無を感知する生き物

ブラッククローバーという漫画に「アンチドリ」という生き物がいて、彼らの特性が印象深かったので話をしようと思います。
※ほぼアニメ版1~6話の知識しかありません。読み込んでいないのに話題にして大丈夫かな……。

主人公について
舞台は魔法の世界ですが、主人公には魔法を使うための力(以下魔力)がありませんでした。傍点まで振られているのでこれが覆ることはないでしょう。
魔法が全ての世界で、魔法を扱えない主人公は蔑まれ、笑い者になっていました。

アンチドリ
この生き物(鳥?)は「魔力が低いものに集る」という性質を持ち、そのため主人公は突き回されました。反対に、才能溢れるライバルには一匹も寄り付きません。
主人公に対して初対面のアンチドリ達が向ける関心は、それまでのものとは性質が異なります。
人は魔法が使えないという状況を見て主人公が「普通でない」ことを認識しますが、魔力がないという事実に対し笑いごとにする以上の関心を持つことはありません。
一方アンチドリは魔力がないという性質を感じ取って主人公に集ります。関心を向け続けます。

気になったのは彼らアンチドリ達が「ない」ことを感知する事実ですね。
「ある」ものではなく、「ない」ものに集まる性質。何故そんなことができるのだろう、と。
まず考えられるのは「魔力ではなく他のものを感知している」でしょうか。とは言え、特にそれらしい描写はないので難しいですね。
実は秘められた力があり……というのはよくある話ですが、これでは主人公以外の実力が低いとされる人物に集ることの説明がつきません。
人には本来アンチドリが感じ取り突き回したくなる何かがあり、魔力があるほどそれを上手く隠すことができる、というのであれば矛盾はなさそうですが、どうでしょうね。
人とアンチドリでは有無の認識が異なり、人にとって「無」という観測し得ないようなものが彼らにとっては存在するものである……という方向で考えてしまうのですよね、どうにも。
悪いとは思いませんが、無そのものを感知・認識する方法が知りたいので別の切り口が欲しいところです。

落ちがつきませんでしたね。
人の社会では魔力と存在感が比例し、魔力のない主人公は大声を上げることで漸く一瞥を貰えるような印象だったので、ただそこにいるだけで主人公が存在することを認め注目するアンチドリ達の性質は強く印象に残ったのです。
それが単なる悪意ではないと信じるために、考えたいのかもしれません。

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