ダンスとキャバ嬢と彼岸花7

翌日意外と早く起きた友人は、ソープに行き
たいと言い出した。
専門雑誌を見て行きたいお店の候補もあるようだ。
同伴前に抜いてしまったら牙が抜けてしまうのではと言ったが、それくらいでちょうどいいらしい。
前菜みたいなものだと。
仕方ないので車で吉原に向かう。

行く途中でいくつかのお店に電話していたが、お目当ての姫の予約が取れなかったそうで、フリーでお任せで遊ぶことにしたようだ。
店の前に停めると呼び込みのおじさんが停めてくれるというのでキーを預けて店に入った。
友人はフリーといいつつ写真を見て選んでいて、私は気になる子がいなかったのでトイレを借りて出ることにした。
まてよ、吉原の周りを散策してみるか。
スタッフのおじさんに投げ込み寺の場所を聞くと、他の店に行かないんですか?と笑われた。
せっかく初めて来たんだから観光してみよう。

吉原は映画、小説、マンガと色んなもので題材にされている。
偉人が出てくるものだと割とみんな遊びに行っているので興味があった。
今ネットで調べたところ、元々は日本橋のあたりにあったそうだ。
火事、他の未認可の売春宿が増えたこと、武家屋敷用の土地が足りなくなったことなどから幕府から引っ越しを要請されて今の浅草の裏手に引っ越したそうだ。

投げ込み寺は思ったより遠かった。
ここは恐らくずっと移転せずにあるのだろうから、実際に投げ込まれたということを想像すると、なんとも言えない気持ちになった。
なんとなく時代劇の風景を想像して思いを巡らせるようなことしか出来ないけども。

そういえば吉原グルメといえば馬肉ということは聞いていたので探してみることにした。
なんとなくだけど街中には無いだろうから大通り沿いに周囲を回ってみよう。

おもいがけずにあっさりと見つかった。
渋い。
創業何年なんだろうか。
当時は理由を知らなかったが今調べてみると、百姓が遊び代を捻出するのに馬を売ってしまい、在庫が余って食べることにしたそうだ。
馬力を付けて遊びに行く。
同伴で美味いもの食べてお店に行くのとあまり変わらないような。
今も昔も男はそんなもんなのかもしれないと可笑しくなった。

まだまだ時間はあるからもう少し歩いてみる。
撮影で使えそうな歴史のある銭湯を見かけて嬉しくなる。
東京にもこんな銭湯があるなんて。
そこから商店街に出て、一本奥の道が吉原だ。
生活感のある街から急に異世界になる。

当時も周りから見えないように道を斜めに作ったりしたそうで、今もその名残があるらしいから今と変わらないじゃないか。

まだ時間には早いから浅草寺の境内で座ってぼーっとしていた。

吉原は明治維新を経て規模が縮小して今くらいの範囲になったそうだ。
もし、もっと浅草に近かったら売られてビルになっただろうからもう残っていないのではないか。絶妙な場所だろう。

浅草演芸ホールの前を通りビートたけしの歌を思い出しながら吉原に戻った。
昔はなぜかたけしはよく歌っていた気がする。

やはり吉原に近づき、道を渡ると雰囲気が変わる。
これが何故か不思議で今でもその日のことは覚えている。

店に着くと友人はまだ出てきていないようで、中で待たせてくれるというのでお言葉に甘えて待合室でナイタイやマンゾクを読んでいると友人が出てきた。
車に乗ると、気持ちいいんだが、気持ちはいいんだが、気持ちは確かにいいんだが、と言っていた。
詳しくは別で書くが、大満足とはならなかったようだ。

昼に馬肉でも食べるかと提案したが、お昼ほ東京観光案内してくれるキャバ嬢と一緒に食べるそうだ。
夜、店で合流するかと言われたが指名嬢もいないしやめておいた。
飲み終わったら迎えに行くと伝えて別れた。

この前友人にLINEして聞いてみたがソープの店名は忘れていた。

同伴したキャバ嬢の名前は覚えていた。

シェアハウスを建てて破産しましたが、キャバクラは給料から払ってますのでご安心ください。