【無料LIVE】奈日抽ねね生誕LIVE2023年【ジェムカン】感想
始めに
これは2023年7月31日に開催された【無料LIVE】奈日抽ねね生誕LIVE2023年【ジェムカン】の感想です。
歌は苦手でダンスが好きと公言していたのも今は昔、立派に歌って踊れるアイドルへと成長した奈日抽ねねが五年目にして、ワンマンで生誕ステージを行ったそのライブについて綴ります。
感想
①私、アイドル宣言 / CHICO with HoneyWorks
三年前に発表した奈日抽の「~~ってみた動画」の1stにして、最初は「踊ってみた」だった楽曲。その後も自身の歌唱をライブで披露するなど、段階を重ねて自身の代表カバーとして印象を深めた一曲。
今回の披露にあたって、特に印象的だったのは『歌とのリンク』。
元よりダンスのキレに定評のある彼女だが、かつての踊ってみたよりも、歌に添った『重み』がある。節毎に振りの速度に豊かな緩急がついていて、振りに忠実なのではなく「曲を表現するダンス」だった。特にキメの部分の余韻がとても良い。歌唱する以上は純粋な踊ってみたより変化して当然だが、その変化こそが彼女のキレのあるダンスに『深み』を与えているのかもしれない。
そして、特筆すべきは『語るように歌う』歌唱だと思う。全編に渡ってそうだが、彼女がダンスの他にもう一つ得意とする『朗読』のように、感情が声に込められ、それがとてもストレートに伝わってくる。楽しいも悲しいも悔しいも、声で分かる。特有のミックスボイスと独特のニュアンスが持ち味だが、より花開いたように思う。
踊りながら歌う事が相乗効果となり、そして積み上げてきた自信によってその魅力を輝かせるに至ったのがとても感じられるナンバーだったと思う。
②ヒロイン育成計画feat.涼海ひより(CV:水瀬いのり)/HoneyWorks
今年相羽ういはさんとのコラボ歌って踊ってみたで発表された楽曲。
一曲目で輝いたものが、この曲で更に広がっていく。
純粋に歌そのものの躍動感が強くなり、それによって『語るような歌』も色味を増して、更に要所要所に挟まれた台詞は抜群の破壊力をもっていた。この「台詞読み」がメロディから外れることなく自然な台詞になる所が、彼女がもつ破格の武器だと思う。
ダンスも動画に比べて、更に体の入れが深くなり、振り子のような左右の揺れが大きく感じられ、とても見応えがある。Aメロで横から正面に展開する時は首だけでなく全身をしっかり入れているし、Bメロの「さ・い・ご」の腕振りのふわりとした余韻も素敵だ。
そしてコラボ動画で一番の見所だったサビ半ばのヒールタッチ。これをライブでは前から後ろに切り替えている。ミニスカートを考えての変更か分からないが、次の振りで足を引いた側から腰を出しているので、順序良く腰を左右に振る形となり、続けて重ねていく捻りにスピード感がのって気持ちいい変更になっている。
③ギフト / オーイシマサヨシ
奈日抽がファンを公言しているオーイシマサヨシさんの楽曲。アニメ『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』のOPで、公式のダンス動画もある。足さばきなどアレンジが要所要所に加えているが、概ね原曲のダンスと共通している。
だから、普段は見ないBメロのような素早く踵を振る(チャールストン?)ステップもダイナミックに魅せている。びっくりするほどヌルヌルと滑るステップを踏みつつも、自分らしさを混ぜ込んでいるので、恐らく自身で振り付けているのだと思う。大好きなアーティストの曲をアレンジを加えて楽しく歌って踊っている姿は見ているファンとしても嬉しくなる。
そして、休憩なしに三曲ぶっ続けで、ここにきてもっともカロリーが高いであろう難しい曲を歌い切った。これも変わる事無く彼女らしい感情の込め方で可愛さに溢れていた。ほぼ息切れもなく、アイドルらしい煽りも存分にいれた、満面の笑みのパフォーマンスはまさに天使のようだった。
メンバーからのメッセージ①
本当に癖が強い……。独特な間と言葉遣いが真面目に話してるだけなのに面白いレイカ様とポン姉に続いて、ひなちゃんの緩急極まった誕プレソング。思わず終わった?!と突っ込んでしまう短さ。
そして、小瀬戸の妙に遠いメッセージ。この面白さは本当に随一だと思う。食べ物の恨みが完全に私信でしかない。
④サインはB / B小町
話題の『推しの子』劇中歌にして、大石昌良さん作詞作曲の楽曲。
これを星菜日向夏(以下ひなちゃん)、小瀬戸らむを加えたicysweet組での披露。悪ふざけの動画から一気に切り替えて、本気に楽しく歌い踊った。
