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探偵がする保険調査

保険調査とは保険会社をクライアントとし、被保険者の健康状態、もしくは死亡事実を確認する調査です。日本国内の探偵業務の大半が浮気調査であるのに対し、アメリカの探偵業務の大半は保険調査です。この保険調査を軸に日本の探偵とアメリカの探偵の細かい違いを説明します。

保険調査の種類

・医療保険調査

怪我・病気により受給者が保険会社にサービスを申請する際に、症状の怪しい受給者に対して実施されます。受給者は医師の診断書や症例を挙げており、これが間違いないか確認しなければいけません。

あらかじめ「スプーンも持てない」「足を故障し杖が必要な状態」と症状を挙げており、日常を追跡することにより事実確認します。

例えば杖を使用する対象の場合
・杖を全く使わずに近所に買い物へ行く
・横断歩道で信号が変わる間際で杖を使わず小走りになる
・上階の移動の際に杖なしで階段を上がる
こういった場面を逃さずに撮影します。言い逃れをさせないため、地道に何回も撮影し、本来は杖を必要としないことを証明します。

重症を挙げていたにも関わらず
・スポーツジムに行ったり、ジョギングをする
・運送業、建設業といった重労働をする
このような場面を確認できれば、不正受給はすぐに証明できます。

・死亡保険調査

終身保険金数千万・数億の支払いのための、保険会社からのデューディリジェンスであり、被保険者が実際に死亡したかを確認します。実際に遺体を見るというのではなく、死亡における関係者から事実確認を取ります。

・事故現場に居合せた当事者に確認
・死亡診断をした病院・医師に確認
・葬儀を手配した会社担当に確認
・葬儀場の事務員に確認
・被保険者の近隣住民に確認

このような取材を複数箇所に行い、調査は実施されます。例えば事故死であれば搬送した救急隊とコンタクトを取り、事故内容を話してもらったり、出動記録証明を発行してもらいます。医師であれば直接話し診断歴や危篤日の経緯等を聞き、医事課で死亡診断書の第三者用の再発行を行います。関係者複数人から証言を得ることにより、事実に矛盾や相違がないと判断され「死亡を確認」と認識されます。

アメリカの保険調査の特徴

アメリカでは離婚するためのハードルが低く、離婚のために探偵を雇うという概念は薄いです。一方で雇用前の経歴調査や、この保険調査がPI(探偵)の主要業務となり、日本の探偵にはない技術・概念が存在します。
例えば、医療保険調査で「杖なしで健全に歩いている」というのを証明する際、杖なしで歩いている対象を写真ではなく「動画」で撮影することにより「これだけの距離を一時的にではなく、継続的に歩きました」と証明します。そこでアメリカの探偵にはビデオ比率(Video Percentage Metrics)という概念が存在します。ビデオ比率とは不正行動している映像を秒単位でどれだけ長く撮影できるかの基準で、長時間撮影できれば優秀とされます。保険調査に精通するアメリカ探偵の場合、ビデオ比率を意識しているため、不正行動だけでなく、通常の行動も長時間も撮影する傾向があるのです。

しかしこれは逆に、アメリカの探偵は必要のない撮影を多くするとも置き換えられます。余計な撮影が多ければ、対象者に気づかれるリスクが多くなります。したがって、日本人がアメリカの探偵に浮気調査を依頼するケースでは大いに懸念があり、長時間の動画撮影を必要としないことを伝える必要があります。

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