ニャンニャンニャンニャーーーンの時

22時22分 
ただそれだけだ
パソコンの右下の時計が
ただ22時22分だっただけだ
けれど猫はいない
だけど何故か気になる22時22分
ひとつもいいことが無かった今日1日が終わろうとしながらも
最後に体の中心がふわりと軽くなる最後のチャンスタイム

偶然気づけた自分は
もう少し大丈夫なのかな

日々後退する体に
現実を突きつけられながら
自分だけはいつまでも変わらず元気
だって元気だから

でも体は正直で
そろそろ子孫繁栄能力が消えうせようとしている

その時
ただの人間になった時
自分になんの価値があるのだろうか
贅沢な悩みなのは100も承知で言っている
何不自由なく生きてきて
恋をして
りっぱに失恋もして
笑えるほど失敗もして
ただ普通に生きてこれただけでも贅沢な話なのに

生きているだけで十分なのに
これまで当然に備わっていた生殖機能が
自分の中からなくなることなんて考えたこともなく
いや
考えないようにしてきて

いつまでも夢物語ばかり語っていて
そんなことを繰り返しているうちに
友たちはどんどん前を歩いていて
背中すらもはや豆粒

すっかり独りぼっち

お金も無くて
あなたにお金が無いのなら、他に何の価値があるの?
と言われて
何も言えずに笑ってしまった

ズバリすぎて
何も言えなかった
生殖機能が無くなった自分に
ただの人間になる自分に
胸を張って生きていける武器なんて一つも無かった

一緒にいるだけで楽しい
そんな高校生みたいな
ありふれた言葉が
今は一番聞きたい言葉

このまま手に入らないかもしれない言葉

この先の道は長いか短いか
道端に小さな花が咲いているだけでいい
隣の大通りには
桜並木や果樹園
そこはもう歩けないから

渡り鳥が落としたどこかの国の知らない花の種が
いばらの道にも落ちてこないかな

まだまだゴールが見えないから

にゃんさんオーレイ
23時00分
だからなにーーーーーー


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