D_001 恋は永遠

Mさんに出会ったのは2017年の12月。
わたしはまだ16歳だった。
Mさんは某コーヒーチェーン店の店員で、わたしは入店してMさんの顔を見た瞬間かんぺきに一目ぼれしてしまった。こんなにかっこいい人がいていいのか、って一瞬立ち止まってしまうほどで、これが一目ぼれなんだ!ってはっきりわかった。(ハチクロの竹本くんみたい)
ちなみにバレーボール選手の筧本選手に超超超似てるのでよかったら調べてみてほしい。
その日は勉強しながらただただボーッと見つめてただけだった。黒のタートルネックに緑のエプロンがありえないくらい似合っていた。また会えたらいいなーなんて思っていただけの淡い恋心だった。

2回目に見たのは、わたしがバーカウンターの真ん前のテーブル席に座ってるときだった。
わたしの隣に座ってた女の人二人組が、頼んだドリンクが気に入らなかったらしく、代わりのものを持ってきたのがMさんだった。
話しかけられたわけでもないけど、となりにMさんがいるって状況にすっごいドキドキしたし、いつか絶対話しかけてやるって決意を新たにした。
Mさんはボソボソって説明してから戻っていった。女の人たちは「あの人何言ってんのかわかんないね」って言って笑っていて、わたしは嬉しかった。ライバルは少ないに越したことはない。
たしかにMさんの声はめちゃめちゃ低くて、それにボソボソ喋るから聞き取りにくかった。わたしはそこが好きだった。
今になって思うけど完全に仕事中のMさんのこと見つめすぎてたな。もう遅い。

3回目、ここではじめて喋る。
一目惚れしてから一ヶ月ぐらい経っていた。
Mさんさんいるかなーいたらいいなーって入店して、ぱって顔上げたらレジがMさんだった。わたしは死を覚悟した。いや、無理、無理無理無理無理、本当に無理……でもここで出て行くのも変な話だし、わたしはこのときめちゃめちゃ(恋の)やる気に満ち溢れてたからがんばった。なんなら、おすすめありますか?って聞いた。世界一好きな顔を目の前にするとろくな言葉が出てこないことを、わたしは身をもって知った。Mさんは顎をさすりながらわたしに「いつもどんなの飲みます?」と尋ねた。
「ラテばっかりで……」
「知ってますよ(笑)」
ひどい顔をしていたと思う、認知されてたことにびっくりしすぎて、「えへへ」としか言えなかった。認知、認知されていた。

4回目、三時間勉強して(Mさんは途中で出勤してきた)帰りにラテを買って帰ろうとしたら、バーカウンターにいたMさんに話しかけられた。Mさんがいることはもちろんわかっていたけれど、まさか話しかけられるとは思ってもみなかったから、わたしは慌ててしまった。

「なんの勉強してたんですか?」
「試験の勉強です」
「大学生やっけ?」
「ううん、高校生……」
「うそー見えへんね、勉強頑張ってね」

それから、「じゃあねー」と言って手を振ってくれた。Mさんがわたしに手を振ってくれた、そんなことってあるんだ。その日はドキドキしすぎてなかなか眠れなかった。

5回目、土砂降りの祝日。
ブックオフで羽田圭介さんの「スクラップアンドビルド」を買って意気揚々と向かったら、見慣れたボルドーの自転車があってヨッシャ!と思った。Mさんはいつもその自転車に乗って通勤していた。毎回駐輪場じゃない場所に停めてたからすぐわかる、自由人すぎる、そういうところも好きだった。
雨だからか店の中に二、三人しかいなくて、レジもMさんで、ほんとに最高……と思いつつラテを頼んだ。またラテじゃん、なんて笑われた。作ってくれたのもMさんで、わたしは幸せの絶頂ってこれなんだなーなんて思った。

一番入り口に近い席で羽田さんの本を読んでたら、誰かがこっちくるのが見えた。店員さんが机拭きにきたのかなーと思って顔を上げたらMさんで、わたしはしばらく固まってしまった。なんだってこんなに顔がいいんだよ!

「なに読んでんの?」
ちなみにこの時点ではもうタメ口だった、客商売としてどうなの?わたしはちょろいので一撃、よくわかってるなって思ったし、完敗だった。
「羽田圭介さんの、今年芥川賞とったやつです」
「えー知らんなー」
「本よく読まれますか?」
「読むよー」
「好きな作家さんとか……」
「んっとなー」

ここで二、三分黙って悩んでくれていた。わたしは仕事しなくていいのかとか、怒られないのか、なんて思っていたけれど、Mさんはいつも飄々としていたし、自然児だったから、あまり心配することはなかったのかもしれない。思う存分下からMさんの端正な顔を眺めていた。

「幸田露伴とか……、知ってる?」
「五重塔しか読んだことないですけど、わたしも好きです」
このときはじめて自分が本をたくさん読んでたことに感謝した。ありがとうございますわたし。

