ボケのなれ果て①:砥石

ボケのなれ果て:Twitterで特定個人に対してボケまくった結果生成された物語群。ある意味私の唯一の創作物となっており、その形態はツイートを適当にメモにコピーしておいただけのものなので途中からはじまり途中で終わる。完結させる気も続ける気もないただの設定。

砥石

現代日本、砥石業界は大きな試練を迎えていた。枯渇していく採掘場、参入してくる安い人造砥石たちのせいで天然砥石たちは苦境に立たされていた。天然砥石は高くて買えない...それなら貸し出せばいいんじゃないか?ということで派遣会社トイッシーは設立されたのだ。
トイッシーの若きエース、石兎(いしと)には可愛い彼女がいる。石兎は彼女をとても大切に思っていた。彼女をなんとしても派遣会社トイッシーで擦り切れさせたくなかったのだった。彼女のために石兎は人一倍働き人一倍稼いだ。それでも砥石が一生を生きていくためにはあと少しだけ足りないことに気づいたのは彼の腕がバキッと音を立てて折れた時だった。
もう彼には少し細くなった足と胴体しか残っていない。でも足りない100石は自分の残りの寿命では稼ぎきれないことは明白だった。そんな時彼の耳に飛び込んできたのは「鈍器の募集」の情報だった。そう、日給が1石の擦り切れることもない石兎が稼げる仕事、それは鈍器だったのだ。
彼は戦場を駆け巡った。戦士もてぃと共に、数多のフォロワーを殴りつけ数多の煽りを受け流した。武器を助ける側だった彼は数多の武器を壊し返り血を吸い込んでいった。足りない100石を稼ぐ頃にはかれは赤黒く染まった砥石になっていた。
血に染まった彼は彼女に別れを告げる。空に広がる夕焼けの中、日の光を浴びて一層赤く燃える彼の体に元の凛々しい石兎の面影はなかった。「もう君の元には戻れない」それが彼の最後の一言だった。
彼はそのあと砥石として人生を歩んだ。戦場を駆け巡る刀たちは血を吸った彼の体を擦り付けることによって一層切れ味を増した。戦いは激化したくさんの人々を犠牲にした。もう石兎に心はなかった。

戦争は終わった。石兎は戦争の象徴になっていた。もう手も足も残っておらず、薄い胴体だけになった彼は触らずとも折れるような体だった。それを、人々は粉々に壊し海に撒き散らした。彼の体は一粒の砂も残らなかった。

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