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吾輩が得意分野でAIに負けた日

負けた。
完敗である。

何に負けたかというと、ChatGPTに負けたのだ。

先週のいつだったか忘れたが、「ChatGPTにインターネット検索機能がついた」という日があった。

そこで、「昼飯をChatGPTに聞いてみるか」という気分になり、GPT-4oに「浅草橋でおすすめのランチ」を聞いてみた。

すると、行ったことのない店ばかり提案された。
ChatGPTの場合、以前なら実在しない店とかも平気で提案してきたので、まずはその店が実在するかどうか確かめに行ってみようと歩いて行った。

すると、ChatGPTがおすすめした5つのお店のうち、最初のラーメン屋が見つかった。しかも行列している。どうやら実在はするらしい。

果たして、ようやく辿り着いたお店は、やはり行列をしていた。

しかし、浅草橋のランチはどんな店でも昼時は行列するのは常識。
行列ができていたくらいで名店とはならないのである。

しばらく待つと、すぐに店内に入ることができた。
しかしそこで待ち受けていたのは、衝撃の体験だった。

大根とキャベツの漬物

突き出しの漬物が美味いのである。美味すぎる。
ここは洋食屋のはずなのに、どうしてこんなに漬物がうまいのだ。

漬物をおかわりするという未体験の体験をしてしまった。
そしてこの店のシグネチャーメニューっぽい、「四日市トンテキ」をオーダーする。

見るだけで美味そう

しかもこのトンテキ、食べる直前にバチンバチンとハサミで食べやすいサイズに切ってくれる。なんというホスピタリティ!

突き出しがうまい店にハズレなし。
トンテキも抜群に美味かった。正直、ここのトンテキを食べてしまうともう半端なトンテキ屋には行きたくなくなる。

美味ければ美味いほど、心を満たしてくるのは敗北の感情だった。

ChatGPTに負けた、グルメの知識で・・・。

それは想像以上に自分を落胆させる。

そもそも秋葉原、御徒町界隈を根城にしてもう20年以上になる。しかも豚といえば好物の一つ。その吾輩が、全く不覚にも、このお店に辿り着けなかった。

飯を食うこともできんようなChatGPTに、ネット検索のスキルでも負け、美味い店の発見でも負ける。

これがシンギュラリティか。

しかし、あっさりと地元でこんなに美味い店が発見できるということは、もうGoogleMapや食べログで飯屋を探すのは新たなる情弱ということになるだろう。

上野でトンカツ屋を検索して、かつやと井泉が一緒くたに出てくるような検索はそもそもぶっ壊れているのだ。まあ美食を求めなければ、なんでもいいのかもしれないが。

しかし、これで俄然、街が新たな輝きを放つように見えてきた。
これまで当たり前のように接していた浅草橋が、キラキラと輝いてくるのだ。

全く吾輩とは、吾輩という人間は、なんてちっぽけな存在なのだろう。

自分の好きな分野、得意な分野である食の領域においても、ChatGPTに遅れをとってしまうとは。ChatGPTはおそらく本当に色々なものを検索して「浅草橋で本当に評判のいい店はこれ」と選んでいるのだろう。そんなすごい店があと4軒もある。

毎日がワクワクで止まらない。浅草橋じゃなくて秋葉原なら、あるいは知ってる店の方が多い可能性もあるが、新店を見つけるのに食通の友達ではなくAIに聞いた方が早い時代が来るとは、流石に予想できなかった。

吾輩にとってのシンギュラリティはもう始まっているのである。