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一軸圧縮強度と粘着力

一軸圧縮強度と関係がある指標には、N値などの他にも粘着力という指標が存在します。一見すると「土木で粘着力ってどういうこと?」とお思いの方もおられるやもしれません。しかし、実際には一軸圧縮強度と粘着力には密接な関係があることが知られています。そこでこの記事では、そんな一軸圧縮強度と関係の深い「粘着力」について詳しく解説していこうと思います。

一軸圧縮強度と粘着力
撹拌状況

一軸圧縮強度とは

まずは一軸圧縮強度についてです。
一軸圧縮強度とは、供試体(※1)(サンプル)を側圧(供試体に対して横方面からの圧迫)が無い状態で鉛直方向(供試体の上側と下側)に圧縮していくのですが、このときの圧縮荷重における供試体の最大強度のことを指します。側圧が無く、「鉛直方向からのみ」圧縮されることが「一軸」圧縮強度と呼ばれるゆえんです。(余談ですが、もし「側圧がある」場合は、鉛直方向からの圧縮を含めた3方向から圧縮することから「三軸圧縮強度」と呼びます。)
※1 供試体 圧縮強度試験に用いられる試験体のことであり、サンプルとも呼ばれる。試験ごとに適した規格に基づいて作成され、材質は岩石、コンクリートなど様々。地盤改良を施した土壌から試料土を採取するのが一般的。
なお、一軸圧縮強度は記号「qu」と表され、N値との関係式や後述する粘着力との公式などで多く用いられます。

粘着力とは

続いては粘着力についてです。粘着力とは、簡単にご説明すると粘性土(※2)などの試料土における粘性のことです。粘性土は新たに水気を加えずとも手でこねたり、一定の形態を形作ることができるのは粒子同士が結合しているためです。これが粘着力の正体です。一般に、粘着力が強いほど地盤の耐久性能である地耐力が高いとされます。なお粘着力は記号「C」で表され、後述する公式で多用されます。
※2 粘性土 一般に粒径が非常に細かい性質の土を指し、粘土やシルトなどが代表的。反対に、粘着力の無い土のことは「砂質土(さしつど)」と呼ばれる。 

一軸圧縮強度と粘着力の関係とは?

冒頭で申し上げましたように、一軸圧縮強度と粘着力には密接な関係が存在し、以下の公式が成立しています。
C(粘着力)=qu(一軸圧縮強度)/ 2
       =12,5n / 2

公式だけでは理解しにくいかと思いますので例題を見てみましょう。
仮にN値が20の場合…
 qu=12.5×20 =250
 C=250 / 2
  =125
上記の場合の粘着力の目安は125であると計算可能です。すなわち粘着力は、一軸圧縮強度が大きいほど、またはn値が大きいほど強くなることがお分かりかと思います。

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