相場を休むようになった人の話

前回のnote読んでない方は先にこちらを

今回の話は最近流行りのFIRE的な話と相場の格言である"休むも相場"的な話を足して2で割ったような話である。正直、今後考え方も変わるかもしれないが現時点での想いをアウトプット兼ねて記録しておこうと書くことにした。

結論を先に書くとタイトルそのままに相場を休むようになったのだ。

私にとってこれはとんでもない変化で、呪いの装備を外せた気持ちであり、感激したのだが、多くの人には結論だけを書いても、勝手に休んどけや!となるので順を追って説明して行く。

① 株はギャンブルなのか?

たびたび話題になるが、今回の話の説明をするにはまずこの話をしないと進まない。ズルい言い方だが、株がギャンブルかはその人の手法によるとしか言いようがない。

例えば企業を分析して、これは1年後2倍以上になると思い投資したとする。それがどんなに自信があったとしても全財産信用フルレバで一銘柄に突っ込んだとしたら、30%の下落で全財産失う事となる。市場には予測のできない要因というものがあり、直近でコロナショックがあったように、首都直下型地震やミサイル、投資先の思わぬ事件や事故など様々なリスクがあるのは確かで、そういった過度なレバレッジをかけた手法は瞬間的な下落でもゲームオーバーするので、ギャンブル的要素が強いとは思う。恐らく株はギャンブルだと言いう人はそういった未来は予測不能な要因(厳密に言えば地合いも完全に当てるのは不可能)があるため運の要素が強いと言いたいのだろう。これに対し投資家は、ヘッジが~とか、リスク管理が~とか、それでも資本主義が継続するなら~とか色々反論があるだろうが、今回の話とは少し方向が違うので割愛。

株には非常に様々な手法がある。企業を分析し投資するは確かに正攻法だがそれだけではない。例えばTOBが開示で出た時や粉飾決算のニュースがヘッドライン流れたときに、最速で買いに行くアルゴや売りに行くアルゴを運用してる人達がやってる事はギャンブルなのか?想像したらわかるが最速で買えるならほぼ100%儲かる。アルゴがズルいとかどうこうとかの話では無い。最速で、または早く買いに行く行為を繰り返す手法はギャンブルでは無い筈だ。入れれる玉や儲かる金額は置いといてプラスサムなのは間違いない。他にも色々ギャンブル要素の無い手法と言うのはあるが(相応の作業と能力は当然必要)、ここでベラベラ喋るとそれで食ってる人達からしたらパイが少なくなる可能性もあり、てめぇふざけるなとなるのでこれ以上は省略する。

②   日雇い労働者

先程話した様に、ギャンブル要素の無い、又は非常に少ない手法というのはあるのだが、デイスキャ(一定水準に達した人)もそう言った手法の1つだと私は考えている。

その理由は圧倒的な試行回数にある。

麻雀は運ゲーか?の問いに、私は1回勝負ならほぼ運ゲーと思うが、試行回数が増える程実力のゲームだと答える。例えば最強の麻雀プロと点数計算ができるようになったレベルの素人が麻雀で勝負した場合、半荘一回勝負ならプロが有利ではあるが、素人が勝つ事も十分にあり得るだろう。しかし、1000半荘打てばプロがトータルで負ける事は無いのが想像できるだろうか。ポーカーのプロと素人達が1ハンドの勝負をしたとする。完全に誰が勝つかは運ゲーである。しかし、1万ハンド勝負したら大差でプロが勝つと考えられる。

株に例えてみよう。5年以上保有する長期的な目的の投資をしたとする。それがどんなに優れた理由だとしても、資金的に分散もできずに1銘柄に投資したとすると上記に書いた理由(予期せぬリスク要因)などから、私はギャンブルとは言わないが、5年後に儲かってるかどうかは運による要素がどうしても大きくなると思う。何が言いたいかと言うと、期待値のある勝負でも、試行回数を稼げないと運による要素を消せないという事。
パチスロで機械割120%の機種を打ったとしても、100回転だけじゃ負ける事もあるだろうが、10万回転回せるなら殆ど負けないと言う話である。

こういう書き方をすると、リスクが少ないのが偉く、負けない手法が正義のように思うかもしれないが、私はそれは間違いと考えている。私も勝率を犠牲に流動性リスクをあえて取っているのだが、ギャンブル要素、運の要素をすべて消すと、リターンが非常に小さくなることが多い。要するにリスクリターンがあっていれば、運の要素はあっていいのだ。私は許容できるリスクが少なくてできないし、性格的向き不向きはあるのだが、運の要素は承知で受け入れそのリスクを真に理解し、リターンの最大化に向けて恐れずベットできる人が一番強いと思っている。