「あとは、青山二郎とか」
「?」
「骨董評論家で、……若い女の子が読むような本じゃないよ」

読んでいた本に「青山二郎」とメモした私に向かってそう言った、おじさんくさい発言に、わたしは思わず唇を噛んだ。
「じゃあおすすめの本教えてください」
んっとねー、と言って悩んだMさんは、結局露伴の「幻談」と夏目漱石の「草枕」を勧めてくれた。

十分くらい話していても、業務に戻る気配がなかったので、わたしはそれを前向きに受け止めて、勇気を出して「黒のタートルネック似合ってました」って言った。初めて話したとき着ていたタートルネックが妙に印象に残っていたからだ。けれど、その日Mさんは白いワイシャツを着ていたから、ちょっと失礼かなと思い直し「今のも似合ってるけど、わたしはタートルネックが好きでした」って言い直した。
Mさんは愛想笑いかほんとに思っているのか、「ありがとー」って言って笑った。いつも無愛想で無表情だから、笑った顔は結構貴重で、わたしは自分がそれを引き出せたことがたまらなく嬉しかった。
タイミング悪くお客さんが来たから、わたしに手を振って、「ゆっくりしてね」なんて言いながら自分仕事に戻っていった。あーあー恥ずかしいこと言っちゃったなー、でも、なかなか可愛いことを言えた自分がちょっと誇らしかった。

それから家に帰って二冊とも、ソッコーアマゾンで注文した。このころには紛れもなく恋だった。はじめから恋だったけど。

届いた日から、まだわたしには難しかった草枕を一生懸命読んで、読み終わったその日にお店に行ったけどMさんはいなかった。そんなにうまくはいかんよね、と思って、また次の日行ったらいた。しかも黒のタートルネックを着てた。前会った時より気温は高かったのに。そんなことってある?期待しちゃうじゃん、なあ、責任取れよっての。
入店した時はインカムつけてドライブスルーを担当してたけど、わたしに気づいてブンブン手を振ってくれた。ラテを注文して、バーカウンターで「草枕読みました」って言ったら読むの早いねー、おもしろいでしょ?と嬉しそうに笑ってくれた。そのとき、Mさんの前世は詐欺師か呪い師だろうなと思った。そうじゃないとこんなに魅力的なのはおかしいから。

6回目。レジがMさんだった。ちょうどカードの残高がなくなってしまっていたから、5000円チャージしてもらった。「こんなにして大丈夫?」って尋ねてくれるMさんに、「最近羽振りがいいんです」って答えた。この時には、もうここで会えないなんて微塵も思っていなかった。
この日、Mさんの名前を知った。きっかけは忘れちゃったけど、わたしの名前を聞いてきたMさんに、食い気味に訊ね返した覚えがある。Mさんの名前はメチャメチャ格好良くて、いやMさんを取り巻くすべてのものは格好良いんだけど、なんて言ったらいいか、すごい似合ってた。
この日なに頼んだか忘れちゃった。多分ラテ。かなり空いてたから二人がけのテーブルにひとりで座って、英語の長文の勉強をしてた。チラチラMさんのことを見ながら一時間くらいたったとき、わたしのテーブルの近くに誰かが歩いてくるのがわかった。休憩に入ったMさんだった。

「何聴いてんの?」
「チェットベイカー……」

手前の椅子の背もたれに手をかけて、わたしに話しかけてきた。夢かと思ったけどたしかに現実で、わたしはメチャメチャ混乱しながらもかっこつけれるモノ聴いててよかった、と思っていた。

「へえ、ジャズ好きなんや」
「詳しくないけど、好きです」
「いい趣味だね、レコードとか聞く?」
「いえ、ぜんぜん……」
「あげよっか?」

あげよっか?あげよっか?ってなに?Mさんのものをわたしにくれるってこと?すごい、やばい、わたしの人生のゴールかと思っちゃった。

「え、うん、ほしいな……」
「いいよ、あげるよ」

Mさんは猫みたいに笑う、細い目をいっそう細めて、にーって笑う。わたしは何よりその顔が好きだった。それから十分くらいわたしの席でグレングールドと漱石の話とか、富岡鉄斎、日本画、西洋画の話をして、Mさんはまた仕事に戻っていった。

まだぼーっとしながら、夢かと思いながら、ビルエヴァンスとマイルスを聞いてたらMさんさんが台拭き持って出てきて、
「いまマイルスとコルトレーンのセッション流れてるよ」
って声をかけてくれた。好きな男がジャズが流れてることを教えてくれた瞬間、一生忘れらんないよ。

この日の夜にamazonで割と値段のするレコードプレーヤーを注文したにも関わらず、結局レコードはもらえなかった。いまもわたしの部屋で一度も使われることなく飾られているプレーヤーを見るたびに、ほんとになんだったんだろうと思う。運命とか思ってごめんだよ。

