ローマの空


ロネ「昔話を致しましょう。
9月6日。
僕らの12歳の誕生日でした。

兄様は早朝から
テンション高くて。

兄様がくれた
プレゼントは遺跡の写真集でした。

23世紀となると
写真集はなかなか手に入らないんです。
古びてましたが
すごく嬉しかったんです。

しかし読んでたら
真ん中の一枚だけが破れてて。

目次には"ローマの空"という
タイトルだけがありまして。
僕が残念そうにしていたら
兄様が……

"そんなんいつか実物を見せてやるからこれで我慢しろ"
って、自分の書いた空を渡してくれました。

へったくそです。

しかし、兄様が
"実物を見せてやる"
って言ってくれたり、
そこまでしてくれたりするのが嬉しくて。

……宝物なあの写真集の真ん中に、
兄様の描いた空が今も挟んであります。

僕の破けた空を、
いつも満たしてくれるようで、
いつ見ても飽きないんです。

兄様には内緒ですよ?」

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