話が少しそれたが、デイスキャの基本スタイルは一日何度も何度も取引をする。一日数十回~数百回取引する。1回1回の取引の利益は大きくないが、手数で利益を積み重ね、ベテラン勢なんかは1日トータルでほぼ負けなしで年に数回しか負けない。1ヶ月トータルで見ると何年も負けがないという人も結構居る。その人達がやってる事はギャンブルと言うより、最早労働である。デイトレの事を業界では日計りと言うが、私は自分の事を日々日当を貰って生活してる日雇い労働者だと思っている。
例えば、企業の資産価値に注目して投資しているバリュー投資家などは、日々株価がどう変動しようと資産価値が変わるわけでは無いので、1ヶ月取引しない事もあるだろう。勿論、選別の作業や、開示、業界や経済状況の変化など様々な要因をチェックする必要はあるが何の変化もないのなら、場中にパソコンに張り付いて株価を追う必要は全くない。
しかし、私達は違う。働かないと(パソコンの前に座りカチカチしないと)お金は手に入らないので、時間とお金を交換している感覚である。
2週間旅行してたらお金増えてました〜とか言うスーパー投資家とは違うのだ。日雇い労働者は1ヶ月休もうものなら月収0円が確定するのだ。

③  休めない理由

日雇い労働者であるデイスキャ専門の人に、2週間(平日10日分)旅行いきましょうって誘うと恐らく99%の人に断られると思われる。理由は先程書いたが、働かないと0円なのである。投資家はマイナスだってあるんだぞ!0円なら良いじゃないか!と思った人は投資家脳である。ゴミ拾い労働者をわかってない。日雇い労働者はこう考える。実質巨額のマイナスだ!と。

パチプロがよく日給が〜とか時給が〜とか話すのをご存知だろうか。海外で活躍してるポーカープロも良く時給換算したりするのだが、試行回数で期待値稼いでる職の方はよくこの様に考える。因みに麻雀は1ゲーム(1半荘)が長く試行回数稼げないので、それ自体で食っていくには非常に難しい。ポーカーも非常に分散の激しいゲームだが、1ハンドにかかる時間が短く試行回数を稼げるので腕があるなら食える。麻雀は歌舞伎町の東風でも〜とここら辺を話し始めると長くなるので割愛する。

デイスキャでずっと食ってる人達も、自分の平均的な利益を日給や時給に換算している。少なくとも私はそうだ。そうすると、1日休むと〇〇万損した気持ちになるのだ。例えば、1日10万円の期待値ある人が10日間休めば100万損した気持ちになり、旅行代金+100万を更に払って旅行に行く感覚になるのである。ついでに、テメェはいくらなんや?おぉん?と聞かれると、直近2年間での私の日給は80万(1年間の平日245日で計算)くらいなので10日休むと800万損した気持ちになる。まぁ、これはかなり良い時の話で、悪い時の話もすると、2018年の末〜2019年前半はアベノミクス以降個人的に最悪期で、月平均300万くらいしか稼がなかったので、日給換算だと15万くらいだった。この様に時期によって稼ぎは変わるのだが、休むことに非常に抵抗があると言うのをここではご理解頂きたい。

そして、もう一つ。休めない大きな理由がある。
寧ろこれが自分にとっては最大の理由と言って良い。それは、いつまでも勝てると思ってないという事。

私は心の底から今勝てるのは金融緩和含め、地合いのお陰だと思っている。

昔は沢山居たデイトレーダーの数がどんどん減ったのをご存知だろうか。我々のデイスキャ世界は斜陽産業なのだ。1番の理由はアルゴやHFTの台頭。これまで多くの勝ち組デイトレーダーがアルゴにやられ散っていったが、私は自分は大丈夫と1ミリも思ってない。いつその順番が回ってくるかとビクビクしているのだ。(正確には大損して退場というのはデイトレでは資産比的にはないが、生活費すら稼げなくなるという意味)
先程アベノミクス以降の私の最悪期が月平均300万と書いたが、アベノミクス前はデイトレに括らずとも月300万安定して勝てる人は神だった。今は月300万って言うと大した事無い様に感じるくらい、株の世界は凄い(仮想通貨とか3桁億続出の更に凄い)ことになってるが、昔は違ったのだ。私も今の金額は勝てなかった。本当に負けないのが精一杯のレベル。

