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ルブタンとあの子

大学を卒業して一年と少し、同窓生何人かと会う機会があった。
色々なところで、多分似たり寄ったりの仕事をしている。

ジーパンからワンピースまで色々な服の子がいたけれど、ひとりルブタンのトートバッグを持っている子がいた。
在学中から物静かで、真面目で、でも話してみるととても優しくて、意外と芯の強いところがある子なのは知っていた。
服装はいつも控えめで、でもいつもパーマを綺麗にかけていて、おしゃれな子だと思っていた。

ルブタンって派手なイメージだ。
先日ルブタンで試着をしたら、おすすめされたパンプスの名前はパリの歓楽街の名前がついていて、だからおとなしそうなあの子がルブタンかあ、とは思った。

でも不思議とよく似合っていた。

クリスチャン・ルブタンの経歴はダンサーの靴のデザインから始まるらしい。
働く女性の商売道具。
洋服屋さんにとっての針とか、医者にとっての聴診器とか、そういう仕事のために必須の道具から始まるブランド。

そのブランドの鞄は、ストイックに勉強を頑張って医者になった彼女に似合わないわけがないのであった。

あの子が今日もルブタンと、楽しく仕事ができますように。健康で、自分の仕事に誇りを持って働けますように。

いつか彼女がどんな演歌を歌ってルブタンを手に入れたのか聞いてみたい。

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