3月28日、Mさんが働いてる店の近くにはショッピングモールがある。わたしはその中のユニクロに向かって歩いていた。
tofubeatsの水星を聴きながら、たぶんその時もMさんのことを考えていた。古着のシャツと黒のプリーツスカート、Helsinki Lambda Clubのカバン、化粧もうまくいった日だった。
駅の中を抜けて、お店に入って、向かいから歩いてくる人を見てわたしは目を疑った。信じられなかったけれど、私服のMさんが向こうから歩いてきた。黒の半袖に黒いパンツ、黒のカバンを持っていた。あと黒のオールレザーコンバース。
「Mさん?」
すれ違うときに声をかけたら、Mさんは驚いた顔で「なにしてんの?」って言った。

「ユニクロ行こうと思って」
「そう」
「……もしかしてお店やめる?」
「やめるよ、なんでわかったの?」
「なんとなく……」
「そっか」

わたしはほんとになんとなく、そっけない顔を見て、「Mさんはやめてしまうんだろうな」と思って、そう言ったけれど、あんまりにもあっさり肯定するから、わたしはびっくりしてしばらく動けなくなってしまった。

「やめるんだ……」
「さみしい?」

また例の笑い方でわたしをたぶらかすから、わたしはまた恋でしたすみませんでした、と謝りたくなる。ぼーっとしてるうちにMさんはそのまま踵を返して歩いて行ってしまうから、わたしは慌てて追いかけた。

「どこ行くんですか?」
「ユニクロ行くんじゃないの?」

そのまま振り返らずにさっさと歩いて行くから、わたしは、案外やさしくないんだな、と思いながらついていった。

見るでもなく服を見てたら、急に「それ似合いそう」とMさんが声をかけてきた。そのときわたしが手に持ってたのは赤のワンピースで、わたしは咄嗟に「こんなかわいいの似合わないですよ」って言ってしまった。Mさんは明後日の方を見たまま、「似合うよ」ってはっきり言った。
結局そのワンピースは買わなかったし、今も赤の服なんてひとつも持ってない。あのときあれを買って、デートに誘っていたらなにか変わっていたかなって今でも思う。

「俺からだ焼きたいんだよね」
まだ三月なのにどういうことだよ、なに言ってんだと思いつつもわたしは素直にそれに従い、Mさんについていった。ショッピングモールの外には芝生の広場みたいなところがあって、わたしは寝転がるMさんのとなりに座った。

「今から自転車で琵琶湖行くけど」
「うん」
「いっしょに行く?」
「……遠慮しときます」

十ヶ月経った今でも、このときの選択が間違っていたのか正しかったのかはわからない。行こうと思えば、駅で自転車を借りて、無理やりスカートをたくし上げてでも行けただろうけど、行ったところで、という気持ちにもなる。でもたしかにMさんは、わたしに行くかどうか訪ねてくれたのだ。わたしはそのことが今でもうれしい。
それから気づいたら一時間経っていた。携帯を持ってきていなかったMさんのメールアドレスを聞いて、そこにラインのQRコードを送った。
Mさんは自分のレシートの裏面に、わたしが貸したボールペンで、くせのある字を綴った。下敷きにしたMさんの財布はボロボロの革で、わたしはらしいなあと思って少し泣きそうになった。

「気が向いたら追加するよ」
と、意地の悪い言い方をするMさんに、わたしはうん、そうして、とだけ言った。

「俺はね、ほんとに悪い大人だから、やめといたほうがいいよ」おもむろに立ち上がったMさんはそう言うから、「なんでも好きだよ」と笑って返事をした。Mさんは黙ったまま下を向いた。
Mさんはしばらくしてから
「そろそろ行かなきゃ、駅まで一緒に行こう」と言った。
わたしは道すがら、枯葉がたくさんついたMさんの背中をさわった。Mさんはなにも言わず、振り向かずにただうなずいた。いまさら聞けないけど、あのときなんでうなずいたんだろう。もう覚えてないかな。

「じゃあね、あれ乗って帰って、新快速だし一駅だよ」
ぶっきらぼうな台詞に、わたしはきゅんとしてしまった。わたしの最寄駅覚えてたんだ、って。単純でどうしようもない。わたしは改札を通り抜けてから、手を振った。
「2年後!2年後また告白するから!大好き!」
自分が言った言葉をはっきり覚えてる。素直に可愛いこと言えるじゃんね。ただ、可愛いこと言えても恋はかなわないよって、あの時の自分に教えてあげたい、そもそも希望はなかったよって。

