本野式筋肥大ピークメニューの作り方。

こんにちは、筋肥大職人=muscle architectの本野卓士です。

今回のnoteブログでは、この原稿を執筆させて頂いている時期がコンテストシーズン直前ということもあり、「本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZ」から少し離れて、「本野式筋肥大トレーニング」それも、「本野式筋肥大ピーキング」へと話を移してみたいと思います。

「本野式筋肥大OFFシーズン用トレーニングメニューの組み方」及び、「実際に使用されてきたモデルケースとしてのOFFシーズン用トレーニングメニュー」をご購読された方にとっては、その「続編」となるのが今回の「本野式筋肥大ピークメニューの作り方」ということになります。

それでは、「OFFシーズン用トレーニングメニュー」と「ピーキング用トレーニングメニュー」では、どこが違うのかということの説明の前に、そもそも何故、私はボディビルなどのフィギュア系競技に於いても、一般アスレチック競技(陸上や水泳など)同様に「OFF」と「ON(ピーク期間)」を分けての体つくりを推奨させて頂くのかというところから話を進めさせて頂きたいと思います。

私は継続的な筋肥大を考えた場合、そこには大きな意味を持つ「ふたつのK」が存在すると信じております。

ひとつめの「K」とは「継続性」のことであり、もうひとつの「K」は「計画性」のことを指します。

つまり、最初の「K」=「継続性」とは、「長い期間にわたって自身のトレーニングが続けられること」を意味します。そしてそのためには「怪我をしない」ということが「MUST THING」であり、それ以外でも「永続的に筋を疲労困憊させない」ということが非常に大事であると私は考えております。

私は良くセミナーなどにて「筋に対するトレーニング負荷及びその効果」に関して「麦踏」を例にお話しさせて頂くことがあります。

「麦踏」とは、麦の芽が出始めた頃合い(発芽時期)を見て踏みつけてあげると、「分けつ(ぶんけつ)」といって、将来茎となる部分が増え、より多くの実をつけることが出来る様になったり、強い茎が育つ基礎を作るなど、「麦を強くたくましく育てるためには必要不可欠な作業」として知られております。

しかし、その「麦踏」も、麦の芽がちぎれてしまうほどに強く踏みつけすぎたり、茎が育ち始めた時期にまで及んで踏みつけてしまうと、麦はダメになってしまいます。

私は筋肉も同じであると考え、「筋が回復できないほど」に痛めつけてしまったり、一年を通して継続的に「筋をいじめ」してしまっていると、筋肉は回復することが出来ずに、肥大するどころか逆に小さくなってしまいます。

つまり「筋肥大に必要なふたつのK」の内のひとつである「継続性」を考えた場合、私は筋肉には「休ませながら成長させて行く時期」と「鍛えこみながら成長させて行く時期」の両フェイズが必要なのではないかと考えます。

そしてその前者である「休ませながら成長させて行く時期」とは「OFFシーズン」のことであり、その時に使用するべくトレーニングメニューが、既に発行済みの「人体に存在する3種の筋に対する生理学特徴とPOFトレーニングの特異性」をかけ合わせて作りだした「本野式OFFシーズン用筋肥大トレーニングメニュー」であり、このトレーニングメニューでは、速筋線維、中間筋線維、遅筋線維がそれぞれの生理学的特徴の元に、指定のRMや適合するPOFをフル活用することによって鍛え上げられる反面、それぞれの筋線維を交互に鍛えていくため、それぞれの筋線維がしっかりと休む期間も十分に与えられる、つまり、「筋を休ませながら成長させて行く」というコンセプトにマッチしたトレーニングメニュー及びトレーニングシステムとして、私は選手のOFFシーズン用トレーニングメニューにこの理論を活用しております。

しかし、もしあなたがボディビルなどフィギュア系の競技選手であったとした場合、通年に渡ってこの「休ませながら筋を成長させる」方法論を使用するのが得策なのかというと、実はそうとは言い切れません。

