「ツーブロック」と「マイルドヤンキー」の対比について

現在「ツーブロック」という言葉はヘアスタイルの一種を指す言葉である。しかし筆者は、ツーブロックの男性が髪型だけでなく、着用するスーツや靴、用いる鞄などに多くの共通点があり、更には内面や行動特性なども似通っている事に着目し、ツイッターを通して他の方もほぼ共通した認識を持っている事を知った。しかし、ツーブロックという概念が広がるに連れ、「マイルドヤンキー」との混合が見られる場面が増えてきたように感じた。そのためこの記事では2014年に芝山元氏が自身のブログに掲載したマイルドヤンキーの特徴を記したブログと、筆者の考えるツーブロックの特徴を用いて対比を行いたいと考えた次第である。
まず紹介するのが、2014年に不動産投資家の芝山元氏が自身のブログで述べたマイルドヤンキーの特徴である。
①     生まれ育った地元指向が非常に強い(パラサイト率も高い) 
②     郊外や地方都市に在住(車社会)
③     内向的で、上昇指向が低い(非常に保守的)
④     低学歴で低収入
⑤     ITへの関心やスキルが低い
⑥     遠出を嫌い、生活も遊びも地元で済ませたい
⑦     近くにあって、なんでも揃うイオンSCは夢の国
⑧     小中学時代からの友人たちと「永遠に続く日常」を夢見る
⑨     できちゃった結婚比率も高く、子供にキラキラネームをつける傾向
⑩     喫煙率や飲酒率が高い
—芝山元、「マイルドヤンキー賞賛とその先にあるもの、、、」2014年3月21日

次に紹介するのがマイルドヤンキーと比較した際に筆者の考えるツーブロックの13の特徴である

①    仕事への熱量が高い
②    会社の為に転勤も厭わない者が多く、地元志向は弱い
③    基本的に本社が都心にある会社に勤務し都心に在住しているが、地方の       支社へ転勤する人もいる
④    内向的か外向的かは個人差があるが、上昇志向は強い
⑤    高価なスーツや腕時計など華やかなものを好み、仕事で使用するものには惜しみなく金銭を投じる
⑥    大多数が大卒であり低学歴の者は少数、また比較的収入は高い
⑦    ITへの関心やスキルは業種による
⑧    仕事が忙しく、あまり遠出はしない、年に数回旅行をする
⑨    学生時代の友人との交流は高校や大学が主であるが、仕事や家庭が忙しくなり徐々に疎遠になる
⑩    学生時代に運動部に所属し、上下関係を大切にする人が多い
⑪    できちゃった結婚比率はあまり高くなく、キラキラネームは付けない
⑫    喫煙率や飲酒率は高い
⑬    金融や保険、コンサル、証券など華やかな業界の営業部門に多い

