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日蓮上人を救った牡丹餅 鎌倉市 日蓮宗慧雲山常栄寺(ぼたもち寺) 私の百寺巡礼163

鎌倉市は日蓮宗寺院が多い。私のイメージでは、円覚寺、建長寺とあるし、北条家が保護したことから臨済宗ばかりだったのだが、実際に足を運んでみると、大きな寺、こじんまりとした寺と日蓮宗寺院が目に付く。
鎌倉市内には幾つか日蓮上人辻説法跡がある。

日蓮上人辻説法跡


赤い門を入っていく。中は様々な植物で心馴染ませる庭となっている。

お寺の中にあるのは、桟敷大明神という神社だ。
日蓮にぼたもちを捧げた桟敷の尼と夫の 印東祐信を祭神として祀っている境内社。 ルーツに由来する人物を開山堂や御影堂 ではなく神社としているのは珍しいかも しれない。


ぼたもち寺は、鎌倉時代に龍ノ口で刑に処されることになっていた日蓮に、一人の老婆がぼたもちを差し出した逸話に由来している。
法華経を広めるため、他の宗派を否定した日蓮は、幕府に危険視されており、刑に処されることになった。その刑場へ向かう途中、ひとりの老婆「桟敷の尼」が日蓮に胡麻入りのぼた餅を捧げた。
刑がまさに執行される時、江ノ島方面の空に光る物体が出現したために、周囲がが恐れをなして刑は中止になった。その後、老婆が渡したぼたもちは「首つなぎぼたもち」として語られて、このお寺の由来になっている。

と、説明書きを読んだ。

対応してくださったのは、素敵な女性であった。お寺の由来について教えて下さり、庭の植物1つ1つについても説明してくださった。

中でも印象に残ったのが、インド産のジンジャーだ。日本の生姜とはちょっと違うようで食べられないのだそうだ。花を楽しむだけのようだが、庭に所狭しと見事に花を咲かせていた。

月桂樹の大きな樹にも魅了された。長谷の日蓮宗寺院でも月桂樹が見事だったのだが、カレーを作るのに月桂樹も使う。カレーを食べるインドには香辛料は欠かせない。持って行ってね。と言われ、月桂樹の葉も頂いた。


うちの猫にそっくりの信楽焼の狸がいた。この大きな目とでっぷりしたお腹。たまらない。

鎌倉市は自然が残っている。寺の間近にトンビが来るのには驚いた。ハクビシン、リスなども来るのだという。こんなに近いのに、ああ、やはり、横浜や東京23区とは違うな。近いのに遠くに来た感覚があった。

ここは檀家を持たない寺院なのだという。お墓がない故の質素な素敵な空間。そんなものを感じた。

毎年9月12日には「ぼたもち供養」が行われている事を教えていただいた。コロナ禍で2020年からは中止されていたが、今年は4年ぶりに開催されたのだという。ぼた餅が振舞われるから来年は来てね、と誘いを受け、感謝しつつ、寺を後にしたのであった。


日蓮宗慧雲山常栄寺(ぼたもち寺)
神奈川県鎌倉市大町1丁目12−11
鎌倉駅より徒歩8分


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