あの異世界にいきたくて
テレビの画面がぐぐーっとのびて、私の視野いっぱいに広がる。
わたしと画面の間にはなにもなくて、ただただそこで行われていることを享受する。
そんな状態に憧れている。
小さいころ、映画やアニメを見た後にいつも通りのリビングに自分がいるのが不思議だった。
というよりも、自分がずっとリビングにい続けていながらも、今まであの世界を体験していたということが、不思議だった。
テレビというものは、みていると視界を奪っていく能力があるのかと本気で何度か実験してみたこともある。(おそらくロンバケをみてたので小1くらいの時期だと思う。)
それほどまでの集中力で鑑賞することは今はもう少なくなってきてしまった。自分の中に蓄積された体験が増えたから、新鮮なことがすくなくてそうなってしまうのか。時代的な作品との相性なのか。ただ単に年齢的に体の作りが変化していってるからなのか。
きっと複数の要因があるのだけど、わたしは今でも何かの世界観に圧倒されることを常に求めていて映画を観るときはひとりで前列中央で観ることに決めている。
でも幼いときほどのトリツカレ感はあまりない。あの世界をいつだって求めて、視界にはいる情報要素を減らしたり、モチベーションコントロールしたりして最善を尽くしているつもりなのだけれど。