これらの特徴を順番に見ていきたい。まず、挙げられるのが①ツーブロックの仕事に対する熱量の高さである。具体的な熱量の高さについての説明は省くが、マイルドヤンキーと比較して明らかに熱量は高いと思われる。芝山説ではマイルドヤンキーの仕事の熱量の高さについて述べられてはいないが、芝山説②の上昇志向の低さと⑧の小中学校の友達との日常(余暇など)を大切にするという記述から、ツーブロックほど仕事に対しての熱量が高くない事は明らかである。
次にツーブロック②と③に関してである。ツーブロックは基本的に本社が東京や大阪などの都市部にある会社に勤務している事が多く、都心で生活する人が多いと考えている。反対に、地方の支社への転勤などで地方都市や地方に在住しているツーブロックも存在する。彼らは仕事への熱量が高いので転勤も厭わず、地元志向も弱い傾向がある。
ツーブロック④と⑤に関しては、①での仕事への熱量の高さから②、③の転勤を厭わない姿勢へと繋がり、それが上昇志向の強さに繋がると筆者は考えている。そのために、仕事で使うスーツや鞄、靴なども比較的高価なものを用いる傾向がある。内向的か外向的かについては判断が出来かねるので今回は割愛としたい。
ツーブロック⑥の学歴及び収入に関して、ツーブロックは大卒でホワイトカラーの者が多く、比較的収入も高いと思われる。また、上昇志向が強く仕事で成果を出す人が多いので社内でも出世し、会社内での収入も上がりやすい傾向がある。あまり偏差値の高くない大学出身者であっても歩合制の保険や不動産などの営業職に従事し、一定の成果を上げて高い収入を得ていると想定している。
ツーブロック⑦のITスキルや関心などは、業種によるのではないかと考えている。ツーブロックの仕事への熱量の高さを根拠として、仕事でITスキルが重要であるとツーブロックが判断すれば、ITスキルを磨くのではないかと考えている。
ツーブロック⑧、⑨に関しては、⑧のあまり遠出はしないという項目は正確には仕事が忙しく、「遠出ができない」と言った方が正確であるかもしれない。しかし、年に数回会社の閑散期に会社の同僚やパートナーなどと旅行へ行き、その様子をインスタグラムやフェイスブックに投稿する傾向がある。⑨の友人関係では苦楽を共にした高校や大学の部活動の仲間と交流する傾向がある。しかし、ツーブロックは転勤や仕事が多忙などの理由で徐々に学生時代の友人とは疎遠になる傾向があり、ツーブロックの学生時代の友人もツーブロックである事が多くツーブロック同士仕事を優先する。これらの点からマイルドヤンキーの特徴⑧の小中学校の友人との変わらない日常とは根本的に異なる。
 またツーブロック⑩の学生時代運動部に所属し、上下関係を大切にするという特徴は、マイルドヤンキーにはあまり見られない特徴であると考えている。ツーブロックの大多数は学生時代に何らかの運動部に所属しており、厳しい上下関係の中で学生時代を過ごしてきた。その価値観を社会に出てからも有しており、会社内でもその価値観を他者に共有する事を強く求める傾向がある。
 次にツーブロック⑪のできちゃった結婚とキラキラネームであるが、ツーブロックにそのような特徴は無いのではないかと考えており、これはツーブロックか否かに関連は無く個人差があると思われる。
 喫煙と飲酒に関してはマイルドヤンキーとツーブロック双方で共通である。ツーブロックのコミュニティでは大学時代に飲酒と喫煙を経験し、それが習慣化した者が多くいる。その習慣が社会に出てからも継続しており、飲酒と喫煙率の高さに通じている。
 最後の金融や保険、不動産など華やかな業界の営業部門に多いという項目であるが、マイルドヤンキーはそういった業界にはほとんど存在せず、これも双方の対比になると考えている。
 全体的な対比の総論として、まず地元志向への強さと弱さが挙げられる。ツーブロックの地元志向への弱さは決して地元への愛着が欠如している訳ではなく、仕事を優先した結果地元のコミュニティとの関係が希薄になると考えられる。また、ツーブロックは上昇志向が強く、転勤なども厭わない為地元志向の低さにも関連してくる。これもマイルドヤンキーと正反対の特性を有している。
次に学歴と交友関係の違いである。マイルドヤンキーの主な交友関係は地元の小中学校の同級生である。高校時代の同級生は地元が異なったりする為関係は少し希薄になる。反対にツーブロックの交友関係は高校と大学の同級生や部活の同級生が主になる。ツーブロックは部活に打ち込んでいたケースが多く、多くの時間を過ごした部活動の仲間と卒業後も付き合いを続ける事が多い。しかし、上昇志向の強さから仕事を優先する事が多く徐々に学生時代の仲間とは疎遠になる傾向がある。また、ツーブロックとマイルドヤンキー両者の共通点としては喫煙率、飲酒率の高さがある。所属するコミュニティに喫煙者や飲酒を習慣にする人が多い為であるが、理由については今後論じていきたい。
 今回はツーブロックとマイルドヤンキーの対比について論じてみたが、ツーブロックに関しての明確な定義は未だ存在せず、時代と共に変化するとは思うが、今後はツーブロックを定義することに力を注いでいきたい。

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