ここからは、3月28日の日記からの抜粋になる。なかなか恥ずかしいことばっかり言っているけど、この時の感情そのままでここに置いておく。
「恋は理屈ではない」
「テオゲネス」(←Mさんのグーグルアカウントの写真がこれだった。古代ギリシアのボクサー)
「ふつーに脇毛生えてて興奮した」
「恋、うすまらん」
「高校生にライン教えんの初めてだって!理論上初めての女」
「○○○(Mさんの下の名前のアルファベット表記)だったからasukaにした」
「ひかえめにいおうが世界一」
「milestonesもう聴けん」
「夏なのにMさんに会えない 一緒に琵琶湖行きたかったよ」
「てか寝転んでわたしのこと上目遣いで見つめてたのなに?セックスアピール?困る」
「毎日死にたかったけど、Mさんからの「ゆっくり頑張りや」で無敵になれてしまった 生きる 二度目の告白を成功させなきゃいけないんだよ」
「178センチ」
「さっきのこと、どこ切り取っても映画になりそうなのに バッドエンドじゃ困る」
「アラサー 定職についてない ヒゲが濃い 甘言でつる 冗談ばっかり ダメなとこばっか 好き」
「さいふめっちゃボロボロやった」
「かっこよすぎてムカつく」
「クソ」
「若気の至りって言いたきゃ言え」
「怒ってんの?って怒ってないわ さみしいだけだわ」
「既読無視激しいところももはや好き」
「若干エラ張ってんのも好きだよ」
「制服嫌い 制服嫌い 制服嫌い……」
「タバコ吸うんかな 吸わないらしい」
「ねがお見れたら死んでもいい ぜんぜんいい キスして死ぬ」
「Mさんの幸福にわたしも介入したかった」
「Mさんも起きたら眠いって思うし、お腹も減るし、お風呂に入るために服も脱ぐし、パジャマも着るし、眠くないけど寝なきゃって思う夜もあるんだろうね 愛しい」
「ピアス開けた方がいい?って聞いても、どっちでもいいよって答えるだろうな」
「欠けてるのはMさんだけ 埋めるように色々求めちゃうけど結局あの人のことを思い出させる引き金になる どうにもならん」
「次会えたらなに話そうかな 好きだって言おう」
「下手したら毎分考えている」
「一生黒髪短髪でいてほしいけど 金髪にしたところで世界一」
「全部頑張りたい 好きだから」
「負けたくない 冷めるなんてとんでもないけど いつかそう感じる時が来るのかな 来ても負けない 一生勝ち続けるから」
「爪を褒められた」
「グレングールド・富岡鉄斎・夏目漱石」
「マイルスとコルトレーンのセッション!って台拭き持ってわたしのところまで来てくれた、冬」
「こんな感情抱かせてくれてありがとうね」
「58分に店入ってきた瞬間恋だった」
「ずっと 好き が持続するかなんてわからんけど 16のときに世界一の男に教えてもらった本と音楽を忘れることはない それで十分」
「なんも怖くないわ」
「顔が宇宙一好きだから見つめられると困る 固まる」
「サングラス似合いそう」
「なんでもいいから心身ともに元気でいてね」
「恋は恋」
「朝から胃にエスプレッソぶち込むとやばい!って言ってた 可愛い」
「今日も明日もずっと、朝日で目覚めて美味しいご飯を食べていろんな知見を得てよく眠れますように」
「AV見んのかな」
「恋は文化的行為」
「Mさん、宗教の100倍強い」
「ピロートークしなさそう」
「ふつーーーに会いたいで」
「20歳の時35歳に見られたのやばすぎ」
「黒しか着ないのなんで?」
「Mさん、HBっぽい 顔じゃなくてすべてが」
「犯罪犯そうがなんだろうが好きなんだろうな」
「救ってくれ」
「わたしは芯の無い人間 Mさんは自立した人が好き」

夏。
もうどうしようもなくなって、Mさんのフルネームを英語で検索すると、あっさりFacebookがでてきて、わたしはなんだか拍子抜けしてしまった。わたしが振られた4日後から投稿は始まっていて、故郷の鹿児島の景色とか、家族のことが全部英語で書かれていた。英語は苦手だったけど頑張って読んだ。Mさんの文章でつづられたMさんの感性が、わたしは大好きだった。話してるときにふと顔を出す言語センスの良さも、鋭い感性も、文章だと何度でも反芻できていい。
何はともあれ被れやがってよ、と思って出身大学の欄を見たら、オーストラリアの大学だと言うことがわかって、何度目かもわからない、恋でしたすみませんでした、を繰り返した。

秋。
すべてを知っている友達と会う機会があった。なぜかMさんが働いていた店で集合ということになっていて、わたしはなんだかな、という気持ちになった。なんだかな、と言っても、わたしはMさんがそこをやめてからも週一のペースで通っていたし、ただその子とそこにいくのが気恥ずかしかっただけだ。

