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寄席とか落語とか

春風亭柳好さんが夜の部の主任をされる浅草演芸ホールで寄席を見ました。

柳好さん目当てで行ったのですが、ザ・ニュースペーパーも舞台に!
あの松下アキラさんの、トランプ→バイデン→ジョンソンの軽快な演じわけを楽しんでいた瞬間、松下さんは、なにかふっつりと切れたように「時間ですよね」と一言、舞台を後に。
それに周りのメンバーもあたふた、ただでさえ少ない観客の反応が悪かったからでしょうか、すごく残念な気持ちになってしまいました。

その時、あれ?聴いたことがある出囃子が...。
なんと三遊亭遊雀さんではないですか!
遊雀さんは、桑野聖さんや中瀬香寿子さんと「動物園」を落語と音楽のコラボで、ゼロバイゼロのアート作品「Brilliant Noise」とのインスタレーションなどでご一緒させていただいた方です。
この日の演目も痺れました。
聞こえるか聞こえないかという語りに、登場する人物の思いが憑依して、なぜか涙がポロポロこぼれてきました。

そしてトリは柳好さんのテンポある語り。
可笑しいのになぜかただ笑うだけではなくて、その先にある話の中に、人々の生き様をしっかりと聴き手に植え込んでゆく。
落語はただの「お笑い」ではない、芸であり、芸術なのだと改めて知りました。そして私たちミュージシャンと同じく、時間を震わせる中に技があると深く感じた舞台でした。

誰のために演ずるのか。
誰のために表現するのか。
映画「名付けようのない踊り」の中で、田中泯さんが語っていた
「周りの人や空間との内なるコミュニケーション」。
そして同じ瞬間は2度とないこと。
そんな言葉たちが、帰り道、頭の中をぐるぐると巡っていました。

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