見ていて楽しいは、三人のダンスのシンクロする瞬間がばっちりキマった時。もはや慣れ親しんだフォーメーションダンスはお手の物で、三者三様の歌い方と踊り方もあり、フリーの際は各人の個性のままだが、いざシンクロした途端、動きの幅や強調の勘所がしっかり共有されて、全くバラけておらず綺麗に見える。それは歌のトーンも同じで、しっかりとバランスがとられている。
楽曲の楽しい雰囲気がゲスト二人の空気と相性が良い。しかし、意外とこの手の曲を真面目に歌う事が少ない二人でもあるので、爆レスの部分では思わずドキドキしてしまう。絶対にチュッとか言わない二人だからこそ。
それにしてもひなちゃんのソツがないダンス力は歴然だが、小瀬戸のダンスのキレと歌の安定感が増してると思う。
本当に有料級の完成度の高さを感じている。
MC①
誕生日暴露トーク。ゆるゆるしつつもダレない面白トーク。なにぬを責めてる小瀬戸の横で、サンドイッチを踏み潰すポーズをしているひなちゃんが面白い。
⑤恋愛裁判 / 40mP feat. 初音ミク
この演目は本気で見所に溢れていた。ここだけちょっと熱量変わる。
まずは何と言っても、マジ顔ひなちゃんのマジ歌唱が見れる。彼女の、可愛いでも遊んでるのでもない『かっこいい歌唱』は本当に聞いてほしい。ひなちゃんほど『やればできる娘』は中々いない。可愛い歌によく合う語尾のしゃくりが低音と合わさって、とてもセクシーな響きに変わる。
そして、小瀬戸の「ah Jesus」が本気で素晴らしい。ダウナーソングの名手となった彼女の、色気あふれる声がそこにあった。声を張り上げた時の切なさと力強さは、グループトップレベルのクオリティがあると思う。胸倉掴んで聞かせてくる魅力がある。
そして、奈日抽のダンスが最も激しくなった2番Aスタート。この一人舞台で見せた圧巻のダンスはカメラの抜きっきりに納得しかない。とにかく全身を駆使した流れるような捻りがすごい。これはSSでは分からないので、本当に動画を見ないと分からない。
本当に歌と踊りをバッチバチに仕上げてきて、見た瞬間は鳥肌が立った。可愛いアイドルが良い曲を歌うだけじゃなく、エンターテイメントとして研鑽を重ねた演目を魅せてくれる。
GEMS COMPANYが時折牙を剝くように見せてくれる極上のダンス&ボーカル。今年になってオリジナルソング以外も多く披露する中、それが随所で見られるようになったのが本当に嬉しい。
コメントもここにきて最大級に熱狂していた。
メンバーからのメッセージ②
どうしてこのグループはボケないと気が済まないのだろう。またボケ方が、本当に小ボケなところが愛せる。
⑥チェリボム / Silent Siren
バンド楽曲に、恐らくyoutubeにある男女ペア風オリジナル振付を参考にされている。本家も非常にキレがある可愛いダンスをされていて、それをジェムカンカワイイ担当の二人がしっかり表現している。
個人的に、長谷みことさんも奈日抽同様にダンスのポテンシャルが高いと思っていて、とにかくキメが上手い。どのポーズで留めれば可愛いかが分かっているから、ダンスの着地が非常に綺麗。自身の可愛いを理解してる『長谷みことを踊らせたら一番上手い女』。
そんな静と動が良い二人が踊るダンスだからキレッキレだ。歌い終わった後に息切れが止まらないほど、本当に激しく目まぐるしいダンスを踊っているのに、簡単に見えてしまう。
そして可愛い声が揃って可愛い歌を歌ってしまうと、もはや問答無用だと思う。ここまでワザとらしさが全くないあざとさなのに、ダンスがガチ過ぎて、かえってアンバランスを感じてしまうまである。
MC②
五年も経つと、初期の頃の色んなことが笑い話としてポロリしてきて、とても有り難い。
⑦milk boy / Silent Siren
この曲の入りでミルクボーイのネタを差し込むあたりがジェムカン。
前回と同じバンドの楽曲で、恐らく振り付けも同じ方。本家のダンスはかなりカップル的な接触が多く、この演目も二人が絡む振付がとても多い。
カメラに収まっていないだけで結構二人揃って完成しているポーズが山ほどあったはず。このダンスの醍醐味は『てぇてぇ』構図なのでもっと魅たかった。
はげしい踊りとピタリと余韻を残すキメが交互に入った見所の多いダンスで、交差する所も非常に多い。彼氏役になる長谷みことさんが随時奈日抽の後ろに入るので、自ずとメインをお誕生日ガールが占めることになり、その点でも二人のダンスでありながら奈日抽が主役になる良い選曲だと思えた。
