*読了*ハムレット 角川 河合祥一郎訳

・クローディアスからもガートルードからもヴィッテンバーグへ行かずデンマークに留まってくれと言われて、「できるだけ、母上のお言葉に従います」と答えてる。デンマークに留まった理由は、ガートルードの願いを聞いたから。P23

・ガートルードはひと月足らずでクローディアスと恋仲になり、二月足らずで結婚したということだろうか?P24

・ハムレット「それが、叔父と、父上の弟と、結婚した」これはレビラト婚を卑しいと思っているのか?クローディアスを嫌っての言葉なのか?たぶん両方だろうな。「俺がヘラクレスと違うほどに」「近親相姦の床へ急ぐとは!」と両方の言葉があるから。P25

・ホレイシオー「一度お会いしたことがあります」ホレイシオーは先王に一度しか会ったことがない。P27

・レイアーティーズ「誰を妃に選ぶかに、国家の安泰と存亡がかかっている」これはハムレットだけでなくエリザベス1世にも言えること。P33

・亡霊「そなたの父を噛み殺したという毒蛇は、今、頭に王冠を戴いている」P47
クローディアスを毒蛇に喩えている。

・亡霊「あの近親相姦(レビラト婚)の、あの不義の獣は、知恵という魔法(シェイクスピアの時代、魔法は違法行為)を使って見事に裏切りおった。」P47
カッコ内は私が書き足した。

・亡霊「しかし、どのように事に当たろうとも、そなたの心を穢すな。母に危害を加えてはならぬ。」P49

・ポローニアス「嘘の餌でひっかけて真実という鯉を釣りあげるんだ。こうやって、わしのように、頭の働く知恵者は、搦手に回って、裏から攻めて狙ったものを搦め捕るのだ。」P61

・ガートルード「あなたがたほど、王子が心を寄せている二人はこの世にいないと思います。」P65 ハムレットがホレイシオーに信頼を寄せていることをガートルードは知らないか、又はローゼンクランツとギルデンスターンを讃えるためにいっているか。

・クローディアス「おまえはいつも吉報の生みの親だな」P67 先王ハムレット殺しの発案はポローニアスとも取れる表現…?

・ポローニアス「まずは大使にご謁見を。〜私からのお知らせは、そのあとのデザートということに。」P67 クローディアスに吉報を先に聞かせてクローディアスの機嫌が良くなったタイミングで「ご子息のハムレット様は気ちがい、」と切り出しているので、やっぱりポローニアスは頭のキレる人なんだろうな。

・ポローニアス「私がこれまで、そうだと断言して、そうでなかったことなどありましたでしょうか」
クローディアス「私の知る限り、ない」
P73 ポローニアスにとってクローディアスは扱い易い相手なのかも。

・ポローニアス「私をご存知で?」P74 魚屋の場 ハムレット王子がクローディアスを知らないかもしれないということは、以下のいずれかの可能性が推測できる。
①ポローニアスはクローディアスが王位に就いた後に宰相になった
②ハムレットがヴィッテンベルク大学へ行った後にポローニアスが宰相になった

・『魚屋』は『女郎屋』の隠語。

・ギルデンスターン 「運命の女神の帽子の天辺にはおりません。」P77 フォルトナ(ギリシャ神話ではテュケー)が関係あるかな?帽子の話は詳しく書いてないけど。

帽子の天辺=王(裕福だったり位が高いとかそう言った良い状態)
靴の底=貧困者
腰のあたり=平々凡々
っていう意味か!

・ハムレット「叔父貴の小さな肖像画を1つ手に入れようと、」P82 君主の肖像画が売られていた。つまり、ほとんど会ったことがなくても貴族たちは君主の姿形を見ることができる。

・「大事なところにひびが入っちゃ、乙女として売り物にならないからね。」P85 これ下ネタかな?シェイクスピアの作品は下ネタの洒落もたくさん入ってるけど、あまり日本語訳されてないってネットで見たことがある。

・P93〜 第三独白は、主にクローディアスへの憎しみと復讐を実行出来ない気弱な自分を責める気持ち。復讐をする勢いをつけるための理由付けを探している印象。何か絶対的な理由を付けて自分が復讐せざる終えない状況にしたい、したいけど絶対的な理由を見つけられない。もどかしさ。

・ガートルード「どうかおまえの美しさがハムレット乱心の因でありますように。そうすれば、おまえの美徳であの子を立ち直らせ、二人が幸せになることもできましょう」P97 逆に言えば、ハムレットを立ち直らせることが出来なかったらハムレットとは結婚できない、とも取れる。

・ローゼンクランツ「何が原因なのかお明かしにはなりません」P95
ローゼンクランツ「あまりお話にはならないのですが、こちらが尋ねると、何でもお答えになってくださいます」P96
たった数行後で矛盾してることを言ってる。下段の注釈にあるように、彼らの中身の無さや滑稽さを表してるのかな?

