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まいねぇの東京物語3
ささやかな昭和年代記 3
母は体が弱く、何度も
たおれた。
入院をすすめられるたびに
家で寝こんだ。
子供を4人産んで、
難産が続いたので血液が
人の半分くらいに薄くなって
元気がなくなって
しまった。
たおれる度に
私は代わりにご飯を作った。
2年生の時には
お味噌汁に入れるワカメを
水で戻して切った。
母から
「ワカメは、煮ると
大きくなるから
1センチに切ってね」と
細かく指示され
まいねぇの東京物語2
ささやかな昭和年代記2
憧れの東京は
空気の中に
タクワンの匂いがした。
田舎暮らしだった
母と私と弟は
東京に仕事を見つけた
父と暮らすために上京。
父が呼んでくれたアパートは
東京の下町のさらにすみっこ。
タクワン工場が近くにあった。
大人たちが引越し荷物を
片付けている間、
ジャマにならないようにと
私は、初めての東京を
1 人で歩いてみることにした。
実は、東京に来るまで
タクワ
まいねぇの東京物語1
ささやかな昭和年代記 1
「お母さん、お水」というと
「お水を誰がどうしたいの?」と
母にたしなめられた。
「あのね、
まーちゃん( 私 )が
お水を飲みたいの」
あわてて、そう言い直す
もうすぐ6歳の私。
母はじっと聞いてから
「だからお水を
どうして欲しいの?」
私はハッと気がついて
「お母ちゃん、
まーちゃんは のど が
乾いてるから
お水をちょうだい」
と、また言いなおす。
小学
朝霧から現れた大きな黒い動物
その朝の東京は霧が立ち込めて
どこもかしこも真っ白に
けむっていた。
( 夢の中を歩いてるみたい )
引っ越したばかりの団地を出発して
ずーっと白い雲の中を歩いて
遠くなった中学を目指して
1 人で40分ほど歩く。
そのうちに
私の耳に
ハッハッハッハッと
なんだか荒い息が
聞こえて来た。
( え?なに、ヤダ。 息?)
ゾッとしてきた。
周りが良く見えない中で
息が近寄ってくるのが
感