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坂本真綾 LIVE TOUR 2015-2016 “FOLLOW ME UP” @ アルファあなぶきホール

「今回、なんと香川県に初上陸しました。四国は前に、愛媛でライブしたことはあるんですけど…」

その愛媛で2012年に開催されたミツバチツアー以来、約3年ぶりに、
坂本真綾さんのライブに参加してきました。
下にセットリストをのせていますが、3年前の愛媛公演との曲かぶりは…、
アンコールの1曲だけ(いつものアレです)。
あとはすべて、ライブではじめて聴く曲ばかりです。これはうれしい!

真綾さんいわく、今回のセットリストについては、
・4月のさいたまスーパーアリーナ公演では表の代表曲をならべた。今回は裏。
・自分の個人的な好みで、いま歌いたい曲をえらんでいる。
・地味。王道ではない。自分の根暗なところが出ている。

…とのこと。
なるほど、今回演奏した曲を見てみると、
もちろん最新アルバム『FOLLOW ME UP』の曲がおおいのは当然として、
いわゆるグレイテスト・ヒッツ的な構成ではないですね。
「えっ、この曲をいまもってくるのか!」というおどろき、感動が何度もありました。
とくに、今回のライブでぼくの涙腺が決壊した3曲について。

「DIVE」

海のなかを思わせる深い蒼のライティングから。
「うわあ、まさかこの曲をいま歌うなんて…」
この曲が収録された2nd『DIVE』は1998年、真綾さんが18歳のときの作品。
このアルバム、私的には「孤独」〜「DIVE」という最後2曲のながれが大好きで。
10代のかたくなさ、清濁あわせのめない純な想いが凝縮されていて、
「こんな気持ちをかかえていたこともあったなあ、もうもどれないけれど…」なんて。
あまりにもまぶしいゆえに、聴くたびにいまの自分がおしつぶされそうで。

なのに、いま30代になった真綾さんの歌声で聴くと、
ふかいかなしみがありながらも、一筋の希望が見えてくるような。
「10代のころに歌った曲も、いまの自分にフィットするんです」と真綾さん。
20代、30代で知ったたくさんの想いをそそぎこむことで、
曲があらたなすがたになって、観客のまえにあらわれているようです。

ちなみに真綾さん、『DIVE』のころ菅野よう子さんに、
「おまえさー、高校生の今井美樹みたいだなー」と評されていたそうです。
な、なるほど、わかるような…。

「Hello」

2005年のアルバム『夕凪LOOP』の1曲目。
2011年におこなわれた「You can't catch me」ツアーにおいて、
セットリストにいれることをかんがえていたそう。
しかし、最初の2公演がおわったときに、3月11日の東日本大震災が発生。
そのため、ライブの舞台美術や構成も変更を余儀なくされ、
この「Hello」もセットリストからはずされて、演奏をあきらめたといいます。

死んでしまった恋人が、それでも愛する人のそばにいたくて、
ときには風になって耳のピアスをゆらしたり、
ときにはラジオですきな曲をかけさせてみたり。
「生きることをあきらめないで」とかたりかける、という内容の歌詞です。
震災の直後では、聴くのがつらい歌になってしまうと判断されたのでしょうか。

菅野よう子さんのプロデュースからはなれての1作目ということで、
当時は「どんなアルバムになっているんだろう」と不安でしたが、
この1曲目をきいた瞬間に「ああ、いい曲だ。いい作品だ」と思ったものです。
そしていま、表現力を増した歌声でこの曲を聴いて、
ファンでいつづけてよかったと、あらためて思いました。
天国に行ってしまった、いろんな人のことを頭に浮かべながら。

「これから」

映画『たまゆら〜卒業写真〜』の主題歌。
劇場で第1部、第2部を観たあとにながれるこの曲で、
そのたびにまんまと泣かされてしまうのでした。
おのれサトジュン監督め、またも泣かせやがって…(スミマセン)。

さいたまスーパーアリーナ公演でライブ初披露となった「これから」。
スクリーンにうつしだされる、20年間のいろいろな瞬間の映像が、
歌詞の内容とあいまって感動をよび、
それを見ているぼく自身の20年間にも思いを馳せることにも。

ただ、この曲にこめられた感情はそれだけではなくて。

昨年10月、『たまゆら』にも出演されていた、
声優の松来未祐さんが亡くなりました。
38歳という、あまりにも早すぎるさよならに、おおきなショックをうけました。
神様、なぜこんなことをなさるのですか、と。

その悲しみをそっとすくってくれたのも、やはりこの曲でした。
「どんなさよならにも意味があるって 誰かが歌ってた
 私にはまだわからない ああ これから それを知るために」
大切な人と離れることになっても、たとえそれが永遠の別れであっても、
いつかそのことに意味を見いだせる日がくるのだと。

あれ以来、いつこの曲を聴いても、つらい思いが胸にくるようになってしまって。
それでもいつか、笑顔で一緒にうたえるようになる日がくるのだと思います。
時間とともに気持ちが落ち着いてくるのか、自分の中でおりあいをつけるのか。
どんな心模様になるのかは、まだわからない、なのですが。

きょうの真綾さん、いま好きな曲を3曲えらぶとしたら、でえらんだのは、
「アイリス」(さっき歌ったばっかりだから、というのもあるんだけど…)
「これから」(ああ、いい曲つくったな〜)
「シンガーソングライター」(ああ、いい曲つくったな〜…自分の曲ばっかり)
の3曲でした。
「みなさんも、自分が好きな曲がどれか1曲でも入っていたらいいな、と思います」

ともあれ、意外な選曲もおおくて、大満足の内容でした。
あと感想としては、
「はじまりの海」のアコースティックギタースタイルや、
「まだうごく」のバンドアレンジが新鮮でよかったなあとか。
後半に着た純白のワンピース姿が超キレイだったなあとか。
まさかこのながれで「プラチナ」は予想外のよろこびで変な声が出たなあとか。
やはり佐野康夫さんのドラムテクが尋常じゃないわ…とか。

また四国にきたときは、かならず参加しますね。
それまでの寒い季節は、今回買ったストールと、
ミツバチツアーで買ったスマホ対応手袋でしのぐことにします。あったかあったか。


【セットリスト】

1. FOLLOW ME
2. Gift
3. SONIC BOOM
4. Be mine!
5. さなぎ
6. アルコ
7. Waiting for the rain
8. 君の好きな人
9. はじまりの海
10. That Is To Say
11. DIVE
12. Tシャツ
13. まだうごく
14. レプリカ
15. Hello
16. 幸せについて私が知っている5つの方法
17. 色彩
18. Life is good
19. プラチナ
20. かすかなメロディ
21. アイリス
22. シンガーソングライター

(Encore)
1. これから
2. ポケットを空にして

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