#有効求人倍率 と #完全失業率 のカラクリ

みなさん,おひさしぶりです。

毎月月末を迎えますと,恒例行事のごとく,#総務省 から #完全失業率 が,#厚生労働省 から #有効求人倍率 がそれぞれ発表されます。そして,今日令和5年9月期の #完全失業率#有効求人倍率 が発表されました。
しかし,これらの数値を見て「景気の善し悪し」を判断することはできません。

#完全失業率 とは,満15歳から満64歳までの人のうち,何らかの仕事に就いておらず,仕事を探す意思と能力を有し,かつ,現に仕事を探している人の数が満15歳から満64歳までの人の数に占める割合のことです。これだけを見ると,低い=善いことと捉えますが,実はそう簡単な話ではありません。

この数値は,#ハローワーク ( #公共職業安定所 )ベースのものであり,民間での求人状況は含まれていません。したがって,#ハローワーク を利用せずに求職活動をしている人は,当然「対象外」とされます。また,現在仕事に就きながら #ハローワーク で仕事を探している人も,対象外とされます。これらの事実に照らせば,実は #失業率 の実態は,不明なのです。

また,#有効求人倍率 も,「1.000倍を超えたからいい」と言えません。
(例1)失業者が1万人いる地域を受け持つハローワークに1万人分の求人が出された場合,有効求人倍率1.000倍です。
1万人÷1万人=1.000倍
(例2)失業者が1万人から9,500人に減った一方,求人人数が1万人から
9,800人に減った場合,有効求人倍率1.032倍(小数点第4位四捨五入)です。例2の場合,求人人数が減ったにもかかわらず,有効求人倍率は上昇しています。
(例3)失業者が1万人から1万1,000人に増えた一方,求人人数が1万人から
1万500人に増えた場合,有効求人倍率0.955倍(小数点第4位四捨五入)です。例3の場合,求人人数が増えたにもかかわらず,有効求人倍率は下降しています。
ここまで申し上げればご理解いただけると思いますが, #有効求人倍率 は「相対数値」でしかありません。実は,景気の善し悪しを物語る数値ではないのです。「相対数値」は,#完全失業率 にも当てはまります。

寧ろ,原因数値の増減の理由のほうがはるかに重要です。しかし,殆どの日本人は,そのことに目を向けません。ハッキリ言って,これでは騙され続け,負け続けます。

もちろん,再就職の結果 #有効求人倍率 が上がり,#完全失業率 が下がったのであれば,一言半句の文句を言いますまい。しかし,そうでないとしたら,根本的な原因を探って,それを改善しなければなりません。

結果数値の上がり下がりではなく,再就職件数の増減又は労働契約の成立数若しくは成約率こそが重要なのですが,これらに関する数値は公表されていません。

これからこれらの数値に注目する時には,少し別の見方,すなわち「疑い」を以って見てみることをおすすめします。

Lies, damned lies, and statistics. -Benjamin Disraeli.
嘘,大嘘と統計は,噓をつく。-ベンジャミン・ディズレーリ。

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