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神戸⇄長浜往還記22

2024.5.4(晴れ)
日焼けしそうな一日。朝コンビニのサラダチキン。まずい。昼は「たい風」へ行きラーメンライス。晩は豆腐、ブロッコリーとエビのサラダなど。飲まず。ホテルに戻り読書。エリアーデ『永遠回帰の神話ー祖型と反復ー』。翻訳の問題か、文意がかなり掴みづらい。でも出てくる言葉が面白いので別に文意など掴まないまま読む。人の話をいちいち全部理解して聞こうと思わないように、こういう本は小難しいインテリ泥酔おじさんの話を適当に聞いてる体で読むと楽しく読める。
ところで鏡を見ると少し顔が赤い気がする。やはり暑さで焼けたか? ランボーが行商人だったころの太陽は…などと馬鹿なことを、おれはもう考えたりしない。

2024.5.5(晴れ)
風の強い日。雲一つない晴天。朝サラダチキン、昼食わず、晩はすき家にて、牛丼や漬物など、それから誘惑に負けて瓶ビール。酒精に導かれてもう一本。こいつは蛇足。なかなか綺麗に飲むのは難しい。
店内でずっと謎のソフトロックがかかっている。辻くんが喜びそうな。
ホテルに戻りエリアーデ読む。科学のない、いわゆる神話世界に儀式を通して遡行すれば解決する問題もあるのでは、と考える。もっと個人的な見立てで世界を読み取るべきなのかもしれない。「目に映るすべてのことはメッセージ」、別にユーミンをとりたてて好きではないが(ということにしているが)、気づいたシンボルに気づきを得ること、たとえば易とはそういうことだと、ルー・リードも、ジョン・ケイルも(ヴェルヴェッツは易経に傾倒していたとどこかで見た)、ジョン・ケージも、ブライアン・イーノも、トム・ヨークも気づいている。チャンス・オペレーション。そういうことには、ブルトン率いるシュルレアリスム、バロウズらビートニクもとっくに気づいている。
世界は、人々が信じていない非常識によって作られている。


2024.5.6(雨)
長浜から神戸へ。雨の中、小走りに帰り、電車内で『マトリックス・リローデッド』観る。それから我が町にやってきた谷くんと妻と三人で「まさ」で酒を飲む。「美学のないやつは嫌いや」と何度も言っていた。家でボードゲームなどして遊ぶ。深く酒を飲む。

美味いビールをありがとう、西田くん



2024.5.7(くもり)
泊まった谷くんと「東山」で珈琲飲み、「たこ八食堂」でチキンカツ定食を喰う。とびきり美味い。そのまますこし話して解散、こんなにゆっくり谷くんと遊んだのはひさしぶりかもしれない。昔は同じ車に乗って、いろんなところで演奏した。
帰って昼寝し(自分は昼寝というものを恥ずかしく思っていながら、その実なにより愛しているかもしれない、ということにいま気づいた)、晩ははやめに妻と外に出る。道中、花壇に、外国人の男の人がおそらく仕事で水をやっていて、嬉しくなる。彼はこの国が好きだろうか? 「来来」に行く。にんにくそば。チャーハン。唐揚げ。クラシック・ラガー。最高だ。これからビールはクラシック・ラガーしか飲まないことにする。焼酎は黒霧島。ウイスキーはホワイト。こうしておれはどんどん頑固な因業じじいになってやるのだ。昔話をしたせいか、バンドがやりたい。機材は届いた。明日から制作が始まる。ライブもやりたい。呼べる客もいないが。一から。どうにか。ドラマーおらんけ? どっかに、ほんまにまともに叩けるドラマー。ロックのこと知ってるドラマー。後ろから勇気をくれるような。いまならあのころよりもうちょっとやれるのか調べたい。自分を。己自身を。

すべて酒とレコードと本に使わせていただきます。