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サン工業への思い

皆さんこんちには。

文化放送のTracktownJPNに出演させていただきました。


放送内でお話しさせていただきましたが、新型コロナウイルスの影響により、景気が大きく落ち込んでいる中で現在勤めている会社からのサポートが半減する可能性があります。

そうした状況の中で今後どうやってサン工業、そして長野県という地元で競技を続けていくのか悩んでいたこともあり、相談をさせていただきました。

『サン工業』

サン工業は電気めっき、無電解めっき、化成処理を主体に、自動車、機械部品をはじめ、様々な表面処理加工を行っている会社です。

高校は農業高校、大学は文系だった自分は入社当時はめっきて何?という所からスタートしました。

「そもそも何でサン工業に入社したの?」

大学で就職活動する際には実業団に行きたい気持もありましたが、実力的には入るのが厳しい状況でした。それでも、走るのは好きだったこともあり、高校時代出場していた長野県内を縦断する長野県縦断駅伝をまた走りたいという気持ちもあり、地元に帰ることは決めていました。

そして地元で行われた合同説明会に参加したときにサン工業に出会いました。このとき自分は実家から通える範囲の企業に絞り、ブースを一通り回っていました。サン工業は実家から通える範囲ではギリギリだったので、正直ブースに行く予定はありませんでした。

ですが、目星をつけていた企業を回り終わって帰ろうとしたところ、説明会に来ていた企業の方々の中で、ダントツでイスに座っている姿勢が綺麗な女性の方がいました。まだ少し時間があったのでせっかくだからとブースに行きました。

ブースには男性の方、姿勢の綺麗な女性の方二人がいて、男性の方から会社の説明を受けました。先に書いたようにメッキや表面処理について全く知らなかった自分は、頭の上に?マークを浮かべながら説明を聞いていました。ですが、最後にアンケートを書いたときに出身大学の所に山梨学院と書いたところ女性の方に。

『箱根駅伝で有名の大学ですね!』

と言われそこから実は自分箱根駅伝走りましたという話になり、高校時代の陸上部の先輩がいたことも判明しました。自分以外に説明を受けている人もいなかったこともあり、話がものすごく盛り上がりました。最終的に説明会の時間が終了してしまい、工場見学に行きますという話を最後にして終わりました。

当時のサン工業では工場見学の際にエントリーシートを出すことになっていました。ですが、このまま何も考えずただ就職していいのかと、ウダウダ悩んでいたら、エントリーシートを締め切りまでに出すのを忘れていました。すると締め切り日を過ぎてすぐに、突然説明会の時に話をしてくださった姿勢のいい女性の方から

「エントリーシート出てないけど大丈夫かな?」

と電話が来ました。

まさかエントリーシートを締め切りまでに出さなかった人間に、電話してくるとは思ってもいなかったので、めちゃくちゃ動揺しました。動揺して何言ったか覚えてないです。というか多分何言ってるか聞いてる側も分からなかったと思います。

とりあえず今更工場見学行きたいので、エントリーシート今からでも大丈夫ですか?とは言えず、すみませんと言って電話を切ろうとしたら。

「エントリーシートは当日まででいいから来てね!工場見学来てもらえると嬉しいから!桃澤君の陸上部の先輩もいるから!」

締め切りすぎてしまった自分への対応とは思えない、対応がきて2度動揺しました。動揺に動揺を重なりその女性の方の勢いにも押され、工場見学に行くことにしました。正直そういう状況だったので少し行きづらかったです。結果として会社の雰囲気がよく、高校時代の陸上部の先輩の話を聞いたりして、サン工業に入ろうと決めました。

ですので本当にサン工業に入ったのはたまたまでした。

『どうしても東京マラソンで表彰台立ちたいので、競技に専念できる時間が欲しいです』

入社して3年が過ぎた頃、自分は会社にこのお願いをしました。当時の自分は全く実績も、実力もなかったので、そもそも話を聞いてくれてことに驚いています。

上司、役員、社長の皆さんと交渉を繰り返し、最終的に社員全員が毎月1回集まるSUN Dayという勉強会で、自分の目標、やりたいことを話して、社員のみんなから了承を得られたら活動を認めてもらえるという話になりました。

コミ障、滑舌が悪い、早口、言葉に抑揚がない、上がり症などなど、あげれば沢山出てきますが、自分は典型的な人の前で話すのが苦手なタイプの人間でした。それでも応援してくれていた上司の方の力もお借りしながら、準備とリハーサルを進め発表当日を迎えました。

みんなの前に立った自分は緊張しまくりでしたが、とにかく必死でしゃべりました。お世辞にもいいプレゼンは言えませんでした。話してる最中に何度も噛んでしまったし、話の文脈も混乱しておかしくなってしまう時もありました。それでも、社員皆さんはそんな下手な話を聞いてくださり、自分の目標を達成するために活動するのを認めてくれました。

