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怪人

『ちゃうねんオレは元々ギター弾きやねん』いや、別にどっちゃでもええけどね?

初対面の人とは適正な距離を測ってからと思ってるので最初からそこまで話し込むことは無いのですが、ビジュアルがヤベェ感じの人ではあるものの、なんだかその懐の深さに警戒することも無く『どんな音楽聴いてる』とか『バンド論』とか、割と込み入ったことまで話した記憶がある。

paco delic を結成して曲も仕上がってきた頃、『初ライブをどうしようか?』という話になった。

どこかライブハウスのブッキングに入れてもらっても良かったんですが『つぼやんに聞いてみるわ。』ということで、タイトル『大人の時間』本町マザーポップコーンにて paco delic 初ライブを遂行できた。

つまり、ひょんなことからバンドの恩人となった。

なんでもバンド関係者に顔が広いその界隈では有名な人らしい。イベンターかと言えばそうでもない。なんやねん。誰やホンマに。

くしゃっとしたハットを浅めにかぶってて、白髪交じりで堂々とした口髭生やして、お世辞にも清潔感は無いなぁ、でも皺くちゃな顔して笑てた。なのでそのビジュアルとは裏腹に”ヤバい”感は皆無やった。

初めて観た時はベース弾いてた。『OIRA』ちうバンド、ピンク・クラウドのコピーバンドやろ、聴かんでもわかるけど…と思ったら女性ボーカルで、え。って意表を突かれた。

『(ピンククラウドは)ベースが難しくないですか?』と聞いた答えがそれだった。

マザーポップコーンの後は『吾作どん』で打ち上げをする流れで、それも仕切るんですが、意外と座ったら動かない。飲んで喋って会計して、帰りは家まで歩く。

たまたま定宿が同じ方向だったので、いっしょに歩いて帰るのがパターンで、呂律も回ってないし足元おぼつかんし、でもバンドのことをずっと褒めて『また誘うわ。』『ぜひ!』って、『でも、しょっちゅうはしんどいねん。3月にいっぺんくらいかな?』言うて、それでも何回か『大人の時間』には出させてもらった。

コロナ禍でお客さんも少なくて、まぁしゃーないかと思ってた時にひょっこり来てくれた。ホントに久しく会って無かったけどビジュアルが全く変わってなかったのでむしろ安堵しか無かった。

『また大人の時間再開しよ思てんねん。』『ぜひ!』最後はそんな愛想もへったくれもない会話だったと思う。そらそうよ、またどっかで会うわくらいに思ってるから。

いなくなっても恩人であることに変わりはないよ。まだ聴かせてないけど『あの曲ええな!』言うんちゃうかな?って曲、何曲かあんのよ。ぢゅんこも帰って来んねん。時間あったらいつでも観に来てや。

『怪人つぼやん音楽とともに眠る』

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