「つながり」の進化生物学 岡ノ谷 一夫著 第一章 参考資料

Twitterの読書会のために集めてきた資料と読書会冒頭のまとめ原稿を貼っておきます。

■資料■

-つながりの進化生物学 本家特設ページ


-著者 岡ノ谷先生の連載
おかぽん先生 青春記
https://kangaeruhito.jp/articlecat/okapon

-キンカチョウのイメージ


-シロチドリの擬傷
送り手が得をしなければコミュニケーションじゃない。
本ではカルガモで説明されていましたが、シロチドリの動画を。

-アカシアの木とキリン

食べたら苦くしてやるゾ


-ミツバチのダンス
触覚を使ったコミュニケーションの例
暗闇では目が見えないため、触覚を使ってコミュニケーションを行います

-ハダカデバネズミ
新社会生物であるだけが魅力じゃない?!
老化せず、がんにもならないハダカデバネズミは不思議がいっぱいです。資料最初の本書特設ページの中の動画でもその動きや姿を確認できますが、著者の最新著作でより詳しい生態が知れます。本物に会いたければ埼玉県こども動物自然公園にいるそうですよ。

・鳴き声

著者のひとつ前のハダカデバネズミ本のサイト。内容のリンクから鳴き声を聞くことが出来ます。弱チュウ鳴きが気になるあなたへ。ブヒッ(驚)

・余談

----真社会性生物といえばアリ。本書にはない脱線ですが、扉になるアリの話はこちらに載っています。一生扉の人生。真社会性生物はコロニー全体で一つの生物のようだなと感じます。特にアリは役割分担がきっちり決まっていて、形状も違うし、大きさも兄弟の中で6倍も違うことがある。アリの人生ってなんなんだろう。アリに心はあるのだろうか…と考えてしまいます。

こちらの本も研究の面白さとあり愛が詰まっていて面白いので気軽に手を出してみてください。

画像1

「アリ語で寝言を言いました。」村上貴弘

参考にこちらのサイトにナベブタアリの写真を発見したのでのせておきます。アリの世界は驚くほど多様で奥深いですね。

https://ailovei.com/?p=91242

-ジュウシマツの歌声

本書特設ページ動画には大人と子供の歌の比較がありそちらも面白いです。

この動画ではオス鳥の一生懸命なアピールが観察できます



-コクホウジャク
性淘汰のお話で出てきた尻尾の長さを競う鳥です。

https://g.co/kgs/6bGPq1



以下、読書会中冒頭の原稿です。
第3回の読書会が終わったら、後半分の振り返りも載せておきます。


■第二回 読書会冒頭。第一章 前半 振り返り

この本は高校生と一緒に動物の研究を通してコミュニケーションの進化について考える本です。

前回は筆者の自己紹介とイントロダクションがメインでした。


研究者は自分が不得意なことを研究テーマとするそうですが、筆者の岡ノ谷さんもまた、コミュニケーションが苦手な青年だったそうです。私もこの本を選んで読んだのはコミュニケーションが苦手だから。でも、同時にコミュニケーションが好きで、その複雑さに魅力を感じているからでもあります。著者は動物が大好きで近所で噂になってしまうほど沢山の動物を飼ってきたんだそうです。犬猫ヤギ雀鶏チャボシマリスヤドカリ…などなど。そして最大11匹のカメに囲まれた生活。私には想像がつきません笑 そんな動物好きの研究者が、16人の高校生に講義をします。

また、本書はコミュニケーションだけでなく、コミュニケーションを支える心の問題にも踏みこみます。

動物には心があるんだろうか。

そんな疑問を考えるのに最適な例として、媚を売る鳥の話が出てきたんでしたね。そう、モテなくていじめられてしまったキンカチョウのオス、ジローと、そのメスのつがいのナミの話です。昼ドラのような鳥関係、鳥模様。それはより良い遺伝子を残すための行動なのかもしれないし、もしかしたら本当に複雑な心を持っていることを示しているのかもしれない。どちらも大事な視点で、両方の面からコミュニケーションを眺めていきます。

心とは。コミュニケーションとはなんだろう。コミュニケーションの進化の研究は私たちがそもそもどんな動物で何を幸せと感じるのか教えてくれる鍵かもしれません。


■第3回 冒頭

今回は引き続きコミュニケーション全体を眺めるお話。コミュニケーションの定義から始まります。

前回はコミュニケーションの進化生物学的な定義からコミュニケーションを考えたのでした。定義は「送り手から受け手へ信号の伝達がなされ、受け手の反応によって長期的には送り手が利益を得るような相互作用(ハリディ、スレーター編 「動物コミュニケーション」 西村書店)」でしたね。

その信号の伝達方法はどんなものがあったかというと
視覚、聴覚、触覚などの感覚器官でした。私たちは視覚が大事な感覚であると捉える傾向が高いようですが、実は最も大事な器官は危険を察知するために24時間閉じることのない耳、聴覚かもしれないという話が印象的でした。
聞こえることのない超音波がリラックスに役立っているというお話もあって、さて今私の身の周りには超音波を発する物はあるだろうか。。。と眉間に皺を寄せてしまいました。

そして利益ですね。コミュニケーションを通じた利益を考えるためにいくつかキーワードが出てきました。

血縁淘汰、包括適応度、性淘汰。
順番にいきましょう。
まずは血縁淘汰と包括適応度。
ハダカデバネズミなどの真社会性生物は自分が生き残らなくても種全体を生き残らせるように進化して来たようです。女王ネズミを筆頭にして兵隊ネズミやはたらきネズミがいて、兵隊ねずみは巣を守るために巣穴の入り口に立ち塞がり蛇に食べられにいってしまうのでした。また、中流階級である兵隊鼠の態度は、上のもの、女王ネズミにはペコペコ、働き鼠へは偉そうでした。秩序を守るためのコミュニケーションが行われているのでしょうね。ハダカデバネズミのコミュニケーションの進化は包括適応度、種の生き残り易さを上げる方向に進んでいると言えるでしょう。
そして性淘汰
十姉妹という鳥はモテるために歌を歌ってコミュニケーションするようになりましたし、コクホウジャクという鳥は尾羽の長さが長いほど持てるのでした。無駄なことができることは余裕のある証拠です。人間も似たようにコミュニケーションに関わる形質が性淘汰によって進化発達してきた可能性があるとダーウィンは人間の進化と性淘汰という本の中で述べています。

コミュニケーションは他者のために行うものではありません。コミュニケーションが他者のためなら利己的な個体が入ったら最後コミュニケーションをする集団は滅びてしまいますから。コミュニケーションは自己のためにするものです。結果的に自分の利益になって帰ってくるそのような行動を示すように社会的な動物は進化してきたわけです。

章の最後ではコミュニケーションの和訳をしてみようと言うことで言葉を作ったりしていましたね。みなさんはオリジナルな造語考えてみましたか。

少し長くなってしまいましたが前回までのおさらいはこの辺にして第二章に入っていきます。



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