・ポローニアス「敬虔そうな顔つきをし、殊勝に振る舞って、内心の苦い悪魔を砂糖の衣で覆い隠してしまうというのは、よくある手口だ」P98
先王ハムレット殺しにポローニアスはてをかしてるんだろうなぁ…。

・ハムレット「いや、すっかり改めてくれ。〜浅ましい限りだ。」までは、ハムレットが座席にいる観客に向けて言う洒落かな?劇団に演技指導しているようにみせて、その実、ポローニアスへの皮肉を含んでて今目の前にいる観客に対して『ポローニアスの芝居は退屈だっただろ!?』っていう洒落??

・ハムレット「その一場面は、君(ホレイシオー)に話したような 父上の市の状況に似せてある」P108 劇中ではハムレットがホレイシオーに父の本当の死因を話した場面はなかったと思う。劇中以外の場面で、ハムレットがホレイシオーにだけは毒殺されたことを話したのかな??

・ハムレット「ねずみとり」P117
劇中劇の題を『ねずみとり』と言ってる(本当はゴンザーゴ殺し)、ねずみはクローディアスを喩えてるのかな。王妃の部屋でポローニアスを殺した時、ねずみか!?と言って殺しているから、あれはクローディアスを殺すつもりがポローニアスを殺してしまったんだろうな。

・P118に『大鴉(ワタリガラス・原文ではraven)』の言葉が出てくるけど、ロンドン塔のアーサー王伝説の6羽のカラスをモチーフにしてそうだなぁ。

・P120〜 劇中劇が終わった後、ハムレットはローゼンクランツとギルデンスターンを終始茶化してるからこの時点ですでにローゼンクランツとギルデンスターンに心を閉じている。

・ハムレット「母を殺したネロの心を入れてはならぬ。」P124

・ローゼンクランツ「いわば最も高い山の頂に括りつけられた巨大な車輪〜木っ端微塵と相成ります。」P126 運命の女神フォルトナを意識した言葉なんだろうなぁ。

・ハムレット「たとえ石でも心を動かすだろう」P138 アーサー王伝説の石をモチーフにしてるだろうなぁ。

・ハムレット「さあ、行こう。おまえ(ポローニアスの死体)と一緒に、幕切れへ。」角川P172
ちくまP176「さあ、来い、おまえの始末をつけてやる」
白水P161「さあ、行くぞ、お前ともこれでおしまいだ。」

・ガートルード「自分(ハムレット)がしたことに涙しておりました」P145 この場面のガートルードの言葉は嘘が織り交ぜられているから、ハムレットが本当に涙したかどうかわからないなぁ。ハムレットは大人の男性だから、ポローニアスの死体をお姫様抱っこして部屋を出ることも出来たはず。でも、死体を引きずって出て行ったということは、自分がしたことに酷く落胆して脱力して、放心している状態だったのかな。

・ハムレット「スポンジ君に質問されても」P147 ここではローゼンクランツのことをスポンジ君と言って面と向かって完全に馬鹿にしてる。

・ハムレット「今月中に見つからなければ、ロビーに上がる階段のところを嗅いで見てください」P150 エドワード5世とその弟の話を彷彿とさせる。

・クローディアス「彼(ポローニアス)をどさくさにまぎれて葬ったのさ思慮が足りなかった。」P161 ポローニアスがいないと上手く政治ができない、クローディアスは無能だと示しているのかな?

・クローディアス「約二ヶ月前のことだが、〜是非とも手合わせをしたい」P176〜177 先王ハムレットが無くなったのが4ヶ月以上前だから、これはクローディアスが作った作り話なんだろうな。

・P200を読んでる。今まで復讐をするかしないかハムレットははっきり決められなかったけど、いざ自分が殺されそうになって、『美徳だとか地獄だとか言ってる場合じゃない、復讐を早く実行しないと自分が殺される』とやっと危機意識を持ったのかな?

・レイアーティーズ「私や父の死が君(ハムレット)のせいになりませぬよう。」P214 この時点でレイアーティーズはハムレットのことを許してる。

・ホレイシオー「私はデンマーク人であるよりは古代ローマ人でありたい。」P215 ホレイシオーはデンマーク人。

・角川の底本はフォリオ版。野村萬斎さん監訳。