コミケオワコン論まとめ (2005 - 2023)

増補求む 

要点

『コミックマーケット』というイベントの存在意義あるいはその薄れを問う論(以下、「コミケオワコン論」)は、少なくとも2005年にまで遡ることができる。しかし、2015年頃までのコミケオワコン論がコミケの盛況(および規模拡大)および、メガイベントとしてのコミケの存在感を所与の前提としているのに対して、2016年を境にコミケの存在感の低下を訴える声が高まりだす。参加者の高齢化も指摘されるようになり、2022年以後のポストコロナ期には、参加者数制限も同イベントに悪影響をもたらしていると論じられるようになった。

2005 - 2015

総評:コミケの混雑度合いを憂慮し、「もうオンライン開催でよいのではないか」という提案をする声が多かった。これに対しては基本的に「コミケの交流の場としての側面を無視するな」といった反論が付随する。

column:コミケなんかいらない 〜増長するマニア達〜 (2005/7/6)
・「オタクブーム」が到来し、周囲に配慮を見せないオタクが増えつつある。こうした状況でコミケなど開催すべきではないだろう。

コミケをネットに移行せよ! (2007/1/21)
・コミケの膨張にともない、運営費は毎年膨らみつつある。いっそのことコミケをオンライン開催にすれば、すべての問題は解決するのではないか。

腐ってゆくコミケ(2010/8/16)
・同人誌の値段が高くなりつつあるように思う。「好きだから本を作る」という本義を忘れ、営利に走る現状のコミケは腐っているといえる。

なぜいまだにコミケを開くのか(2013/9/8)
続・なぜいまだにコミケを開くのか(2013/9/8)
・同人誌の頒布のため一箇所に集まるというのは著しく非効率的なことである。大勢の人間が密集するというのは危険なことであるし、インターネットで頒布すれば情報のアーカイブ性も高まる。

何故コミケはオワコンに近づいているのか俺の意見を聞いてくれ…(2014/8/17)
・コミケの動員数があまりにも増えすぎた結果、徹夜しなければ何も買えないような状態となってしまった。参加者のマナー悪化も著しい。

オタク連中がコミケにこだわる理由がよく分からんのだが、アレの意義って歴史意外になんかあるのか。(2015/10/26)
・わざわざ混み合った場所に行って同人誌を購入するのは非経済的だ。電子配信にすれば在庫を気にする心配もないというのに、なぜ紙媒体にこだわるのか。

2016 - 2019

総評:通販および個々のオンリーイベントの発達により、メガイベントとしてのコミケが意義を失いつつあるというのが主な論点。これに対する主な反論は「ふらっと知らないジャンルに立ち寄ることができるのがコミケの利点だ」というもの。また、コミケというイベント自体が高齢化しつつあるという意見がみえはじめる。これに対しては、往々にして「それは日本の人口構成が変化しているからだ」という反論がつく。

同人誌即売会としてのコミケは役割を終えつつあるのではないか(2016/8/15)
・オンリーイベントが発達した現状、メガイベントとしてのコミケの意義は薄れつつある。また、SNSの発達により、「コミケでしか会えない友人」といった概念も過去のものとなった。

正直コミケは無くなってもいいと思ってる(2017/8/11)
・「マニア同士の交流の場」という機能は、より小規模な他のイベントにも置き換え可能である。東京五輪でビッグサイトが使えなくなる現状、コミケはいっそのことなくしてもよいのではないか。

コミケにも高齢化の波? 出展者に聞く変化と課題(2018/8/11)
・同人誌の通販が発達した現在、コミケの参加者は高齢化しつつある。若い層を取り込む何らかの方策が必要ではないか。

2020 -

総評:ポストコロナ期。コミケがチケット制になったことによりトラフィックが減り、集積の経済があまり機能しなくなったことが主要な論点。2023年以降は赤ブーの盛況が論点にくわえられることとなる。

今のコミケ「昔からいる人がそのままいて、若い人が入ってきていない」説 同人活動の変化と今後について議論が盛り上がる(2022/8/13)
・有料化により参加のハードルが上がったことも影響してか、コミケの年齢層が上がりつつあるようだ。若年層がオンラインでの活動に主軸を移し、コミケのようなイベントをさほど重視しなくなったこともその原因かもしれない。

正直、もうコミケは大手サークル以外厳しいと思う(2023/1/2)
・参加者制限にともない、「ふらっと立ち寄り同人誌をジャケ買いする」といった人が大幅に減ってしまった。評論のようなマイナージャンルにとってこれは大打撃だ。

若いオタク女子にとってコミケは魅力的ではない?参加サークル激減で感じる「もう同窓会の場でもない」現状(2023/8/14)
・赤ブーを筆頭とする他イベントの盛況により、コミケは特に女性向けコンテンツにおいて過去のものとみなされている。サークル抽選の厳しさなども相まって、もはやコミケは魅力的なイベントではなくなっているのだ。

コミケの時代の終わり―BLも、ニッチな本も消えていく―(2023/12/17)
・赤ブーの盛況により、女性向けコンテンツがコミケからほとんど撤退しているという現状がある。また、男性向けジャンルについても、いわゆる「覇権ジャンル」的な概念が存在しなくなったために、多様性が失われつつある。

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