今年読んだ面白かった本(年末年始5本書くぜ②)
タイトル通り今年読んだ面白かった本をご紹介したいコーナーです。全部新書なので読みやすいんじゃないかなと思います。
1冊目『言語の本質』
1冊目はこちら。今井むつみ、秋田喜美『言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか』中公新書、2023年。
この本を手に取った理由
この本はTwitterのフォロワーの言語学クラスタちゃんが書評ツイートをRTしていて気になってなんか数日後に買って電書で読み切っちゃいました。私自身は専門は一応日本史なのですが、言語自体も(専門に全く関係の無いロシア語を数年大学で履修していたくらいには)嫌いではないので興味を持っちゃったといったところです。
内容
言語学自体はかなり哲学側の学問だと思うが(嫌いじゃ無い)、発達心理の研究と組み合わせながらなのでたぶん抽象的すぎず具体的すぎずで結構読みやすいのでは無いかなと思う。新書だし。新書でこれだけのこと書くの凄いよね。
人間の言語獲得の方法から言語そのものの本質を明らかにしようとする、良書。
エピソード
実は勤務先でおすすめの本インタビューみたいなのを受けてこれを出したら(5月出版で6月に読んで夏休みにインタビューされました)哲学畑の先生や国語の先生など結構いろんな人から反響があった(!!)ので、高校の先生も読みたがる良書ってことで皆さんも是非お手にとって貰えればなあと思います。
2冊目 『日本仏像史講義』
2冊目はこちら。山本勉『日本仏像史講義』平凡社新書、2015年。
この本を手に取った理由
夏休みに文化史の補習をしなければいけなかったのですが、私はモノにあまり興味が持てず、ひたすら書かれた言葉の方に興味が向いてしまう人間です。なので、仏像のこと全然知らなくて何もにゃ…ってなっていたところ、ちょうど本も読みたくて書店をふらついていたら目に入ったので思わず買っていました。あまり厚みが無くて買う気になりやすかったのもよかったです。
内容(と感想)
あのねえ…普通に面白かった。仏像が日本に伝来したところから形式を追って文化の移り変わりまでなんとなく見えてくる感じが良い。形式だけじゃ無くて材質(例えば何の木を使ってるかとか)も大事なんだなとかね。あまりにも面白くて結局補習のスライドでこれおすすめって紹介しちゃったし夏休み明けに生徒も読んだ~~って言ってたので、インターネットの向こう側の皆さんにもおすすめしておきます。
3冊目 『現代思想入門』
3冊目は、千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書、2022年。
この本を手に取った理由
この本を買った日はスマホの充電が息絶えてしまい、でもなんか暇つぶしが無いと耐えられないくらいメンタルがやられていたので乗換駅で途中下車して駅前の本屋に駆け込んだ。なんか授業でとりあげられがちな歴史系の新書買って読んで帰ろうと思っていたけどお目当ての本が無かったので(大抵無い)、代わりに選ばれたと言ったところだ。代わりだったけど結果的には大当たりだったように思う。
内容
現代思想の世界観を教えてくれる1冊。
皆さんは、専門が歴史……で哲学なんて必要ないのでは、と思われるかもしれない。が、実は文系において哲学や思想を理解するのは(文系の)理論を組み立てていく上での(つまりは概念あるいは現象を言葉を使って明らかにする上で)基本の基になってくる。たとえば一見何やっているかわからない現代美術作品も美学(これも広い意味での思想の一種だろう)をちょっとでもかじってから見るとちょっとだけ理解できるようになる。(少なくとも美術館の説明文や解説本の文章が理解できるようになる。)
これでも数年前まで大学生だったので、現代思想のエッセンスは聞いたことがあった。どの学問でも現代的な議論の作法として、わりと強調されがちだったのが例えば「二項対立の否定」であるが、これがどういう思想潮流の上で成り立ってきたのか恥ずかしながら本書を読んでほんの少しだけ理解でき始めたように思う。
哲学書にしてはかなり読みやすいし、哲学を志す人向けのアドバイスなど「入門」という名にふさわしい一冊だと思います。
以上、今年読んだ本ベスト3をご紹介しました。
学生の頃に比べて全然本が読めないなと痛感しておりますが、社会人一年目に比べれば、他にも数冊小説とかを読んで楽しめた一年でした。
本棚に普通に積読が大量にあるのでこれらもちょっとずつ読みたいと思ってはいるんですけどね。いと悩まし。
我が家はついにもう一人発熱し始めましたので皆さんも体調にだけは気をつけて楽しく年越しにむけていきましょう。それではご機嫌よう!!!!!
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