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なんか違うような資産運用立国

いま、あなたの心の中には、どの様な音楽が流れていますか。
 
11月11日の日本経済新聞の1面に『金融庁、資産運用の参入容易に 管理部門なくても可能』とありました。

記事には、「金融庁は資産運用会社の参入規制を緩和。現在、各社が自前で運用と資産管理の両方を持たない参入が認められないが、管理部門を持たなくても認められるようになる。運用会社の立ち上げ時に資金を拠出する仕組みも導入し、参入障壁を下げることで小規模でも特徴ある運用会社の新規参入を促し、運用先を多様化し、投資家の選択肢を広げる。金融審議会での議論を経て、2024年の通常国会に投資信託法の改正案の提出をめざす。運用に特化した新規参入を促すため、法改正で投信の資産管理を専門に手がける会社を設立できるようにする。」としています。
 
「資産管理業務」について記事では、「投信の基準価格の計算や運用成果の算出、月次報告書の作成、コンプライアンス(法令順守)など幅広い。」としており、さらに「これらの業務は専門の管理会社が担う一方、運用担当者は運用に専念して全体の効率化につなげる。」としています。

また、「金融庁は資産管理会社が受け皿になれば、小規模な運用会社が参入しやすくなる。資産管理会社は金融庁が監督して業務の質を確保することを検討する。」としています。

まとめると、
1)分業を認めることでデリバティブ(金融派生商品)を駆使して運用成果の拡大を狙ったり、非上場株を専門に扱ったりする特定分野に強い運用会社を呼び込み、投資家が多様な運用商品を選べるようにする。
2)「ブティック型」と呼ぶ運用会社は、海外では年金運用の一部を担うなど一定の存在感を出している。
3)もうひとつの柱が、運用会社の立ち上げ時に資金を拠出する仕組み。年金などは過去の運用成績を重視して運用会社を選ぶため、成績のない新規参入者は相手にされにくい。資金拠出の枠組みはエマージング・マネジャー・プログラム(EMP)と呼ばれ、他社でファンドマネジャーとして腕を磨き、独立を希望する人物などが対象になる。資金の出し手として政府系ファンドや公的年金、民間金融機関の参加を想定する。
 
あえて悪意をもって言うと、まさに国策と言う感じですね。
海外では運用と管理の切り分けが進んでいるのは、確かなのですが、欧州も米国もそれぞれの地域で、法律だけではなく文化として根付いています。その海外の制度を取り入れることは、良い事かも知れませんが、その前に日本の制度について、ひいては行政、すなわち監督官庁の金融庁として、現在までの監督方針について、しっかりと振り返っておく必要があると思いますね。

記事には、「日本の資産運用業全体の運用残高は約800兆円と、国内総生産(GDP)比で1.4倍ほどにとどまる。運用残高50兆ドル(約7500兆円)の米国はGDPの2倍超、13.5兆ドルの英国は4倍を超える。資産形成の重要性が高まるなか、出遅れは否めない。」とあります.
おいおい、出遅れさせたのは行政であって、少なくとも運用会社の責任ではないと思いますが笑

記事の最後は、最近のお決まりですが「日本では大手金融グループに属する運用会社が市場シェアの大半を占め、顧客利益より系列の販売会社の意向を重視するといった問題も指摘されてきた。金融庁は独立系運用会社の参入が進めば競争が働き、各社が運用成果を競う動機になるとみる。」としています。
日本の金融グループでは、親会社が販売し易い金融商品を傘下の運用会社に設定させてるというものです。
さらにグループの人事異動で親会社から運用経験のない者が経営者と降りてくるというものです。
 
ついでに、悪意をもってお伝えさせて頂くと、金融審議会には幾つもの会議体が存在しています。
座長と言われる方は、数名の著名な学者の方が持ち回りの様に就任されます。また、会議体の委員の方々も同じようなメンバーの方々が就任されます。
ワタシの存じ上げている方も委員として参加されていますので、個々のメンバーがどうのこうのではありません。
ただ、持ち時間を無視して、とうとうと議会で個人的見解を述べる有識者や、ご議論いただきたい内容として、さもありなん顔で予め定めた方向へ議論を導く金融庁の方々(下っ端官僚などとはいいませんがww)のお考えは正しい方向だとは思いますが、評論家敵と言うか。

例えば、今回の議論で言えば運用会社に在籍した経験のある方が、委員の中にどれくらいいるのか?
また、本当に、顧客から預かった資金を運用する、運用会社、いわゆる受託者責任の厳しさを知っているのか?

まぁ、投資教育とかいって子供たちに株式運用ゲームをやらせるようなことを行う前に、そもそも監督当局として、投資する事の意義などを理解しているか不安でもあります。

親会社から経営者として降りてきて、2~3年程度で交代することが宜しくないと、「資産運用業高度化プログレスレポート」などでも指摘されていますが、それでは金融行政に携わる官僚の方々はどうでしょうか?
ワタシの経験で言えば2~3年で担当を離れる方が多いです。
それこそ人事異動であっさりと、金融行政から税務担当に異動されるようなことも過去にはお見受けしましたが笑

最後に、11月2日の同じく日本経済新聞には『投信価格、信託銀が算出へ 「二重計算」の無駄省く 訂正基準、金融庁が統一方針』とあります。

こちらも投資信託の価格(基準価額)の算出を委託者である運用会社と受託者である信託銀行の両者で算出するのは無駄なので、1者に統一しようとするものです。

これについても、悪意をもって色々とお伝えしたいとところですが、長くなりましたので、省略することにします.

ただ、一つだけお伝えするなら、いままで投資家保護として、正しい計算を両者に求めていたものを、無駄だとし、それを省くにあたり、多少の間違いは、投資家が負担すべしとの方針に変更するものです。
これもどうでしょうか?
いままで厳格な計算、たとえ1円の違いも容赦しないとしていた監督官庁が、180度の方針転換では?と疑ってしまいます。
 
来年からの新しいNISA制度も含めて、投資をする環境は改善されています。
また、運用会社も販売会社もより一層の顧客本位の業務運営を進めていますので、ご自身にあった投資を検討していただければと思います、というのが本心なんですが笑
 
本日の1曲は、T.M.Revolutionで 『HOT LIMIT』 です。

本日は、ここまで。お付き合いいただき、有難うございました。

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