「ラインすればいいのに」
あっけらかんと言い放つ彼女に、わたしはゲーという顔をして、「やだよ」と返した。
「気持ち悪いじゃん、返信きてないのにさ」
「もうとっくに気持ち悪いよ」
「うそ」
「焼け石に水みたいなかんじ」
「それ意味あってるか?」
「知らんけどさ、行動しなきゃなにもないよ」
わたしはとっくに行動し尽くしたつもりでいたから、面食らってしまった。別に返信が来てなくても、メッセージを送ってもいいんだ。
それから30分かけて、なんどもふたりで推敲して、口に出して、これだ!ってなったメッセージをちゃんと自分で送った。
友達は何度も「わたしが送ろうか?」と聞いてくれたけど、そんなことはしたくなかった。
返信がないまま三時間経って、夜がすっかり更けたころに友達と別れた。わたしはちょっと涙ぐみながら、十分かけて歩いて帰って、ベットの上で一時間、ラインの通知をオンにして、抱き枕を抱きしめて待っていた。
既読がついたのはそれから二時間後だった。わたしは足をバタバタさせて、きっと夜のうちには返してくれるだろうから、と思って眠った。「日なたの窓に憧れて」を聴きながら眠った。

朝の5時、目が覚めてすぐに電源をつけると、Mさんからしっかり返信が来ていた。わたしは飛び起きて、ベッドの上で正座してそれを読んだ。わたしのメッセージに対する返事と、最後に「おれは元気にしてるよ 無理せずに ゆっくり頑張りなね」とあった。
わたしはなんでもMさんだった。Mさんが世界だと気づいた。世界のすべてとかどうとか、そんなに甘いものじゃなくて、わたしの世界はMさんだった。なにをしてもなにを見てもMさんを思い出して、Mさんと一緒にいたくて、それだけを望んでいた。
その「ゆっくり頑張りなね」のひとことでわたしはずっと、ずっと今まで生き延びてきてしまった。

Mさんがいない日々はつまらなかったけど、次の次の春には会えると思って日々を重ねた。だからどうというわけでもなかった。「18歳になってないんだからそういう目では見れないよ」がどこまで本当なのかも分からなかった。Mさんはどこかで適当な女を抱いているだろうし、わたしはずっと停滞していた。

冬、「会いたいです」ってラインを送ったら、「いいよー」って言われたっきり無視された。わたしはこの頃には期待しないということを覚えていたから、そんなにがっかりしなかった。うそ、死にたくなった。
結局、1日たりともMさんのことを思い出さない日はないまま12月になった。このころには一生会えない気さえしていた。

12月1日、わたしはMさんが働いていた店にfpの勉強をしに向かっていた。午後14時ごろ。最寄駅で降りて、いつものようにエスカレーターの左側に寄って、重たいカバンを抱えて改札を出ようとした。ICOCAをポケットから出してふと、なんとなくまわりを見渡したら、ボロボロの黒のコンバースが目に入った。
(Mさんと同じ靴だ、やだな〜)と思って全身見たら真っ黒で、まさか、まさかと思ったけどもう心臓バックバクで、チラリと見えた横顔で確信した。絶対そうだ絶対Mさんだって、ぼんやり細い脚を見てた。今いかなくてどうすんの。絶対Mさんだ、会いたかった、9ヶ月も会いたかった。
なんでか坊主になってるMさん(と思しき人)を追いかけて、さっきと逆のホームの階段をゆっくり慎重に降りて、ホームの椅子に座ったMさんを3秒遅れで追いかけて、横に立って「Mさん?」って声をかけた。びっくりしたようにバッて上を向いたのは紛れもなくMさんで、わたしはまた泣きそうになった。Mさんもなぜか立ち上がってくれて、
「覚えてるよ、あすかちゃん、ここでなにしてんの?」
って言った。
ここでなにしてんの?じゃないよ、なんで名前覚えてんの?ずっとあなたのこと好きだったんだよ、270日間、ずっと好きだったよ、って言おうと思ったけどうまく言葉が出てこなくて、えへ……って言ったきりだった。出会った時のこと、何度もシュミレーションしてたのにぜんぜん言葉が出てこなくて、もっと練習しとけばよかったって後悔した。

「どこ行くんですか?」
「京都」
「誰かと会うの?」
「夜にね」
「……一緒に行ってもいい?待ち合わせまで」「いいよ」

いいよ、いいよだって!自分から聞いたくせして信じられなかった。タイミングよく着た電車に乗り込んで、席が空いてなかったからふたり立って話をした。夢じゃなかった。「元気でした?」とか「今も彼氏いないの?」とか、「バイト辞めたの」とかどうでもいい話をした。
「彼女いる?」って聞いたら「5人ぐらいいる」って言ってたけど、それが本当なのか、それともセフレのことなのか、それとも全部嘘なのか、どうでもよかったから、「6人めにしてよ」って言った。「それは無理」って言われた。ウケる、ウケない。「わたしが高校生だからどうにもならないの?」って聞いたら「それはどうかな」って答えが返ってきて、ほんとにこの男はわたしに興味がないんだなって今更ながら思ったりした。

