引きこもり系オタクと2020年とVR

令和2年に入り、5日が過ぎた。私は12月27日から1月5日までの10日間は出勤日ではなかったので久しぶりの長期休みを満喫していた。

といってもこの期間を活かして旅行をしたり、年末の恒例行事のコミケやオフ会に顔を出していたわけではない。元々出不精で人が多いところが得意ではないというのもあり、オフ会はほとんど参加したことがないし、コミケに関しては関東圏に住んでいるのに一度も行ったことが無い程である。

むしろ最近のメインであるVRソーシャル界隈のユーザーのリアルイベントに対する活発さに驚いている。VRソーシャルというものの特性的にその層は少ないと捉えていたのだが、とあるアンケート調査によるとVRChatユーザー550人中約3分の1がオフ会に参加したことがあるらしい。この調査の母集団が偏りがある可能性が含まれているとはいえ、全体として見ても少なからぬ人数がいるのは確かだろう。

さてそんな中私は何をしていたか。去年は番組制作の方に携わっていたため現場を駆けずり回っていたが、例年は基本的には積みゲーや積み読の消化をしてそれで終わりということが多かった。まあ端的に言ってしまって引きこもり系オタクの行動である。そして今年も例によって例のごとく引きこもり系オタクとしてそのほとんどを自宅で過ごしていた。ただし同時に多くの人と会い、会話を交わし、飲み会などのイベントにも参加していた。
そう、VRの中でだ。

VRソーシャルというものの最大の強みはインターネットの持つ「匿名性」、「距離の消失」という特性に「アバター」と「VR」の二つを組み合わせることにより家に居ながらにして他人と物理現実に匹敵する濃いコミュニケーションをとることが出来ることだと私は捉えている。

これは物理現実をメインとし、そこで精力的に活動をする人にとっては「リアルでいいじゃん」となるのかもしれないが、私のような出不精の人間にとっては「距離に関わらず」、「時間に関わらず」、「自分の望む姿形で」、他者と多種多様なコミュニケーションがとることが出来るというのはある種の福音なのである。

もちろん、結局は人と人との関わりである以上はそこにコミュニケーション能力は求められる。だがVRソーシャルは、「距離と時間を選ばない」という特性によって人と接触するまでの物理的ハードルを、「自分の望む姿形になれる」ことで人と接触する際の心理的ハードルを大幅に軽減してくれる。

実際私はこれによって大きく交流を広げることが出来たし、他人との交流によってVR内以外にも様々な影響が出ている。VRソーシャルのユーザーの中には私と同じような経験をしている人が少なからぬ数いるのではないだろうか。

そしてこれはプラットフォーマー側の立場の人間としての答えでもある。「距離、時間、姿形といったハードルを大幅に緩和した濃いコミュニケーションの場」、それこそが私が見つけたVRソーシャルの意味であり、価値である。

最近はVRソーシャルと呼ばれるものも複数あり、それぞれに方向性や表現力等によって特色がある。おそらくこれは唯一解があるものではなく、これまでそうであったようにジャンルや目的ごとにその特色に合ったコミュニティが形成され住み分けがなされていくものなのだと考えている。

バーチャルキャストというプロダクトの一関係者に過ぎない私はプロダクトそのものの方向性について語ることは出来ないので、ここでは個人として目指しているもの、もう少し絞って今年の抱負としているものを語らせてもらおう。

私にとってのVRソーシャルがそうだったように、他の誰かにとっても交流を広げる場となり、それが価値のあるものとなって欲しい。ゆえに「VRによって交流を広げる機会と場所を増やす」を今年の抱負として公私共に活動していきたいと思う。

正直元々他人との交流をあまり得意としていない人間なので難しい部分もあるだろう。だが、それをするのに適した立場にいるのは事実であり、この界隈にはそれをやっている人が少なからずいるというのも確かである。

なので歩みの速度は速いと言えないものになるかもしれないが、出来ることから一つずつ石を積み上げるように事をなしていくつもりである。もし私一人では難しいことがある時は助けを求めていくので手を差し伸べていただけると幸いだ。

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