令和元年度司法試験予備試験合格体験記

令和元年度司法試験予備試験に合格しました!💮

「大学在学中に予備試験に合格する」という目標をもって大学に入学しましたが、学部4年になってギリギリでその目標を達成することが出来ました。

……というと4年間の努力がやっと実った!みたいに聞こえますが、実は全然ちゃんとしていなくて、3年生までは他の受験生と比べても確実に意識が低かったと思います。というのも、私は2年次・3年次にも予備を受けていましたが、どちらも短答落ちです。なぜなら、2年次には法律科目7科目中3科目ノータッチ、3年次になっても「会社法ってなんですか?」みたいな状態で受験していたからです。あまりに無謀すぎる。

そんな私でも今年度、晴れて司法試験予備試験に合格することが出来ました!そこで、記憶が鮮明なうちに私が今年どのように過ごしてきたのかをここで書き綴りたいと思います。本来私は啓蒙をする人間ではありませんが、この記事が今後予備試験合格を目指す方々にとって少しでも役に立ってくれれば良いと思います。

〜短答編〜

私が短答の対策を始めたのは去年の10月からです。今年を振り返るとか言っといて去年かよって感じですが。

まあ私はこの時点で短答に2回落ちているのでさすがに懲りていましたし、短答を2回経験して「これは暗記ゲーだから時間をかけてやれば誰だって出来るんだ」ということを学んでいたわけです。

なのでとりあえず一番量が多い民法を年内に1周させました。(なんと家族法はまさかの初見だったので後回しにしました笑)とはいえゼミ・バイト・三田祭しっかり参加してましたし、3ヶ月かけて一周なのでかなりスローペースではあります。

正直、短答対策は年明けからでも十分だと思いますが、短答はとにかく量が多いので年内に1つ終わらせておくだけでも精神的に余裕が出ます。おススメです。

年明けからは平均して毎日AM10:00-PM22:00くらい学校にこもるようになりました。(今でもこの生活は続いてますが)

予備を受験する時、短答と論文の勉強のバランスに悩むことがあると思いますが、私の場合は3月までは論文の過去問の起案を1日1枚程度やってました。なので、短答全振りになったのは4月からだったと思います。

しかしこの時期の短答の対策はとにかくしんどい!!

特に1周目は全然分からないし時間もかかるので大変です。この点スピード重視でとにかく解き進めろという人もいますが、私はそうは思いません。1周目は丁寧にやるべきだと思います。解説を読んで、いちいち条文を引き、判例を読み、1つずつ理解していくようにしました。ていうか自分の神経質な性格的にそうなっちゃいました。インプットがちゃんと出来ている人はそんなに大変じゃないのかもしれませんが、自分はアウトプットをしながらインプットするというスタイルでやっていたので。急がば回れスタイル!

あと、いわゆる下3法(刑訴民訴商法)の短答はとにかく条文知識が重要で、論文の勉強とはかけ離れているので伊藤塾の短答用の講義をこの時期に見返しました。結構これが良かった。

その後はまあ科目によりますが、とりあえず3月までに1.5周くらい終わらせて、4月5月で2〜3周、直近5年は4回くらい解いたかな。(1周というのは過去の予備&新試の全年度分のことです)1周目を丁寧にやっていたので2周目以降は楽チンでした。

短答を何度も解いていると、何回もお目にかかる条文や判例がいつメン化してきます。なので、いつメンが出る度に手持ちの条文や百選に出題年度を書き込むとなにが頻出なのか一目で分かるからおススメです。

〜論文編〜

短答に無事合格したので、次は論文です。

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私は短答の成績が悪くなかったので、自己採点をした段階で短答に合格したことが分かっていました。なので、すぐに論文対策に取りかかることにしました。短答から論文までは2ヶ月を切っているのでとにかく早めの切り替えが肝心です。ボーダーでもとりあえず論文対策に取り組み始めた方がいいと思います。

