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◇好評連載【子どもたちのメッセージ 173】~キーホルダーの思い~

 昨年の10月、長崎へ修学旅行に行った。そこで、平和の大切さや友達、集団行動の大切さなど、色々なことを1泊2日で学んだ。その修学旅行で1番忘れられない思い出がある。最終日のお土産屋での出来事だ。

 最終日、班で長崎市内の色々なところを巡った。ゴール地点はたくさんお土産屋などがあつまっている場所だった。予定よりも少し早く着いたから自由行動をした。色々な店に行って、色々なものを買った。

 すると、ある店で仲が良かった友達2人と会った。みんな違う班だったので、その日どんなところに行って、どんなことをして、どんなことがあったのかを色々話した。とても楽しかった。

 そうしているうちに、集合時間がせまってきた。もうそろそろもどろうと思っていたそのとき、
「ねえ、記念におそろいのキーホルダー買わない?」
と、友達の1人が言った。

 僕らは離ればなれになることを知っていた。僕のクラスでは、中学受験をする人がクラスの半分ぐらいいたり、卒業したら引っ越す人もいた。そして、僕は中学受験をしようと考えていて、そのことを周りの友達に伝えていた。そのことについてのことなのか、くわしくは聞かなかった。

 僕たちは少ない時間の中で考えた。そして買うことに決めた。デザインは「友」という文字の形をしたキーホルダーだった。そしたら店の人が、
「裏に何か文字を掘ろうか?今日の日付だったり、友達のなまえだったり。」
僕たちは迷わずお願いした。みんなそこにいた自分を含む三人の名前を刻んでもらった。とてもうれしかった。離ればなれになるのは嫌だった。怖かった。けれど、このキーホルダーを見て、思い出すことで、
「一人じゃないんだ。」
と思えて前を向ける気がした。

 そのときは聞けなかったが、なんで「友」というデザインにしたかがわかった気がした。
「僕らは離れていても、ずっと友だちだよ。」
というメッセージがこめられていると僕は思った。

 それからの学校生活は、あっという間に過ぎた。そして、僕は友だちのありがたさに気づいた。つらかったとき、悲しかったとき、不安だったとき、いつでもそばにいて支えてくれたり、うれしかったとき、楽しかったとき、いっしょになって喜んでくれたりしていた。その友達とも離れることは、嫌だった。だから、この「友」のキーホルダーを見るたびに思い出すようになった。このキーホルダーはいつも僕の近くで輝いている。

      冨岡  和哉( とみおか  かずや )
      鹿児島県 ラ・サール中学校 1年( 令和元年度当時 )

本稿は第19 回作文コンクール「心あたたまる話」の受賞作文です。
原文のまま掲載しています。                 
               ( 主催・一般社団法人人間性復活運動本部 )

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