少し昔の話をすると、リーマンショック自体はデイトレしやすかった。〇〇ショックが起きたら瞬間的にボラはあがるので、我々の様なタイプはやり易かったりするのだが、その後の2010〜12年前半の閑散が地獄だった。東証代金8000億。先物のボラが一日15円。みずほのチャートは何日もバーコード。デイ専じゃなくとも、ボラと出来高が栄養源のトレーダーに取っては地獄である。しかし、真の投資家に取ってはあらゆる株が超絶安く放置されてるので天国だったと聞いた。逆に言えば、大半の投資家はショックで瀕死になり買えないので割安放置なのだ。そして安いところ買っても、すぐには上がらない。最悪何年も待つ事もある。兼業なら良いが専業なら人生ゴールレベルの資金がらないと精神的にキツい。なので、ショックを回避してそんな割安を上手く買い漁ったり、地獄の環境でトレードして儲ける事ができるのはS級妖怪やA級上位だけと思っていい。B級レベルだとそんな相場では儲からないのだ。生き残るだけで精一杯。

話が逸れたが、要は地合いが良くてアルゴに勝ててるうちに稼がないと!って気持ちがあり、休めなかったのである。

④  相場を休むようになった理由

さて、ここからが本題である。こんなに休めない理由を書いてきたのに、私は今年に入ってから、特に春以降は後場を殆ど休むようになった。去年までは殆どフルタイムで15時まで取引していたが、最近は10時には取引終了している日もある。理由は大きく3つあるが、1つ目は単純に面白くない。詰まらないが限界に達したのだ。身も蓋もない話だが、では、なぜ詰まらないと感じるのか?

私がリスペクトしている某プロゲーマーがある公演でこんな事を言っていた。『ハマってたゲームに飽きたという人が居るが、それはゲームに飽きたんじゃない、成長しないことに飽きたんだ

これを聞いたとき実に的を射た表現だと関心した。デイトレをゲームに例えるなら、日々の収支はいわばゲームのスコアなのだ。なので最初は数千だったのが数万になり、数十万、そして数百万、数千万、数億となっていけば、成長を実感し詰まらないなんて思いもしないだろう。だが、デイスキャという手法でそれは無理なのだ。発展が無い。スコアの限界値、言わば天井がある。

私は去年2億弱デイトレで取ったが、その額儲けるのに原資はいくら必要か?聞かれたら、まぁ、今は信用無限回転できるので、5000万も有れば2億は取れたと思う。5000で2億取れたら、2.5億になるので、これだけ聞くと、1年で5倍!凄い!となるかもだが、では、同じ相場を原資2億でスタートしてたら8億取れてたかと言うと絶対に不可能なのだ。原資2億でスタートしても取れる金額はほぼ変わらない。要は複利が効かない。因みに、手法と言うのは確かに沢山あるのだが、ロットが増えれば増える程、使える手法は少なくなっていく。大株主に名前が載るような人達が何を基準に売買してるのか。株で勝つには確かに色々な手法があるが、私は王道こそ最強だと思っている。結局は正攻法が1番なのた。しかし、前回のnoteに書いたが、時間軸を伸ばしたり、違う手法に挑戦する事が私は性格的にどうしてもできなかった。故に自分の所為なのだが、スコア的な成長を感じる事ができず、詰まらないと感じるのだ。

2つ目の理由が時間の価値が変わってきた事。これは完全に哲学というか個人の価値観の話なので伝えるのが難しいのだが、例えば、今の様な相場(アルゴの状況含め)が後10年続くとする。私はそんな事あり得ないと思ってるのだが、あくまで例えだ。私は年平均だと毎年1億弱取れてるので、今までと同じ様にフルタイムでやれば10年後は計12億円取れるとする。ここで、フルタイムではなく、前場だけで、後場は完全に休むとすると、恐らく利益は2〜3割減ると想定して10年間で9億。(何故2〜3割しか減らないのかと言うと、難易度の関係なのだが、説明すると長くなるので次回)

大雑把な計算だが、要は10年で得る利益が、12億から9億に減っても、もう今後の人生変わらなくね?となったのだ。まぁ、これは前提条件として、残りの人生であとどれくらいお金いるのか?今どのくらいあるのか?が重要で、その基準はそれこそ人それぞれなので、ここで詳細をわざわざ語ったりしないが、個人的にお金はいくらあっても困らないのでいくらでも欲しいし、私も複利が効く手法を持ってて、株が楽しいと感じてたら、兆るんや!を目指してたと思う。しかし、有限な時間を本人が詰まらないと思ってる事に使う事と、得る金額を天秤に掛けた時、詰まらないと感じる事に時間を使うなら楽しいと思う事に時間使おうと思ったのだ。