最後のみんなからの拍手は忘れません。

自分が席に戻るとき、何度かうなずいて頑張れよといってくれた方の顔を忘れません。

『社員・現場の皆さんの力でここまでやってこれました』

社員の皆さんから了承を得て、フルタイムから時短勤務となり、入社当時よりも競技に専念できる環境を整えていただきました。ただし、フルタイムから時短勤務になったということは、今まで自分がやっていた業務の半分を、所属している職場の方々にお願いしなければなりませんでした。

一緒に働いている職場の方々にはかなりの負担だったはずです。それでも、自分が競技に専念できるよう、自分の分まで業務をこなしてくれました。本当に感謝しても感謝しきれません。

競技に専念できる環境を作っていただいてから、自己記録も更新し続け、都道府県対抗駅伝に出場したり、日本選手権にも出場しました。ですが、会社からのサポートはもちろん直接一緒に働いている部署の方々の協力がなければ、ここまで成長することはできませんでした。

現在の職場の方々とはもう長い付き合いになります。自分がミスをしたときは何度もフォローしてくれました。海外に行くために長期間職場を離れるときも、本当は業務が増えて大変なはずなのに応援して送り出してくれました。
ヒューストンハーフに出場した時には

『ヒューストン!?また随分と遠いね、気をつけてね!あ、おみやげよろしくね!笑』

本当は大変なはずなのに、たいしたことないから大丈夫!みたいな雰囲気で送り出してもらえました。おかげで、気兼ねなく試合に向かい、集中して挑むことができました。

職場で直接一緒に働いていない社員の方々からも、普段から何度も声をかけてもらいました。

『今日何キロぐらい走るの?え?そんなに走るの?頑張って!』

『試合結果新聞で見たよ!頑張ったんだね!』

『この雨の中走るの?マジで?』

『朝3時にそこ走ってたよね?無理はしないでね』

本当に沢山の声をかけてくださりました。大会で応援してもらった時も、もちろん力になりますが辛い練習を乗り越えてこれたのは、普段から声をかけくれるみんながいたからでした。

会社からのサポートや社員皆さんの言葉がなかったらここまで走り続けられませんでした。本当にありがとうございます。

『これからもサン工業の名前をつけて走りたい』

それが今の自分の思いですし、世の中が厳しい状況というのは分かっています。それでも、ここまで自分を成長させてくれたサン工業と、社員のみんなと一緒に自分の目標を達成したいという思いがあります。

現在どうやって今後競技を続けていくのか、どんな形がいいのか、どうやって競技資金を集めるのか、会社のために何ができるか、地元のために何ができるのか模索しています。

それでも、サン工業は先にも書いたように地元の企業であり、この5年間もっとも近い場所で競技やってきました。そのもっとも身近な存在に恩返しをしたいです。というかもっとも身近な存在に喜んでもらわなければ、同時進行でやっていくことですが、地域の方のために何かできるわけがないのではないかと思います。

『悩み』

先日地域密着型プロアスリートであるエース栗原さんに相談をさせていただきました。現在も話している途中ですが少しだけ、やるべきことが見えてきました。自分の行動次第ですが、やりたかった「地元のみんなと一緒に」ができるかもしれません。

そして、サン工業のみんなに喜んでもらい、また今後一緒にやって行くにはどうすればいいか悩んでいます。たとえこのまま半日勤務を続けられたとしても、さらに上を目指して練習をして、地域のみんなと関係を作って、また応援できるような活動をしたり、サン工業に勤めながら他のスポンサーを探したりするのが本当にいいことなのか。

仕事が中途半端になってしまって逆に迷惑をかけるのではないか?練習が中途半端になってしまうのではないか?一人でできるのか?仲間が必要ではないか?時間は足りるのか?それらは全部自分が行動できない言い訳なのか?今は試合はないけど、今後も試合が出てきたとき大変だし、年齢のこと、目指している場所の高さを考えたらトレーニングを中断させたくない。いろんな思いが今自分の中にあります。

これからのサン工業でどう働いていくのか、もしくはメインスポンサーという形で入ってもらって、競技と、地域の活動に専念するべきなのか(そういう形がとれるかは分からない)。けど、サン工業に恩返ししたい、喜んでもらいたい。本当に悩んでいます。

今の競技環境をいただくとき、広告効果や結果も大切だと言われましたが、

『桃澤が目標を達成するストーリーを見せて欲しい』

とも言われました。ここにサン工業にできることのヒントがあるのではないかと、今書きながら思いました。ストーリーを伝える方法は一緒に働くだけではないのかもしれません。

地域×アスリート=∞の可能性

エース栗原さんがツイートした言葉です。このかけ算を∞にできるかは自分の次第。このかけ算の中にサン工業もいれたいそれが今の自分の思いです。


本当は地域への思いも書きたいと思っていたのですが、サン工業への思いを書いていたらあまりにも長くなってしまったので、分けて次回書きます。今の自分の状況、気持ちを整理して、方向性を見つけるために書かせていただいています。


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