「きみと俺とは10も違うからね」

沈黙の後で小さく発されたその言葉に、わたしは心底自分の年齢が憎くてたまらなくなった。なんで17だからどうにもならないことがあるんだよ、でもしょうがなかった。わたしはなにも答えず黙っていた。

わたしはMさんの前でだけ素直になれた。いつもは可愛げのあることも言えないし、愛想もないし、不器用だけど、Mさんにだけはちゃんと思ったことを言えた。Mさんは理屈っぽくて偏屈な人だったから、わたしがふと言った言葉に食いついて「それどういう意味?」って聞いてくることも多かった。だからわたしはMさんと話すのが好きだった。

二駅めでちょうど二つ席が空いたから、Mさんがわたしの腰に手を回して、あそこ座ろ、って言った。マジで殺したかった。
「髪伸びたの」って呟いたらふっと耳のあたりを触られて、わたしはどうしようもなく泣きたくなってしまった。
それから「男の裸知らんやろ」って言われて、ムカついたから、あと一年ちょっとだよって言ってやったらゲェって顔して黙殺されてウケた。そんなに嫌そうにしなくてもいいのに。

左手薬指にたまたまはめていた指輪を目ざとく見つけたMさんは、「そんなとこにつけて、男の子声かけてくれなくなるよ」って言った。わたしはもう傷ついた顔を見せることもなく、「うん」とだけ言った。そのあとMさんはつまらなそうに顔を背けてしまったから、失敗したなと思ったけど、どうすればいいのかはわからなかった。というかMさんに出会ってから今まで、どうすればいいかわかったことなんてないな、と思った。

ドラッグストアに寄るって言ったMさんに「そういうのやだ」って言ったら「セクハラやめて」って言われた。うるさいな、お前は存在がセクハラだろうがナンパしてワンナイトばっかしやがって馬鹿野郎が。と思いながら店の外で待っていた。すっごい惨めだった。
ICOCAにチャージするから!後ろで待ってて!絶対どっか行かないでよね!ってMさんの肘を掴みながら小声で言ったらハイハイって返してくれた。

きみは大学行ったほうがいいよ、って真剣な顔で言われた。大学に行けば選択肢は10が10のまま、高卒だと10が5に減っちゃうよ、って指折りながら説明してくれた。

「Mさんさんは大学行った?」
「行ったよ、いろんな出会いがある、行ったほうがいいよ」
「生まれ変わっても行く?」
「それは行かない」

「爪綺麗だね」
「ありがとう」
「身長何センチ?」
「161」
「それにしては指長いね、俺はきみみたいに勉強しかできないわけじゃないから、こういうこともわかる」
そう言ってMさんは可愛く笑った。
「べつに勉強できるわけじゃないよ」
「あんまりじぶんのこと卑下しちゃダメ」
Mさんのその言葉にわたしはちょっとびっくりしてしまった。そんな優しい言葉をかけてくれる人だと思ってなかったから、なんとなく気まずくなって、わたしは左に座っていたMさんの指にふれて、爪の短さにちょっと傷ついたりした。

「君に影響を与えすぎてると思うと悪い」
「どういうこと」
「きみは真面目だから、俺が好きなものを調べて好きになろうとするでしょ」
「だって好きだもん」
「そういうことじゃないんだよ」
なに、なにそれ、全部あなたでいいんだよ、と思ったけどわたしは黙っていた。

事あるごとに好き好き言っていたら、「ほんとに勘違いだからやめときなよ」って言われて今までで一番ムカついた。なんでMさんがそんなこと決めるの?って聴いたら、怒ってる?って目を覗き込まれて、わたしは何も言えなくなってしまった。弱い、Mさんには勝てない。
世界中にお前よりいい男がごまんといることは百も承知で、その上でわたしはあなたがいいって言ってるのに、この分からずや、ボケが、と思いつつ肩を殴ったらびっくりしていた。ごめんねバイオレンスな女で。

ヒールを履いてるわたしにかまわず、ボロボロのスニーカーでさくさく歩いていく後ろ姿がかっこよくて最高だった。最高なわけあるか。本命とだったら歩幅合わせるのかな、と思って死にたくなったけどMさんが前言ってた「俺には愛も恋もわからんわ」を思い出して嬉しくなった。わたしも一生選ばれないってことなのにね、変な話だ。

ナンパが趣味だからこの辺の地理は詳しい、って豪語するMさんの後をついていったら、京都駅の近くにあるイオンモールの中のスタバに着いた。
めちゃめちゃ混んでたけどMさんが席を見つけて、わたしの肩をやさしく押して「座っときな、なにがいい?」って言ってレジに向かっていった。携帯なんて見れなかった。Mさんだけを待っていた。
何分か経ってカモミールティーとホットコーヒーを持ってわたしのいるところに歩いてくるMさんはやっぱり世界一カッコよくて、色あせたスウェットに坊主のくせして、本当に意味がわからないくらいカッコよくて、わたしはほんとうに生きていてよかったと、そのとき初めて思った。世界ってこんなときに美しく輝いて見えるんだ、Mさんのことが好きでほんとによかった。