3つ目がインフレヘッジで運用してる資産の変動についてだ。複利が効かくなってもう何年も経つが、その間ずっとコツコツやってると、使わない現金だけが貯まる事になる。これは日本円に全額投資してる事になりある意味リスキーだ。全世界でこんなに金をばら撒かれ、現金の価値が下がってて、インフレも怖い。しかし、全財産をリスク資産で持つのも性格的にできない。なので、大体全資産の35%を目安に仮想通貨、日本株、米株ETF、ドル建て債券、REIT、金や資源商品などに分散投資している。リスクを取るのが本当に嫌いなのだが、これは逆にこうしないとリスクだと判断してるのだ。35%が平穏に過ごせる自分のラインだった。(ショックが来れば、比率をもう少し大きくするつもり)前回のnoteには日本株を資産の10%くらい持ってると書いたが、割合は半年に一回くらいに変動したり(今は5%)、3ヶ月に一回はリバランスしたりしてる。何が言いたいかと言うと、デイトレの利益の3割くらいは強制的にこっちに回してるのだが、その変動がかなり大きくなり、日々のデイトレの変動より圧倒的に動くのだ。仮想通貨に至っては数%しか入れてないのに、それだけでデイトレの収支以上に変動する日が多い……
こうなってくるとデイトレでチマチマやる事が、これやる意味あるのか?とますます詰まらなく感じてしまうのは当然である。

⑤ まとめと次回予告

そうは言っても、こんな破格の時給がでる仕事を完全に辞めるのは勿体無いので、完全に辞める事は考えてないのだが、今後は2013年や2020年の4〜6月レベルのバブルが来ない限り、基本的には前場のみで、地合いによっては休む日も作って行こうかなと考えている。こんな事を言いながらも明日から全く勝てなくなり、以降全敗して早々に心折れての引退もあり得るのが相場。引退は勝てなくなったらと言っていたが、地合いが悪いと私は勝てないので、そこで辞めると少し勿体無い。正確にはバブルなのに勝てなくなったら引退としようと思う。こんな板見て手動でポチポチやってる竹槍がマシンガン(アルゴ)にハチの巣にされる未来はそう遠くはないと思っているのだが、果たしていつまで勝てるのか……

実は今回のnoteは当初はボリュームがこれの3倍の超大作になっていたのだが、あまりに長いのでかなり削除し、いわば別働隊となった形なのだ。
デイスキャの自分が使ってる手法の事を書くととんでもない文字数になったので、そこら辺は全て次回に回し、相場への気持ちの部分を中心に書いた感じだ。自分の手法についてベラベラ喋って、エッジはなくならないのか?と思う人が居て当然なのだが、自分の手法に限って言えば真似はかなり難しいと思っている。臨機応変の事が多いし、僅かな変化での微調整が多い。(詳しくは次回で)私の事を知ってる人はわかると思うが、5年以上前に実際に片手に収まらない数の人に手取り足取り、売買を実際に見せたり取引履歴を見せて説明した事があるのだが、(株の学校の先生や、お金を貰っての商売や詐欺などではないよ!無償で。善意で。)誰も同じ勝ち方はできなかった。半分くらいの人は相場で勝つ様になったが、それに私の教えは全く関係なく、全て独自の力だった。トレーダータイプの勝てる人は何も教えなくても勝つようになるし、タイプの違う人が変に教えることは逆に遠回りになり、害になるとも思ってる。何年か前にも既に勝ち組のスキャをやってる個人投資家数人に後ろで取引見せた事あるのだが、感想が“狂ってる……”とか”これは真似できない……”との事だった。こう言う事を書くと私にも見せて!となりそうだが、もう世帯を持つ身となり、随分と環境が変わったので、人に直接教えたり見せたりするのは全てお断りしてる。今後もしない。手法的な事を知りたい人は過去のnoteや次回作を読むと良いのではないだろうか。noteに書いてあることで意味が分からなかったところの質問などは勿論ウェルカムである。

と言う事で次回予告。

『相場でゴミを拾い続けた人の話』

執筆中なのだが、これが完成するかは今回のnoteの反響によって決まります。チラ裏レベルだけど頑張って書いた物が何の反応もないと流石に悲しくてモチベが地に落ち執筆不可となります。なので、リプやいいね、RT、スキ、DMなんでも良いので反応あると喜びます。たまに投げ銭にしてくれる神がいて有り難いのですが、投げ銭はマジでいらないので結構です。投げ銭より感想が欲しいです。よろしくお願いします。







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