なぜならば、確かにこの「OFFシーズン用トレーニングメニュー」でも、かなりの筋肥大や筋力アップが見込め、各種トレーニングの使用重量やインボディなどで計測された筋量など、数値的にはとても満足の行くものとなるでしょうが、フィギュア系競技は「数値」ではなく「試合当日の見た目」が一番大事なポイントとなるからです。

この「OFFシーズン用トレーニングメニュー」では、「筋を休ませながら成長」させるため、見た目が「柔らかく緩い感じの筋肉」=「密度感の出ていない筋肉」となってしまいます。

そう、ボディビルなどフィギュア系競技では、選手が持つ「皮膚感」や「筋の密度感」更には、浮き出た血管などによる「バスキュラリティ」が審査ポイントとなるため、これらの要素は必要不可欠な「MUST THING」となるのです。

そしてそれらの要素を作り上げながら、更なる筋肥大及び筋力アップを図るのが「ピーキング」の目的であり、それを可能とするのが「ピークメニュー」ということになります。

では、通年に渡って良いコンディションを保つため及び、継続的な筋肥大&筋力アップを狙って、一年を通してこの「ピークメニュー」を使用していても良いのではないだろうか?というご質問やお考えが出てくると思いますが、他スポーツ競技と同様に、やはりフィギュア系競技に於いてもピーキングは非常に高い集中力と体力&回復力を必要としますので、一年を通して永続的にピーキングをし続けるということは非常に危険であり、実施は困難であると思います。

そして、まじめであればあるほど、根性があればあるほどに通年に渡りピークメニューと同様のものを行ってしまうケースがあるようですが、やはりそれを長続きさせることはヒトとしての体力的に無理が生じてしまうと私は思います。

ということで、「筋肥大に必要なふたつのK」の内、「継続性」を考えた場合、トレーニングメニューには「ON用」と「OFF用」を作って、それぞれの時期を自身で決め、上手に回していくことが最善の策なのではないかと自負しております。尚、「ON」の期間は個人によって異なりますので、「○○ヶ月間」とは言い切れませんが、ヒトの細胞が80~120日間で入れ替わるという情報を考えた場合、大体最低でも3~4か月は必要であると私は思っております。では、どのくらいまでが限界かと言いますと、個人差こそあれ、「ONの期間」はMAXでも6ヶ月と考えております。「ピークメニュー」は短期間で圧倒的に身体を変えてくれますから、とっても魅力的ではありますが、欲を出してそれ以上(半年以上)の期間に及んで同メニューを行い続けてしまいますと、ピークアウト、もしくはピークダウンといって、逆に筋力や筋量がガクンと一気に低下をして行ってしまいます。経験された方も多いかと思いますが、この時の筋力の落ち具合は想像以上で、私が現役時代に一度失敗したときなどは、ベンチプレスが半分以下の数値まで下がり、体重や筋量もどんどん減っていってしまい、しまいには身体全体がオーバーヒートしてしまったのか発熱してしまい、数か月に及んで熱が下がらない状況となってしまいました。

ですから、年初の内に出場大会をしっかりと定め、大会日程が発表になったらそこから逆算をして、ピーク期間を予めきちんと決めておくことを私は勧めます。

では、次に「筋肥大に必要なふたつのK」のもう一つの方、そう「計画性」についてお話しさせて頂きたいと思います。

「計画性」とは「きちんと期日を決めてトレーニング計画を立てる」ことともう一つ、「計画的にトレーニングメニューを組む」ということがポイントとなります。

前述した「OFFシーズン用トレーニングメニュー」では、各タイプの筋線維を順番に休ませながら、その回復具合を上手に利用してしっかりと筋肥大及び筋力アップを図るものが必要となります(イメージがしずらい方は、決して売り込むつもりはございませんが、拙著noteブログのバックナンバーをご購読頂けると良いかと思います)

それでは、「ピーキング用トレーニングメニュー」では一体どのような計画がメニュー作成に必要となっていくのでしょうか。それを今から紐解いて行きましょう!!

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