スーパーGT ROUND1岡山 36号車ピット作業違反疑惑

 今年もいよいよ始まった国内トップカテゴリーの1つスーパーGT
 初戦の岡山では前年王者36号車auTom'sが昨年の王者たる所以を見せつけるパーフェクトな走りで優勝。2位には脇阪寿一監督体制でいよいよ復活の予感を感じる39号車DENSO、3位には開幕前にはかなり心配されていた新車CIVIC TYPE-Rの100号車STANLYとなりまさかの日産Z勢が表彰台争いになかなか食い込めずとなりました。
 しかし、優勝した36号車に疑惑の目が向けられています。
 まだ映像を見れてない人やスーパーGTのルールを詳しく知らない人、スーパーGTを見たことない酷かったにもわかるように解説します。


1.スーパーGTにおけるピットとは


 まずは基本のルールの説明をしときます。知ってるよって人は飛ばしてください。
 スーパーGTでは2人のドライバーのタッグで基本戦います。そしてドライバー交代のためにピットに入り作業をしますが、このタイミングが大きな見どころであり、チーム間の駆け引きになっています。
 そしてピット作業には1つ大きなルールがあります。それが「給油中はドライバー交代以外の作業を行っては行けない」というものです。これに違反するとペナルティが科せられます。このペナルティはドライブスルーペナルティとなることが多く、ロスタイムはコースによって異なりますが基本30秒程度になります。結論を言うと今回問題になっているのはこの部分です。36号車は給油中にタイヤ交換をしたのではないかとの疑惑があるのです。


2.36号車に何があったのか

まずは問題となっているシーンを見てもらいたいと思います。

36号車のピットイン

これを見ると奥で給油していますが、手前では右フロントタイヤを交換するためにメカニックがインパクトレンチをホイールに当ててしまっているように見えます。そして、音声が聞ける方は聞いていただくとわかると思うのですが、インパクトレンチが回転する音がしています。よって、ピット作業時の給油と他作業の同時作業でペナルティとなはずでした。しかし、ペナルティが出ることはありませんでした。


3.なぜ見過ごされたのか

3.1ペナルティを出す仕組みの問題点

そもそもペナルティはどのようにして出るのでしょうか。ペナルティはレースコントロールにて映像を基に判定されます。

鈴鹿サーキットのコントロールタワー

この画像のようにたくさんの映像を同時に見てコース上のアクシデントに対して対応しています。しかし、ピットでのアクシデントの対応は異なります。ピットでのアクシデントはピットにいるマーシャルの方一人が判断するという形になっています。各車につき一人しかマーシャルさんはついていません。つまり、その方が見逃してしまうとペナルティの審議をすることができないことになってしまいます。映像という明確な証拠があってもマーシャルさんが見逃してしまうとペナルティが出ることは困難となってしまいます。
今回の事例でもマーシャルさんの見逃しに起因すると考えられます。

3.2現場での問題点

上記の問題点はマーシャルさんが見逃さなければある意味問題ないわけですが、当日のマーシャルさんの動きはどうだったのでしょうか。
ここにも問題がありました。先ほど挙げた36号車のピットインの画像の少し前を見ていただくとマーシャルさんは車両の右後ろから監視をしていました。これが問題だったのではと考えています。右後ろからの監視ではまず左フロントタイヤの状態をしっかりと監視することはできないでしょうし、今回はさらに給油をする人に隠れて右フロントタイヤをしっかりと監視できていなかった可能性があります。
つまり、マーシャルさんのポジショニングや人数の問題があったといえます。

4ifの世界を考えてみる

4.1もしもペナルティが出ていたら

ifの世界を考えることは難しいのですがペナルティが出て30秒ロスをしたらということを考えてみます。
29週目終わりに3番手にいた39号車Keeperと4番手100号車STANLYがピットインしているのでここを一つの基準に考えてみると、このとき9番手の8号車ARTAが約30秒後方にいたので8や9位あたりが一つの目安になると思います。
また、36号車がピットアウトした後の39週目でもしペナルティが出て30秒後方に移動した場合、8番手まで下がることになってしまう。このレースでの36号車は圧倒的なペースがよくある程度の差は詰めることができても1位に戻ってくることは厳しいのではと考えられます。

4.2そもそも安全にピット作業をしていたら

そもそも36号車のピット作業は急いでする必要があるのでしょうか。
もちろん早いに越したことはないのですが、29週目終わりには2番手に10秒以上の差がありました。10秒はある程度のセーフティーリードなのでそこまで急いだピットというよりもミスをしない確実な作業が求められるのではないでしょうか。しかも昨年の開幕戦ではタイヤを交換し終える前にピットアウトしてしまいタイヤが装着されず、結果走行できずリタイヤをしています。そういう意味でも確実に安全な作業が求められた瞬間だと思います。


5改善案

今後同じことが起こることがないようにいくつかの改善案を提案します。

5.1マーシャルさんを増やす

今回見逃してしまった一つの理由は1人での監視は必ず死角ができてしまうので2人以上での監視をすることで死角を減らすことができ見逃しが起こる確率は大きく下がると考えられます。
しかし、マーシャルさんを増やすことは人件費の高騰やそもそも人材がいるのかなど問題点があり、現実的ではないといえるでしょう。

5.2ピット作業を上から撮影する

映像という明確な証拠をもとに判定することで公平なジャッジが下せるようになるというものです。
ピット作業を上から撮影すること自体は過去に導入していたことがあります。ただその時はシーズン終盤のチャンピョン争いをしているチームのピットイン撮影するためにカメラが設置されていたというものです。
なので、ピット作業を上から撮影することに関しては過去に実績こそありますが、すべてのチームのピット作業を上から撮影することは前例がありません。そして、この方法の一番の問題は、スーパーGTには40を超えるチームが参戦しているということである。よって、40台以上のカメラを用意する必要があり、その金額は馬鹿にならない。なので、すぐに設置することはなかなか厳しい。その一方で映像が増えることはより素晴らし中継を作成したり、新しい動画の作成につながり、長期的に見ればプラスを生み出す存在になる可能性があるのでGTAには真剣に検討してほしいと思います。

5.3給油とタイヤ交換が同時に行えない装置を開発する

これが一番確実な方法だと思います。給油をする際には給油ノズルが差し込まれることで燃料が流れるシステムですが、この給油ノズルが差し込まれている状態ではインパクトレンチが回らないシステムを開発すれば、今後このような問題が発生することはないでしょう。
この方法の問題点は需要が小さいということです。レースごとに様々なルールがあり、装置やシステムを開発してもほかのレースで必要ないとなれば、開発費の高騰や価格の高騰になり、あまりお金のないプレイベーターのチームなどに打撃を与えることになってまうことになるでしょう。


6最後に

この文章はあくまでも一個人の意見です。
スーパーGTはとても魅力的なレースカテゴリがと思います。しかし、問題点も多いレースであるのも事実です。現状、スーパーGTのレースの見せ方はあまり良いとは言えないと思います。もっともっと映像にこだわってほしいと思いますし、ファンがすぐに情報にアクセスできるようにしてほしいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?