タイの選挙、何も分からん。

先週、タイの総選挙がありました。
前日から二日連続の禁酒日で飲食店での酒の提供はなくなり、職場の先輩は悲しそうな顔をしていましたね。ちなみにタイ人の同僚に聞いてみたら、前日から酒を飲んでいたら誰も選挙に行かなくなるからねと笑っていました。

結果としては野党上位2党で過半数を取る大勝。現与党と軍事政権側には厳しい結果となりました。
事前の報道では野党第1党のタイ貢献党が優勢のはずでしたが、不敬罪の廃止を訴えていた前進党が152議席(タイ貢献党は141議席で第2党転落)で第1党となったのは逆トランプ現象(不敬罪のある環境下では前進党の支持を表明しにくい)と現状に対する不満を感じました。
どこからが不敬になるのかがわからないですし、外国人の身からすると特に思うところはないので賛否を語るのは避けますが、今の国王がどのような人かはこちらの記事を参照してください。

https://www.ganas.or.jp/20230511thailand/

ただ、野党が大勝したとしても政権をとれるかは不透明なようです。
今回選挙を行われたのは下院の500議席で、上院(元老院)の250議席は軍が指名をするため、首相指名のための勝敗ラインは実質376議席となるらしいからです。
前進党が不敬罪の廃止で妥協をして貢献党と連立したとしてもより多くの野党との連立と元老院の切り崩しが必要になるでしょう。連立をすればするほど政策面では妥協を強いられる(例えば民主党の大人のおもちゃの合法化とか)ので、前進党の支持者がどこまで我慢できるのかが試されるとは思います。

ただ、首相を選んだとしても実際に首相にどこまでの権限があるのかが分からず(調べた限りでは法律は下院主導、国王への助言と下院の解散権があるくらいで何ができるのかがよく分からない)、首相指名に勝ったとして何が起きるのか外部からだとさっぱり分からないです。
これからも報道を見ながらタイの社会がどう変わっていくのか見ていくしかないのかなとは思いますね。
ちなみに今回、野党はそろって最低賃金の引き上げを主張しており、現在1日328THBから354THBの最低賃金を前進党は450THB(1800円程度)、貢献党は600THB(2400円程度)に上げようとしています。
日本の水準からするとそれでも引くほど安いですが、経済の悪化や外資の移転を懸念されています。下記の動画を見ると分かりますが最低賃金に毛が生えた程度の賃金で働いているタイ人は決して少なくないので、いきなり数十%も上がると、雇用・物価へのインパクトは大きいだろうなと思います。

日本のTwitterでは日本は東南アジアと比較しても貧しい国になりつつあると言われていますがタイでさえこの程度です。
Twitterの日本衰退論ってつくづく一面的で当てにならないなと思いますね。

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