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金融機能を持つ業態のBS分析

探偵にとって公開情報の分析は最大の基礎であり、財務諸表とは究極の一次情報です。今回は電子マネーやクレジットカードを主力に持つ企業貸借対照表にフォーカスし財務分析しましょう。

■中古用品ブックオフとメルカリはどっち?

両者は同じ中古用品を扱う業者ですが、わかりやすくBSの内容が異なる例です。ご存知の通りブックオフは店舗、倉庫を持ち小売業として中古用品を販売します。そのため固定資産、特に有形固定資産のウェイトが大きくなります。したがってAがブックオフ。一方でメルカリはWEB媒体でユーザー同士を仲介するためリアル店舗はなく、商品はユーザー管理です。ブックオフとは画一的に固定資産は少ないのでメルカリがBです。
そしてメルカリは「メルペイ」を運営しています。ユーザー取引金を自社電子マネーとしてストックしているため、預り金として流動負債が増えています。

■三越伊勢丹とマルイはどっち?

今回はファッションビル業態ですが、これもどれだけ固定資産(不動産)を持つかが決め手になります。三越伊勢丹は日本橋、銀座、新宿、京都、名古屋とエリアの一等地に自社として土地を所有するため、固定資産の割合はいっそう高くなります。Aが三越伊勢丹。一方マルイの場合、賃貸としていることもあるため固定資産は少ないです。実はマルイの売上の主戦力は小売ではなく「エポスカード」によるリボ払い、分割手数料が占めています。割賦金に対応するため多額の現金を必要とし、その調達は銀行から得ています。言ってみればマルイは小売でありながら、ちょっとした金融機関とも言えます。

■探偵が必ずチェックする金融機関登録
メルカリは電子マネー取扱業務のため、マルイは割賦業者のため金融機関登録番号があります。

メルカリペイ:資金移動業者 / 関東財務局長第00057号 2018年3月22日
エポスカード:金融商品仲介業者 / 関東財務局長第855号 平成30年10月2日

探偵は信用調査を行うとき、対象会社の大小に関わらずこの番号の有無を必ずチェックします。ちょっと出の、浅はかな詐欺師になると当然登録がありません。外国人クライアントはこれを確認できないせいで、無登録の詐欺師に良く引っかかってしまいます。対象が投資詐欺かどうかの調査では金融機関登録で一発でケリがつくことがあります。
金融機関登録番号の発行はほぼ世界共通、日本は金融庁、アメリカはFINRA、イギリスはCompanies House, Financial Services Registerで確認可能です。公開情報で資格有無を確認、財務諸表という一次情報を分析できれば自社デューディリジェンスが捗ります。


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