この時期にやることは決まっていて、論証の暗記と過去問の起案と答練です。論文の場合、短答と違って正解不正解がはっきりしないので、量はもちろん質が大事になってくると思います。

私の場合は幸い去年の合格者の先輩に良くしていただき、添削をしていただいたり、質問対応など手厚いサポートを受けることが出来ました(感涙)

私は先輩から、①まず論証を暗記すべし②起案をする時は目標を立ててやるべしとの啓示を受けましたので、この点を工夫して勉強していました。

①については、基本的に伊藤塾の論ナビを使っていました。しかし、書かれていることを鵜呑みにするのではなく、疑問に思った点や納得いかない点は文献を調べて加筆修正したり、他の予備校が出している論証を参考にしたり、多少オリジナリティーを加えていました。また、過去問の参考答案で良いなと思った新しい論証は付箋に書いて論ナビに貼ってました。

よく論証の暗記という勉強法を批判される方がいますが、やはり予備校の出している論証集はある程度信用性があるので使わない手はないと思います。でもやっぱりちゃんと理解していないで使っているとボロが出るので自分なりに精査することは必要かなと思います。

⬇︎②についてはこんな感じです。

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時間にめちゃくちゃこだわってますよね。私トロいんですよ。答案構成にめっちゃ時間かかるのと、筆が遅いので、無計画にやると絶対に途中答案になります。そのうち治るとか思ってたんですけど、模試で途中答案錬成しまくってE判定された時に流石に焦りました。

こんな感じで目標を立てて起案をして、目標を達成できているかをチェックするとメリハリのある勉強が出来ると思います。先輩からの教え。

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最終的にまとめたチェックポイントはこの4点です。のろまな私は多くの文章を書けないのでコンパクト路線でいきました。結果的に本番は途中答案は出さず、代わりにめっちゃ短い答案とかを錬成しちゃいましたが笑 これはちょっとやりすぎですけど、やっぱり求められているところを厚く書くというのは予備試験のような点取り合戦の鉄則だと思います。

また、これも先輩からの教えですが、ハプニングをたくさん想定しておく!私が想定したハプニングはこちらです。

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この中で、『隣の人が臭い』は実際に起こりました。めっちゃ迷惑だった…。本当に気を付けてください皆さん。クッションや防寒グッズ以外にも、消臭スプレー持って行ってくださいね。

〜口述編〜

……なぜか論文に受かった!!

論文式試験は7月にあって合格発表は9月なので、2ヶ月以上もの間、勢いで告白してしまった異性からのダメ元の返事を待つかのような煮え切らない感情にさせられるんですけど、合格を聞いた時は本当に信じられなかったです。自信なかったから。でもめちゃくちゃ嬉しかったです。「昨日までの自分とは違う新しいワタシ」(ドヤ顔)とか意味不明なことを言って浮かれていました。

さて、そうなると口述試験まで2週間しかありません。しかも、ここで落ちると今までの実績は全てパーになり、また来年短答からやり直しです。まさに背水の陣。プレッシャーがすんごいです。

そうは言っても口述試験は合格率9割を超えます。外野からすると、「今まで数パーセントの人間しか受からない短答試験や論文試験を突破してきた人間なら余裕っしょ!」って感じらしいんですが、当の本人としては全く余裕がない。

1割落ちるんですよ。ここまで来て落ちる可能性が1割もあるんです。短答は去年までの私のような不勉強な人間もいて、まぐれで論文までいけるような人間もいるわけです。でも口述は、ある程度の実力を認められた論文試験を通過した人間の中での戦いなわけですから、『たかが1割、されど1割』という感覚でありました。

「お前の心境はどうでもいいからはやく実践的なこと言えや」って感じですけど、本当にこんなに前置きが長くなるくらい半端ないプレッシャーを感じます。なので、是非打たれ強いメンタルを構築しておくことをオススメします。これが一番の対策かもしれません。