二人のリズムの取り方やタイミングの合わせ方は息がぴったりで殆ど乱れが無い。元からユニットであったかのような完成度をしている。
本当に二人の可愛い声の親和性が高い。Cメロの裏声は本当に美しかった。前の曲同様、可愛い二人が問答無用の可愛いを歌う、可愛いに囚われるパフォーマンスになっていた。
MC③
お水飲むにも小芝居が入るw
⑧あくあ色ぱれっと / 湊あくあ
ホロライブ湊あくあさんのオリ曲。
だけど、これ振付オリジナルか? 本家のダンスや踊ってみたのどれとも違う。奈日抽が今まで踊ってきた要素が散りばめながら、歌詞に素直に合わせた振付。自分で振り付けたのだろうか……。
本家さんとまた違った、奈日抽らしい素朴さのある可愛さを見せながら、熱いものを端々に込めたものになっていて、ただのカラオケでない所まで持ってきているのが凄い。
それにしても、ステージをここまで進んできて、一曲目から歌の表現力が上がってきている。声も前に出ていて、しっかり響いてる。
やはりステージをこなす現場でアイドルは成長するのだなぁ。
⑨ダーリンベイビ / 中川かのん starring 東山奈央
アニメ「神のみぞ知る」のヒロイン中川かのんさんの歌。
え、これも振付オリジナルか……? 絶対にそのまま歌う事をしないプロ根性。もう一時間もほとんど休まず踊り続けてる。
それでも、だからこそ歌に力みなく、自然と張る声が出ていて、それでいて落ちサビにはアドリブを加えてくる。それがまた可愛い。
一つ前の曲でもそうだけど、『笑顔』のワードがきた時にしっかり笑顔が花咲くような振りにしているのが本当に良い。そしてやっぱりエモい曲と奈日抽の声の相性がとんでもない。一気に引き込まれる。
それにしても本当に様々な方面の曲を引っ張ってて、バラエティ豊かなセトリになっている。
(アンコール)誇り高きアイドル / mona(CV:夏川椎菜) HoneyWorks
奈日抽の初めての歌ってみたであり、『私、アイドル宣言』と並んで彼女を象徴するカバー。本当にハニワのアイドル曲との相性が深い。
筋金入りのドルヲタでそのまま自身もアイドルになった彼女は、その可憐な姿からは想像も出来ないほど負けん気が強くて頑固で、だからこそ踏み出したアイドルという職業に並々ならぬ愛を抱いている。
その愛をありったけ込めてのアンコールソング。
特に落ちサビの「いつも家族の愛があって」の部分に強い響きが入ってからの「生きている ――アイドルッ」からは完全にアイドル物語の主人公だった。
そこからの歌は奈日抽との一体化が凄かった。ラスサビはもう、言葉も無い。ひたすら泣かされる。「アイドルなんかという言葉を、見てないくせに"言うな"」の最後のがなりにも似たアドリブは感極まる。
この部分が、今回のコンサートで一番良い声が出ていた。
可愛く歌おうなんてせず、ただただひたすらに感情をのせた歌唱は、まさしく奈日抽という誇り高きアイドルの叫び。『語るように歌う』彼女の魂の調べ。
アイドルアニメ特有のエモさを自ら体現しているのが、本当に凄い。
誕生日の祝福と同時に、これだけの歌唱を披露してくれたことへの感謝が止まない。
終えた後、エンドカードでソロ曲のインストを聞きながら、そういえば、ソロ曲を披露していなかった事に気付いた。絶対勝利の武器ではなく、全編カバーでやり遂げたことは、それこそ歌が苦手だった彼女の大きな挑戦だったのかもしれない。
それを賞賛するように、インストが終るまで長い間コメントから賞賛が鳴り止まなかった。
終わりに
奈日抽ねね集大成のライブだったと思う。
ここに至るまで培ってきた彼女の魅力と、新しく光り出した魅力が詰まっていた。
なんというか、ステージの熱量が物凄い。長谷みことさんの時もそうだが、詰め込みが尋常ではない。そしてクオリティが矢鱈滅多高い。
それにしても、ダンスの奈日抽というだけあって、本当にダンスのクオリティと見所が多かった。正直彼女の激しい動きに体のモデルが追い付いてない部分すらあった。 定期ライブと生誕祭で、ここまでのクオリティを積み上げてきた彼女達が八月のライブで何を見せてくれるのか。
楽しみを通り越して、そろそろ怖いまである。
でも、本当に楽しみにしているので、どうか体を労り、怪我など気をつけながら、最高のステージを見せてほしいと願っている。
とても素晴らしいステージでした。
お誕生日おめでとうございます。
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