあるホテルは他にはなかった。
バブル崩壊、リーマンショック、コロナetc
なんらかの理由で無くなったようだ。

そして、レストランで食べた朝食は、定食ではなくビュッフェだった。
それでも、小さな鮭をもぐもぐ食べながら、
あの日のことを思い出し、県外の大学に行かせてくれた母に感謝した。
多分、和定食の鮭を食べていた18歳のわたしは、母に感謝の言葉を伝えていなかったと思う。
(あのころの私を殴りたい・・・)
今のわたしがあるのは、紛れもなくあの日母が大阪に連れて行ってくれたおかげだ。

ありがとう。

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