本日3回目の「適当に彼氏を作りなさい」が出て、わたしはうんざりした。Mさんはほんとになにもわかってない。
あの日「俺のなにが好きなの?」って聞かれなくて本当に良かった。答えられないから。
もはやMさんの顔とか体とか声とか性格とか歩き方とかそんなことはどうでもよくて、Mさんが存在していることだけが嬉しくて、希望だった。

どうでもいい話ばっかりして、(外人の女の子が好きだって謎の暴露を受けたり、きみ普通に可愛いんだから彼氏でも作りなよって世界一残酷なセリフを吐かれたりした)三十分くらい経った。
そろそろ出ようか、って言われたとき、ほんとにこれでお別れなんだなと思った。寂しくはなかった、もうとっくに自分の感情がよくわからなくなっていた。

外に出たら、さっきよりも風が強くなってた。ふたり歩きながら、Mさんの歩幅の大きさとか、大きくて骨ばった手を気にしながらわたしは言わなきゃいけないことを言った。

「わたしはMさんだけが好きだよ」

Mさんはこっちを見もせずに、心底興味なさそうに、「ありがと、でもほんとに、俺は恋とかわからないから」って言った。

「恋じゃなくても一緒にいることはできるでしょ、だめなの」
「だめだよ、辛いだけじゃん」
「そっかー」

べつに困らせたかったわけじゃないから、わたしはつとめて明るく返した。
沈黙がもったいなくて、わたしはMさんにいろんなことを聞いた。

「Mさん、タバコ吸う?」
「吸わないよ」
「意外」
「そう?きみは吸いそうだよね かっこつけだし」
「うそ、そんなふうに見える?」
「うん」

「ほんとに恋したことないの?」
「うん わかんないんだって」
「彼女は?いたことある?」
「内緒」
「やけるなー」
「勝手に妬かないで」
「それこそわたしの勝手でしょ」

「好きな男の子とかいないの」
「だからMさんさんのことが好きだって言ってるのに」
「ごめん」

そうやって喋ってたらすぐに京都駅に着いてしまった。今更だけど、わたしの今日の服装は、黒のオーバーコートにタートルネック、プリーツスカート、黒のヒール。Mさんはあいも変わらず黒のモッズコート、スウェット、パンツ、コンバース。まるでペアルックじゃん。はたから見たらカップルだろうな、お似合いかな、そんな日は一生こないってわかってるからこそうれしかった。

どこで間違っちゃったのかな、って思った。Mさんを好きになったこと、3月にMさんに声をかけたこと、さっき追いかけてしまったこと、正解を教えてほしかった。わたしはなんでもMさんだったのに、どうしようもなかった。

わたしはスタバを出てからずっと、Mさんのコートの肘のあたりをつかんでいた。手をつなげなかったのはわたしの遠慮と弱さ。何回も「勘違いされるからやめて」って振りほどかれそうになったけど、「誰に?もうちょっとだけだから許して」って離さなかった。けどもう終わりの時間が近づいてた、わたしたちは改札の前で立ち止まった。

「ほんとに好きだった」

わたしの最後の告白はアナウンスで薄まってしまって、やっちゃったなーとぼんやり思った。Mさんはまた困ったような顔をしてて、そんな顔をさせてごめんね、って心底思った。でもあなたにも非があるじゃん、気を持たせるような仕草ややりとりをした、あなたにも非があるじゃん、って。

「わかった、じゃあね、もう次の電車乗って、早く帰って」

Mさんはそっけない声で答えて、コートの袖を握ったわたしの手を引き剥がした。こうやって突き放したり酷い言葉をかけてきたりするのに、ここまでついてくるのを許す意味が、許すMさんのことがよくわからなかった。一生わからないのかもしれない。
わたしはほんとに泣きそうだったけど、素直にそれに従って、「絶対また会ってね!」と言いながら、改札を通った。迷惑かけたいわけじゃなかったから振り返らなかった。あんまり覚えてないけど、多分このときには泣いてた。
もしかしたらあれが、わたしの人生において最後に見るMさんの顔だったのかもしれない。ぶっきらぼうな顔、もっとよく見ておけばよかった。まつ毛が長くて、重い一重で、ちょっとエラが張ってて、高い鼻が目立つ顔。もっとよく見ておけばよかったなあ。

