夏にならない

雪と蝉が幻聴を起こした
世界がひっくり返る
音の大きなドラムが丸くて怖い
この世の婚期を逃すのは傲慢と意地
あの道を歩くと小さな空が見える
掴んでも食べきれない程の星やごみ屑
汚ねえなと捨て君が嫌いな唾を吐いた
コンクリートが灰色なのは仕様ですか
私は花が咲いても許せない
スプーンが壊れて溶けた
愛はメトロイド
真っ直ぐ立ってよ赤子なんか泣かせておいて
やるせないなと溜息をつく
ああ痛いんです
僕は僕じゃない
ぬいぐるみでも抱いて寝ろよ
ぼくらバクバク夢を食べてはゲロ吐いて死ぬ
所詮愛なんて嘘
だって永遠を誓うのは違うんだろう
どうしてもって言うんならあんたを最期に抱いてもいい
それが嘘なら気持ちいいだろう
あんたを殺して私は生きていく
そんなやり方しか知らない
道端に捨てたゴミ袋が黒で何も映さない
映える空
映える道
虹がかかればお前と見てざまあみろと叫べ
大好きだって叫べ
本心なんだろ
あの中身のないゴムはドブに捨てろ
出なかったね
さよなら
あの日一日でも最終
かの日100日でも最終
ドアが開けばお前は別人だ良かったな
ああ痛いんです
僕は僕じゃない
あいつでも抱いて寝ろよ
どうでもいいんだろう
ブチ切れた空が青くないのは
赤く見せてもくれないから
紅、暮れない
死んでもいいやって
思えねえなら
ここは墓場じゃねえ
まだ生き永らえる
蝉が死んで雪にまみれても
冬が夏になるまで
私はまた蛹だ
永遠の夏

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