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CONVERSE☆ALL STARと私の不都合な関係

CONVERSE ALL STARはかわいい。圧倒的にかわいい。誰が履いてもかわいい。驚異的にかわいい。

しかし、私はかれこれ三回ぐらい、彼にフラれている(ここでは靴を男性とみなす)。まずサイズが合わないとフラれ、幅が合わないとフラれ、お固いとフラれた。
「私、きっとCONVERSEに向いてないんだ」私は指を咥えて彼と仲良く歩いている人達を眺めていた。

仕方なくお見合いをして、優しく包み込み支えてくれるASICSと出会い、やっぱりピッタリ寄り添ってくれる人が一番よねと落ち着いた頃。
CONVERSEは私の眼前にいきなり再登場した。連れの用事で訪れたABCマートに入った途端、彼がいた。

私は一瞬で彼をどうしようもなく好きだったことを思い出した。かわいい。圧倒的にかわいい。夢にまで見た彼が目の前にいる。私を見ている。

「君の足は、長さは短くて甲も狭めだけど、足指はエジプト型だから、少し上のサイズの紐靴をしっかり甲で締めて履くといいよ」
ジェントルなASICSが教えてくれた情報をフル活用して、私はかわいい店員さんと一緒に、CONVERSEを試着しまくった。

「やっぱりこの定番のがいいですよね」
「そうですね、プレーンで飽きが来ないですし」
「でも真っ黒も何にでも合いそう」
「クールですし、カジュアルすぎない印象ですね」
「真っ白も捨てがたい」
「アクセントになりますし、清潔な印象ですね」

悩みに悩んで、ついに定番の黒を買った。憧れの彼をついに手に入れた。今度こそ上手くやるんだ。今度こそ彼と仲良くなりたいんだ。

私は次の日いそいそと彼と出掛けた。しかし……足の甲が痛い。なんか痛い。歩きづらい。足が薄いので、布が余ってしまって、折り目が指に当たって痛いのだ。

インソールだ!私は再びABCマートを訪れ、店員さんオススメのインソールを買った。よしこれで勝てる。

でもまだ痛かった。痛い、右足がどうしても痛い。何かが当たる。泣きそうになった。もうダメなのかな。これで終わりなのかな。がんばったのに。

私はネットで彼との仲直り方法を検索した。恋する乙女は何でもアリである。彼と仲良くするためなら、Googleで検索するし星占いもするし花弁も毟るし神にも祈る。

足先部分の靴紐の結び方を変えたら、彼はあっけなく私にフィットした。もうピッタリ、デレデレである。
「君って僕にピッタリだね。今までどうして気付かなかったんだろう」彼は幸せそうに私に微笑む。私も微笑み返す。

「君が買ってくれたこの中敷き、とってもいいよ、ありがとう」衝撃吸収インソールのおかげで、私達はどんなに一緒に歩いてももう疲れない。
でも、私を気遣って彼が「ちょっと休もう」と言ってくれるのも、嬉しい。

私が彼と街で楽しくデートをしている間、ASICSは家で私を待っている。
「CONVERSEは街歩きに向いてるよね。なんたってかわいいもんね。君は今散歩禁止だし、いいよ、また運動したい時に呼んでくれたら。いつでも待ってるからね」
彼はどこまでも紳士でいい人だ。その心地良さを手放したくなくて、私は彼を下駄箱にキープしている。

「グレーもいいね」ふと、道ゆく美人が履いていたグレーのハイカットに心惹かれた。サイズ問題が解決したのだ。色を増やしたくなるのは必然だ。
「僕が一番でしょう?!」彼が少し怒った。
「そうよ、あなたが一番大好きよ。でも、別の色にしたい日もあるの。こんなに長い間片思いしたんだもん。ストレス溜まってるの」
「僕はもう君だけでいいのに……」
「かわいい人ね」

CONVERSE ALL STARはかわいい。圧倒的にかわいい。驚異的にかわいい。今や彼は私のものだ。ずっとずっと、私だけのものだ。

あとがき
念願のCONVERSE履きこなせたのが嬉しくて書いてみたやつですが、読み返してみると恥ずかしい限りです…(笑)

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