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75点の日

昨日は野暮用で上野へ。だいぶ久しぶりの上野。
いつぶりだろうと記憶を遡ってみると最後に行ったのは多分6〜7年前、友人のおすすめで行った湯島の江戸前鮨のお店だったか国立西洋美術館のモネ展だったか。誰と行ったか忘れたけど、熟成肉のお店に行ったこともあったかな。

3〜4回しか行ったことないあんまり馴染みがない街。昼間に行ったのは初めてで、すごく気持ち良かった。ガヤガヤしてるけど街全体に活気があって、公園やら美術館やら動物園やら自然豊かな場所や文化的な建物も点在してて、上野ってこんないい街だったんか〜と思った。

で、まあ野暮用とは何しに行ったかというと、別に隠すことでもないので言うけど美容外科にカウンセリングに行ったんだ。
人生初の医療美容のカウンセリングを受けに。(医療脱毛と歯列矯正は除く)

まあ30年以上生きてると、もともとあったコンプレックスがさらに肥大化してくるわけで、ひとつでもなくせるものならとっととなくしちゃって残りの人生楽しく過ごした方がいいじゃん!と思い、勇気を出して行ってみたわけです。ちょうど学生の春休み時期とかぶってたから混み合ってて、一ヶ月も前から予約して指折り数えてこの日を待ってたのね。

ところがどっこい、インスタで見たニコニコ笑顔で優しく喋る陽気な感じとは違い、めちゃくちゃだるそうで眠そうな空気を纏った男性の先生が出てきた。
「あーはい、今日は初めてということで。うん、なるほどね。あーいんじゃないすかね。うん。じゃ、このやり方でいきましょうね。」と酷くローなテンションで流れ作業な感じで終わった。

「眠かったのかな…まあSNSで見せるテンションと普段のテンション違うことなんてよくあるよね…わたしにだってそういう時全然あるし…」と自分に言い聞かせて、その場は終わった。

そのあと別室でスタッフの方が見積もり書やら契約書やらを持ってきてくれた。値段のことやこのオプションは本当に必要なのか?などと色々質問し、うーん慎重にいきたいしちょっとここで判断しきれんなーと思ったので「ちょっと一度持ち帰って考えてもいいですか」と言うと、一気にスタッフさんの顔色が冷めた感じに豹変し、わたしは驚いた。

こういうことはよくあると噂には聞いていたが、こんなにもはっきり人の態度が白から黒へ変わる瞬間を初めて見たので、わたしはすっかり萎縮し、「すみません、こんなに説明のお時間割いていただいたのにここでちゃんと決められなくて…」とぺこぺこ謝るのであった。

初の美容医療への道が残念な形で終わり、結構凹んでいたのだけど病院を出たらすーごい天気が良くて、春の日差しが気持ちよかった。
わたしは単純なので「まあまだ最初の一歩だしね!こんな天気いいのに落ち込んでるのがもったいない!使う予定だったお金浮いたし(?)肉でも食って帰るべー」と元気を取り戻し、パルコヤに寄ってカルビ重を食すのであった。
上野の街に元気づけられた。ありがとう上野。

お肉やわらかくておいしかった

そして肉を食べ、さらに元気を取り戻したわたしは、下の階のZoffに行って新しいブルーライトカットのメガネを購入。
Zoffってすごいね、会員登録してなくても電話番号だけで前回作ったメガネの度数や形まで記録に残ってるから視力検査し直さなくてもすぐ同じ度数でサクッと作れるんだね。3年前に店舗で会員登録せずに作ったメガネの度数記録が残ってたからフレームだけ決めてささっと作れた。

前はボストンの形だったから今回はウェリントンにした。んでもってずっと真ん中のゴム無くしたままで痛くてかけられなかった古いメガネもついでに直してもらった。

この調子で友人にゴリ押しされた映画でも観にいっちゃおうかしらね〜!とルンルンで電車に乗り、上映時間が差し迫っていたので超ダッシュで新宿のTOHOシネマに向かった。

汗だくで息ぜえぜえ状態で到着したら、わたしが観たかった回だけまさかのチケット完売。「そうだ、今日はついてない日だった!」と、ハッと思い出した。

コーダあいのうた、リベンジするからな…


それでもまためげずに元気を取り戻したいわたし。帰りがけに占いの館があったので、せっかく新宿まで来たんだしどうせなら浮いた映画のお金(?)で見てもらおう。思いつきで中に入ってみる。

1000円で30分も見てくれて、「あなたここ3〜4年はすごい忙しかったと思うんだけど、その時期が一旦区切りでこの一年はたくさんリフレッシュして沢山楽しいことしてインプットしてね。あなたは人一倍凹みやすい性格だから、たまにツイてないって日があってもできるだけ気にしないですぐ忘れるぞって精神で過ごしてね」と言われた。4年続いた連載がちょうど終わるタイミングだったし、今日がまさにそんな日だったので「超当たってます!!」と思わず前のめりになった。


お母さんと同じくらいの年代の女性で、占いに関係ない世間話も弾んで、とても楽しい時間だった。「あなたって話しやすいわねぇ、なんだか楽しかったわ!ありがとう」なんて言ってもらえてお世辞でもうれしかったし、わたしも楽しかったから、やっぱり楽しさってのは人に伝染するんだなあと思った。

さっきの美容外科の話じゃないけど、あの先生にとってわたしは毎日沢山来る患者さんのうちの一人で、つい流れ作業になったり決められたルーティーンの中に組み込まれてしまったからあんな感じだったのかもしれない。だけどやっぱりわたしにとっては長い時間をかけて一大決心して、大きいお金をかけて自分のコンプレックスをなくして生まれ変わりたい、という気持ちでそこに行ってるわけだから、そこの温度差がちょっと悲しかったんだ。むずかしいな病院選び。技術も大事だけど、人も大事。

そのあとに、占いの館で手相を見てもらって心から「楽しかった!」って思えたのは、毎日沢山色んな人を占いしてるであろう占い師さんが、わたしのことを「沢山来るうちの一人」じゃなくてちゃんと一人のお客さんとして接客してくれたからだよなぁと思う。

自分も、仕事とか慣れた人間関係の中でそういうことしちゃってないか?と自問した。「してないです!」なんて堂々とは言えない。
ありがたみとか、慣れた関係性に甘えちゃって、つい礼儀を忘れてしまったりすることもある。こりゃいかんな、責められんなーと思った。

自分の漫画を必要としてくれたり、依頼してくれる人のその奥にある心をちゃんと考えて接しないと、だめだよなって。良いものを描くっていうのは仕事でやってる以上当たり前の話で、それ以前の部分でさ。それがなかなか難しかったりするんだよな。

ということを思い直せただけで、なんかこの日は色々あったけどよかったんじゃないかなと思った。

歩き回って走り回って心も身体も相当疲れたけど、焼き肉はおいしかったし、メガネは気に入ったし、よかった。

結果的に75点くらいの日になった。
合格合格。

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