廃病院

去年の夏。

仲の良いメンバーで遊んでいたらある廃病院の話になり面白そうという事で肝試しをする事になった。
その病院は事件があり廃業となったらしくその当時はニュースにもなっていた。

「なんかね、頭のおかしくなった患者が院長や看護師・医師・患者を惨殺したんだって」
「そのニュース見たよ！ひでぇよなぁ！」

皆んな口々に感想を述べる、そしてこの事件には不可解な事がいくつかあるとニュースでも取り上げられていた。

「確か…犯人は自分で首を切って死んだんだよな？」
「そう、でもね。いくら頭のおかしい人であっても一晩にそんな人数を惨殺出来るのか？中には抵抗されたりもするし、それに殺された人の中に身元不明の遺体が何体もあったらしいの！」

謎多い事件だけに長らく捜査もされていたがなんの証拠も無かった為、犯人死亡で解決となった。

「これは噂なんだけど…その医院長は黒い噂が絶えない人らしくてね。何か怪しい事していたんじゃないかって。」
「怪しい事って？？」
「んー、それが分かんないんだって」

実はこの彼女の叔父が記者をしていて、この事件も当時調べたりしていたらしく内情に詳しいのだ。

何やかんやと話している内にお目当ての廃病院に着いた。
日も暮れだし影を落とすその廃墟はより悍しく感じた。

だが、これから起こる出来事がイタズラにこういう場所に行ってはいけないんだと痛感させられる事になるとは、その時の誰もが思いもしなかった。

面白いし動画を撮ろうと軽い気持ちで携帯を起動させる。
玄関は簡単に進入でき中へと進むと受付が見えてきた。

中は色んな器具や紙など散乱していて進みのも大変だ、そしてここも事件現場の様で所々の壁や机に赤黒いものが付いている。

「うわぁ〜生々しいな」

少し怖くなってきたのと緊張で皆んなが不安げになって行く。病院の案内図を各自写真に撮りまずは三階から行こうと階段に進む。
三階は院長室とVIP専用病室や保管室がある、二階は一般病棟、一階は診察室や手術室・治療室・検査室などがある。