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元気が出る!こんな心の友はいかが?愛読書シリーズ「私の見た人」吉屋信子

こんにちは!本日もおつかれさまです。

ベリーダンサーのShala(シャーラ)です。

雨が続いています。しっとりと、晴耕雨読という言葉がぴったりなこの頃です。なかなか旅行などもしにくいこの頃、本の著者を心の友人に持つというのはいかがでしょうか。今は亡き、明治生まれの著者ですけれども。

この1ヶ月は、大切な友人たちに次々に会い、大きな心の癒しを得ましたが、遠方の友人たちにはなかなか会うことも叶わず。そこで読書です。

地方を訪れる際、駅前などにある(今はだいぶ少なくなってしまっているのでしょうか。)古本屋にふらっと入り、直感で本を選ぶのが好きです。こちらの本も、いつどこで購入したのだったか、全く思い出せませんが、久しぶりに目を留めて、読み始めましたら!

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最高です!

「花物語」で人気作家となり、少女小説の元祖とされる吉屋信子は、考えたら、明治29年生まれなのですね!(吉屋信子 1896年1月12日〜1973年7月11日)それなのに、感覚がとってもモダンで、生き生きとした生命力が伝わってくるし、はっきりとした物言いは爽快で、元気が出ます。

文章が上手いのはもちろんのこと、楽しくてどんどん読み進めてしまいます。読むのは一体何度目になるのか、年々黄ばんでゆく紙に年季を感じながら、10回以上は読んでいると思います。

吉屋信子が会った様々な著名人についてのエッセイは、毎回発見があって楽しい!

なんと、本書は、足尾銅山鉱毒問題の解決のため、沈められることになった谷中村の人々を救おうと、全てを捧げた田中正造に頭を撫でられるという、幼少期のエピソードから始まるのです。

ここは、NHKの仕事をしていた時、プロデューサーに連れられて訪ねました。今なお禿げ上がった銅山跡地の異様な姿に、この地で激しく闘った義人、田中正造のことを思わずにいられませんでした。その事件に直に関わりがあったとは、驚きです。

当時、父君は、官吏として村人に強制立ち退きを迫るという非常に難しい職にあり、連日の激務で、小さな弟が病で亡くなった時ですら、わずかな時間だけ帰宅し、憐れな弟を抱き上げたと思うやいなや、再び谷中村へと向かい、母君は気絶してしまったという、冒頭のエピソードから臨場感に溢れ、その先を読まずにはいられません。

そうして数々の死を受け止める表現方法も、決して沈鬱なものではなく、色々な思いを経たことでしょうが、亡くなった方々への大きくあたたかな愛が感じられ、爽やかですらあるのです。なかなかこんなふうには書けないだろうと思いました。

著名な作家たちはもちろんのこと、当代随一の美女たち、歌舞伎役者、オペラ歌手、科学者、経営者など、多種多様な人々のそれぞれの魅力が、文章を通して伝わってきます。

以下は、Amazonのレビューより

最高に面白いです

吉屋信子の再評価の機運が高まっているのは、作品が面白く、圧倒される感動を読者に与えてくれるから、ということのほかに、著者その人がとんでもなく魅力的だからでしょう。
このエッセイでもその魅力が余すところなく味わえます。
キュートでお茶目で可愛いけれど、さすがの芸術家の目線。時には辛らつに、時には残酷なまでに真実を突き、それでも読物として超一級品に仕上げているのが最高です。

「雪は天からの手紙」というあまりにも美しい言葉で有名な中谷宇吉郎博士とのエピソードに思わず落涙をこらえきれませんでした。この方の臨終の言葉ほど綺麗で優しくて思いやり深い言葉を他に知りません。博士がこのように真実、純粋で透明なまなざしをお持ちであったがゆえに、「雪」はその秘密のすべてを博士の前にあらわしたのだ、そう確信したほどです。

他にも戦地慰労や当時の文壇でのエピソードなど、素敵な話が満載です。

自然を愛し、人間を愛し、清く正しく美しく、でも笑いと喜びを忘れない・・・そんな著者の暖かなまなざしをどうぞ味わっていただきたい。
笑って、泣いて、感心して、気がついたらいつの間にか生きる力を取り戻させてくれている・・・そんな本です。名著です。

新版を出版されたこと、心から感謝します。どうかたくさんの人の手に届きますように。

私も、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと、心から思います!

私の場合は、特に、子どもの頃日本一の美人と、駅のポスターをうっとり眺めた薄命の美女のご主人に、後年座談会で出会った話が好きです。元水戸藩士の侍で、侘び寂びに生きる教養豊かな老紳士の前にあっては、世をときめくモダンガールの著者もいたたまれない思いに包まれるのですが、筆は彼らの夫婦愛を描き切って、のちにきちんとお墓参りをしているところにも、そのお人柄が偲ばれてステキです。

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Wikipediaより モダンガール!

次にまたいつ頃読むことになるのか分かりませんが、その時が楽しみになりました。その時、少しでも成長していたら、また新たな感慨を得ることができるのでしょうか。

何度でも出会いたい、吉屋信子の矜恃と心意気。溌剌としたエネルギー!

傍で愛犬が腕に頭を乗せてすやすや寝ています。ここにも、友達がいました。

それではまた、素敵な日々をお過ごしくださいね。

Amazon 私の見た人


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