いおりくん。

バンドサークルでは定期的にライブや飲み会が開催されていて、私は近所と赴任は決まっていたが、まだ先の勤務ということで結構ひんぱんに顔を出していた。いおりくんも一人が寂しいのか、よく来ていて、会えば必ず隣に座っておしゃべりするのが当たり前になっていた。

いおりくんは、早稲田大学卒業しといて本当は美大に行きたかった、それで人生挫折したと嘆いてインドに行き、我がを取り戻して帰ってきたという変わった子で、イケメンじゃなかったら冷め切ってるなと思いながらも、やはりどんどん惹かれていった。

彼のすごいところは英語は先生レベル。洋楽からポップスまでのジャンルをこよなく愛していて演奏もできる。かと思えば美大を目指していただけの事はあって日本画を恐ろしいぐらいのうまさで描き上げる。。10歳下の24歳の彼は私にとってスーパーマンだった。

もちろんそんな彼を放っておく女はおらず、遠距離中の彼女がいた。たまにその彼女の話をする度に、心の奥底の女の黒い感情が込み上げてくるのを感じていた。最初の方こそ、「いい彼女やな!」とか言ってたのに、どんどん「やばいなその彼女」とか言ってる自分にゲンナリしながらも止められない感情は黒い言葉になって次から次へと発せられていく。。

その内に彼は彼女のことをあまり言わなくなっていきました。

続く。。。

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