実際にやったことはというと、毎日3人(私+ロー早期卒業2年生+後輩3年生)自主ゼミを組んで過去問演習をしていました。また、刑事は基本刑法各論と刑事実務の定石、民事は大島本を読みまくりました。口述は近年、細かい知識よりも基礎的な事項を理解しているかを問われる傾向にあるので民事は要件事実を、刑事は構成要件や総論の重要論点を重点的にやるべきでしょう。

口述試験対策で大事になってくるのは①情報②演習です。つまり、友達がいるかいないかで合否が決まると言っても過言ではないでしょう。悲しいかな世の常、結局は人に恵まれるかどうかなんですね。こういう意味で、予備試験は社会人よりも学生に圧倒的に軍配があがるということです。

そうは言っても今の時代、インターネットに情報が溢れているので、自分で工夫すれば情報はいくらでも得られます。また、友達がいないと過去問演習は厳しいかもしれませんが、模試を受けることもできます。

模試は積極的に受けてください。特に辰巳の模試は締め切りが早く、受付方式もアナログなので、論文の合格発表があったらその日のうちに高田馬場の辰巳法律研究所の門を叩きましょう。他にも伊藤塾や資格スクエアなども模試をやっているので3つ4つ受けて場数をこなしておくといいと思います。

試験当日のことですが、私は浦安のホテルに母と滞在しました。遅刻の心配もないしお泊まり気分でちょっと楽しいしおススメです。(能天気)

会場はまず体育館みたいなところで全員待たされます。ここが寒いのでクッションやブランケットなどを持っていくといいです。自分はモコモコなものを配置しすぎてもはや家みたいになってました。

また、仮に早く終わったとしても外に出られないので勉強道具は2日目のものも含めて全部持って行った方がいいと思います。2日目は再現答案を書くものを持っていくといいです。ちなみに私は1日目午前刑事最終番、2日目午前民事2番でした。

自分の番が近づいてくると別の場所に移動させられます。いわゆる『発射台』です。発射台で待たされる時間は例えるならばジェットコースターの最高地点でずっと止まってる気分にさせてくれる時間なので、とにかく居心地が悪いですが、深呼吸をしてなんとか自分を落ち着かせてました。

部屋に呼ばれてからは案外平常心でした。主査副査の先生はまあ人によるとは思いますが基本的に落とそうとは思ってないと思うので、反抗的な態度を取らず、一生懸命考えている感じでやれば大丈夫です。結論が分からない場合は、せめてどういった点が問題となって今自分は何を考えているのかを口に出すと、助け舟を出してくださります。

私は民事の権利自白でつまずいてしまったんですが、主査副査の先生が、まるで生まれたての子鹿が自分の力で立とうとしている場面を見守るかのような面持ちで対応してくださって、温かい気持ちになりました。

ちなみに発射台まではパイプ椅子ですが、試験室はふわふわな椅子なので身体は楽だと思います。

試験が終わった日にはそのままディズニーランドに行きました✨

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予備試験受験を終えて

この1年、結構コツコツやってきました。自分の勉強法はあまり効率のいいものではないので、忙しい方には向かないかもしれませんが、堅実に力を蓄えることができたと思います。

また、私が今年合格出来たのは、頼りになる先輩、優秀な同期・後輩、応援してくれる両親など周りのサポートがあったからです。絶対に自分1人では合格出来ませんでした。本当に感謝しています。

今は司法試験に向けての勉強をスローペースに始めつつ、インターンに参加する日々を送っています。色々な法律事務所で弁護士の先生方とお話する機会を設けていただく中で、自分が将来専門的にやっていきたい法分野も見えてきました。

やっと予備試験が終わったと思ったら今度は司法試験で肩の荷が降りませんが、必ず合格したいと思います。合格して、人権を獲得したいです。年明けから気を引き締めて頑張ります。

2020年は更なる飛躍の年になりますように。


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