【M&A】人気アパレル「WEGO」を買収した投資ファンドJ-STARとは

こんにちは。アパレル各社の雲行きがだいぶ怪しくなっていますね。まあたしかにこのコロナ禍で新しい洋服なんて買いに行く気になるどころか、オシャレにもめっきり気を配らなくなりますし、元はといえばアパレル業界は百貨店の売り上げ低迷やファストファッションの台頭もあって元より経営が難しい業界でもありました。

この記事を選んだ理由

J-STARがWEGOを買収したのは2018年9月のことでした。J-STARという中小企業の投資に強みを持つ独立系プライベート・エクイティファンドによって買収されたようです。お恥ずかしながら、ファンドというビジネス形態などのことをよくわかっておらず、このコロナ禍の中で彼らがどういう役割を演じるのかを考えるきっかけとするために本記事を選びました。

要旨

①J-STARは36社ほど保有実績がこれまでにあり、案件規模は10億~30億円。参入障壁の高い技術力を持つ製造業やIT、強力なブランド力を持つサービス業、メディア、小売りやヘルスケアなど横展開が可能な事業への投資に強みを持っています。保有期間は3年~7年。IPOよりも事業会社への譲渡を得意としています。

②2018年に買収したウィゴーは、2018年2月期の売上が367億円。店舗数は191で、社員数2,500の中堅企業です。これまで会社の売却や買戻しを幾度か経ての、再売却となります。

解釈

PEとは、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を未上場企業に投資し、経営支援など経営に関与することで企業価値を高め、IPOや売却によって利益を得ることを目的としたファンド。「企業を安く買って高く育てる」というコンセプトなので、調達資金に金利がかかっても十分償却が可能であり、初期投資における自己資金が少額で済むというメリットが最大限に生かされる、ということでコングロマリットの経営者的なマインドが求められそうですね。

と思ったら、やはりそのようなことをブログに書いている人がいました。ここで例として取り上げられているDANAHER社の元CEOはかつて世界中を席捲したコングロマリットの雄であるGEの現CEOでもあります。(余談ですが、GEは主力の航空機事業もコロナ禍で大打撃を食らっているので、いよいよ本当に倒産の危機が見え隠れしますね。。。)

また、このブログではこんなことが言われています。コングロマリット特有の微妙な距離感や政治が無いPEファンドのほうが経営としては上手くいきやすいということですね。なるほどたしかに。

コングロマリットにおいては同一法人下に事業が統合されることからコスト/売上のシナジーが実現できるのに対して、PEファンドによる投資においては、(投資先によって背後の投資家(LP)が異なることに起因する)利益相反のため、異なる投資先の間のコスト/売上のシナジーの実現は極めて限定的だ。(中略)コングロマリットと比べてPEファンドの方が、i) 案件毎にキャピタル・ストラクチャーを柔軟に構成できる、 ii) 案件毎にその投資の結果に直接リンクしたインセンティブの付与が可能でありその結果有能な経営陣の招聘が可能である、iii) 魅力的な機会提供により案件評価において重要な役割を果たす優秀な投資プロフェッショナルの獲得に有利である、といった事情が考えられよう。

投資銀行は、お客さんがM&Aをやりたいという時に、専門家としてアドバイスをするというのが基本です。つまりお客さんのニーズが先にあります。
投資側は全くスタンスが違い、どういう投資をするのか、どういう案件を作って行くのかという主体的な仕事になる、というのも面白いですね。

そもそもこの業界の何たるか、名前だけ知っていたものの、何にもわかっていなかったことに今更気付きました。。いやはや、自分の世間知らず具合も今更思い知らされますね、、、、、、

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