それからも何事もなかったように月日は流れた。世界にとってはわたしの失恋ぐらいなんでもなくて、どうでもいいことらしい。精神安定剤の薬を増やしたり、学校を度々休んだりしながらなんとか生きていた。
わたしは、1年間も好きだったくせしてMさんの名前の漢字すら知らなかった。その事実に打ちのめされてはその度、甘やかな思い出に生かされてしまっていた。
お店の近くやその駅に行くたびにキョロキョロして、Mさんを探して、がっかりして、その繰り返し。夜になると、Mさんさんは今頃女の人といるのかな、なんて趣味の悪い想像をして、ひとり布団で泣いて、そうやって過ごした。つまらない人生、Mさんだけが光ってるこの人生をどう続けていけばいいのか、全く分からなかった。寂しいだけの日が続いていた。

黒のオールレザーコンバースの紐を、Mさんにならって細い黒の紐に変えたりした。
京都まで行って青山二郎のエッセイを読んでから、美術館に行ったりした。当日券を買うために長い長い列に並んでいたら、どこからともなくやってきた小柄なおばあさんが、わたしに前売り券を握らせてくれた。「お友達が行けなくなっちゃったから よかったら」と言うから、わたしはそのぶんのお金を払おうとしたけれど、「いいのよ、もらって」と何度も言われて、結局わたしは受け取ってしまった。なんだかなあ、すごい嬉しかったけど、ひとりであることをまざまざ突きつけられた気がしてちょっと泣いた。展示を見ていてもわたしには美しいことしかわからなくて、となりにMさんさんがいてくれたらいいのになあ、なんて贅沢で傲慢なことを考えた。

わたしが住む街に初めて雪が降った。5センチ。わたしはすぐにMさんのことを考えて、うわーと自己嫌悪に陥った。
雪を見ながら、わたしはMさんが健やかな、すばらしい暮らしをしてくれていたらそれでいいのかもしれないな、と思った。わたしがそこに介入することができれば、たしかにそれは世界で一番素敵なことかもしれないけれど、わたしはMさんにただただ元気でいてほしかった。Mさんが朝日で目覚めて、おいしいご飯をたくさん食べて、いろんな人と会っていろんな知見を得て、たくさん眠って、健やかに生きていてくれればそれでよかった。
なんてな、嘘だよバーカ、わたしと人生共にしてくれよ。

サニーデイ・サービスを聴きながら、Mさんと恋人になれる世界線のことを夢見て、寒空の下堤防を歩きながら泣いた。
12月31日の日記にもMさんの名前がチラチラと光っていた。わたしの人生でずっと点滅して消えてくれないMさんは、どうやって年越しするのかなって考えながら眠った。

いまだに、Mさんとしたかったことを考える。線香花火してベランダでお酒を飲む、綺麗な海に行く、パン屋さんに行く、逃避行、サニーデイ・サービスを二人で聴く、腕の中で眠る、まだまだあるし、きっと書ききれないほどになってしまうからやめるけど、一生、ひとつもできないことにはもうとっくに気がついている。

1月1日の午前8時に、「あけましておめでとうございます 去年は迷惑かけてごめんなさい 今年もよろしくお願いします」って送った。
結局そのメッセージには、その日もその次の日も、次の次の次の次の日も既読さえつかなくて、わたしは夜中の3時に泣いて泣いて泣きまくって、そのメッセージを消した。
もうやめてやると思った。こんな不毛な片思いは続けていても仕方がないってやっと気づけた。
恋ってもっとキラキラしてて美しくて、儚いものだと思ってたのに、わたしの恋は恋とも呼べないくらい汚くてダサくて恥ずかしいものだった。でももうこれでおしまい。Mさんに捧げた一年間、死にたいぐらいに最低で最高だった。世界一好きだった。人生で初めて大好きになれた人だった。たしかに愛だった、でももう終わり、全部おしまい、わたしはMさんのラインを、Mさんがいなくなったお店で消した。

二週間後、わたしは朝早くから電車に乗って京都に向かっていた。
6時すぎの電車だったからまだ辺りは真っ暗で、Mさんがまだ寝てるかなと思うと、なんだか世界がものすごく愛しく思えた。
しばらくして、空が明るくなってきて、反射した朝日がわたしの目に届いた。それは言葉にできないほどに美しくて、わたしはまたMさんのことを思い出して、そのすべてを懐かしく思った。iPhone5をなぞる指の長さ、投げ出すように座った長い足、存外長いまつ毛、わたしはMさんのすべてが好きだった。すべてに触れたかった。ふたりで日々を漂い、絡まり、生きていければそれだけでよかった。
朝日を見てMさんのことを思い出すのは正しいことのような気がした。それでもたしかに、思い出せない会話や仕草もあって、思い出せないということしかわからくなって、こうやってすべて忘れてしまうんだろうなと思うと寂しかった。わたしはずっと寂しかった。Mさんのいない人生をこれからどうやって生きていけばいいのか、まだまだ、ずっとわからないでいる。

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