正常なクーラーと28度の部屋

私のお家のクーラーが修理され,正常に動くようになりました.設定温度20度で3時間稼働させても1度しか下がらなかった部屋の温度が,たった15分の稼働で3度も下がるようになり驚いています.原因はガスが抜けているとのことだったのですが,私にはガスと温度低下の関係性があまり想像できません.ガスを入れることで動くのは車と風船ぐらいだと思っていました.物事への見方というのは,普段触れているものに,気づかぬうちに縛られてしまうのですね.これはまずいです.常識に縛られてしまっている自分の頭のこりを和らげるために,できるだけ常識から外れたことを脳内でシミュレーションしてみました.今回のケースの主役であるエアコンのガスを,例えば,ポン酢に置き換えて考えてみます.ポン酢の一般的な役割は,あっさりしたものに柑橘の香りを付け加える,こってりしたものをあっさりさせることです.でも,本当にそれだけなんでしょうか?温める役割のイメージが大きいガスが,空気を冷やすのに不可欠だったのと同じように,実はあっさりしたものから風味を奪ったり,こってりしたものをよりこってりさせるために使えるんじゃないでしょうか?どうすればそれが実現できるのか,さらに考えてみます.風味を奪うのは簡単でしょう.ポン酢をドボドボかけるだけです.でも,こってりしたものをよりこってりさせるとなると,なかなかむずかしい.柑橘の香りというものは,どうしても油の重みなどを和らげようとしてしまいますね.ここで発想の転換です.こってりを相殺するためにポン酢を投入するのではなく,こってりの一員としてポン酢を動員することを考えるのです.例えば,ラーメンの煮卵を,煮汁ではなくポン酢につけてみましょう.この時,ポン酢はラーメンの油を相殺するものではなく,ラーメンの具材の一員としてそこに現れます.本来の煮卵を入れていたなら調和が保たれていたはずの一杯は,”ポン酢味の卵が入った”ラーメンになります.これはすごい!チャーシュー麺の主役がチャーシューであるように,ポン酢が,ラーメンの性質を変えることなく,その主役になってしまいました.主役がすり替わったのですから,これはこってりと言わざるを得ないでしょう.ポン酢はあっさりにする用という頭に根付いた常識を打ち破ることに成功したので,この話はここまでにしようと思います.

何にせよ,私は今日,正常なクーラーと28度の部屋を手に入れました.こういうどうでもいいことを考える余裕が生まれたのも,それらのおかげだと思います.人生の余裕が,たった数時間のクーラーの起動で生まれるのですから,私は単純な生き物です.そしてDAIKINは偉大です.残り3日,ちゃんと頑張っていたと思い返せるよう,しっかり生きていこうと思います.

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